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「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部 -美濃の茶陶」展 [展覧会(絵以外)]

 サントリー美術館で「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部 -美濃の茶陶」という
長い名前の展覧会を見た。(11月10日まで)

タイトルから美濃焼の茶器の展覧会かと思うが、サブタイトルに、
「しびれるぜ桃山」と大きく書かれていた。若い人を動員したいのかな。

入ってすぐ、目に付いたのが、三井記念美術館で見た国宝の志野茶碗
銘「卯花墻」(うのはながき)

志野卯花垣.jpg
白い卯の花が咲いている垣根のイメージからついた銘(名前)。
上の縁が赤が全体を引き締める。志野焼は白釉を使った焼き物。
日本で国宝の茶碗は8点だけで、そのうち、国内焼きは2点。これと、
諏訪のサンリツ服部美術館にある本阿弥光悦作「楽焼白片身変茶碗」
銘不二山だけである。
他の6点中、3点は曜変天目で藤田美術館所蔵のをサントリー美術館で
見ることができた。


話がそれたが、同じく志野焼茶碗の名品(重文指定)銘「広沢」
(湯木美術館蔵)もすぐ横にあった。

志野広沢.jpg

広沢と並び比べられることの多い志野茶碗 銘「羽衣」もあった。
羽衣の軽快さ、動きを表現しようとしているのだろうが、私には武骨な
荒々しさに思えてしまう。

志野は赤いものが、多く知られているが、鼠志野というのもある。
鼠志野茶碗「峯紅葉」(五島美術館蔵)
鼠志野_峯紅葉.jpg

同じく鼠志野茶碗「山の端」(根津美術館蔵)

志野茶碗 山の端.jpg


形が変わったものもある。かなり縦長の円筒形。
志野橋文茶碗 「橋姫」 東京国立博物館蔵

志野茶碗 橋姫.jpg


サントリー美術館所属の品中心でなく、名品を借り集めてきているので、
見応えがある。
茶碗が好きなので、志野茶碗ばかり並べてしまったが、皿や鉢もあった。
鼠志野鶺鴒文鉢(重文) 東京国立博物館蔵
鶺鴒(せきれい)の姿がくっきりと浮かび、愛らしい。
鼠志野鵜〇鉢.png


黄瀬戸大根文輪花鉢 相国寺

黄瀬戸_大根模様花鉢.jpg


瀬戸黒の作品は、写真はないが、重厚で、私には楽焼との区別がつかない。
「しびれるぜ桃山」の通り、千利休らによって茶道が完成されたのは桃山時代。
それ以前は、瀬戸茶碗のみだった。

この展覧会に行くまでは、瀬戸(愛知)と美濃(岐阜)を区別できていなかった。
この区別が明確になったのは、昭和になってからで、荒川豊蔵が、岐阜県の古い窯跡から
志野茶碗の陶片を発見したことにより、志野は美濃で焼かれたと判明した。

荒川豊蔵と加藤唐九郎は、古い美濃焼を研究し、桃山の美意識を取り入れた作品を

作った。2人の作品もたくさん展示されていたが、私には桃山時代の名品と区別が
つかないものがいくつもあった。


志野焼より少し後の時代、利休の弟子、古田織部が指導して作らせた織部焼も
たくさん展示されていた。唐三彩の影響をうけた緑の入った色、斬新なデザインで、
織部!とわかりやすいものが多い。

織部州浜形手鉢 桃山時代
これがチラシやポスターに使われていた作品。美しい。

織部.jpg


織部松皮菱形手鉢 北村文華財団
織部松皮菱形手鉢.jpg


サントリー美術館は、この展覧会のあと、リニューアル工事でしばらく休館するそうだ。


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