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コンスタブル展 [展覧会(西洋画)]

コンスタブル展.jpg


三菱一号館へテート美術館所蔵の「コンスタブル展」を見に行った。
私は風景画が好きで、高校生の頃は、コローが好きだったが、ニューヨークの邸宅美術館
「フリック・コレクション」で、コンスタブルの「ソールズベリー大聖堂」を見た途端、
憧れの景色!と思った。

コンスタブルは、1776年、ロンドン北東部サフォーク州の生まれ。
1才年長のターナーと共に19世紀を代表する風景画家である。
ターナーがヨーロッパ各地を旅し、その景観を描いたのに対し、コンスタブルは主に
故郷の景色を描いた。ターナーに比較すると地味という評価だが、私はコンスタブル
びいきである。
コンスタブルが画家として生活して行こうと思った時代、絵の需要は、肖像画であった。
コンスタブルも頼まれて肖像画をいくつも描いている。
これは妻マライアの肖像。

Constable_Maraia.jpg

写真はないが、集団肖像画の「ブリッジス一家」は見応えがあった。
コンスタブルが尊敬し、画風を参考にしたのは、ゲインズバラだったので、
ゲインズバラの作品も展示されていた。ゲインズバラは等身大の人物画の
背景に風景を用いている。(Portrait of  Mrs.Lowndes-Stoneを参照


フランスで印象派の画家たちが、戸外で制作を始めたのに倣い、コンスタブル
も1802年から戸外での油絵制作を始めた。
「フラットフォードの製粉所」1812年
この絵が展覧会のチラシやポスターに使われている。

Constable_Flatford.jpg

コンスタブルは自然を綿密に観察して描いた。
夏の間は、空気の良いロンドン郊外のハムステッドに家を借りて戸外での制作に
励んだ。雲だけを描いた作品がいくつもあり、この展覧会でも展示されている。
「ザ・グローブの屋敷 ハムステッド」1821~22年。この雲も印象的。
onstable_Hamsted.jpg

結核を患っていた妻のために、海辺の街ブライトンに何度も行き、そこでの
情景を描いている。ブライトンの景色が4枚も展示されている部屋では、
「あ~こういう海岸だった、波が高くて、、」と以前、ドライブ旅でここに
一泊したときのことを思い出した。大きな絵なので、着飾った観光客と土地の子供、
漁師、廃船と海辺の様子がよくわかり、一大観光地としての往時が偲ばれた。
「チェーン桟橋 ブライトン」1826~7年

Constable_Brighton.jpg


妻が亡くなった後は、ソールズベリーで大聖堂を描き、司教と親交を結び、
悲しみを忘れようとした。前述の私が好きな絵「ソールズベリー大聖堂」は、
そういう経緯で描かれたものとわかった。


1832年のロイヤル・アカデミーの展覧会では、コンスタブルとターナーの作品が
並んで展示された。
「ウォータールー橋の開通式(ホワイトホールの階段、1817年6月18日)」
Constable_WalterLooBridgeOpen.jpg

この横130センチの大きな絵に対し、ターナーの絵は横91㎝
「ヘレヴーツリュイスから出航するユトレヒトシティ64号」
Constable_Tarner.jpg
発表前の手直し期間に、訪れたターナーは、コンスタブルの絵の壮大さに驚き、
自分の絵の手前右寄りに赤いブイを描き加え、絵が引き立つようにした。


名声を確立した晩年のコンスタブルは、実際に見た景色に筆を加え、理想的な
風景画を制作した。
「虹がたつハムステッドヒース」1836年。
何回も描いてきたハムステッドヒースの景色に虹を描き加えたもの。
この絵は、最後に展示されていて撮影可だった。
Constable_撮影可.jpg


写真で見るより、実物の方がずっと良い。大きな絵の場合は、細かい所まで
見え、「こんなところに人物が、、、」と発見したり、塗り方の厚みも感知
できる。
予約をしなくてもすいていれば入場できますが、予約をした方が確実に見れる
のでおすすめです。
5月30日(日)まで開催

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