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ピカソと巨匠たち展 [☆彡Paris  展覧会]

 パリのグラン・パレは、1900年のパリ万博のために建てられた荘厳な建物。
現在は、ナショナル・ギャラリーとして、注目度の高い展覧会が開催される場所。
だから毎回、パリに行くときは、グラン・パレでは何をやっているか、わくわくしながら調べる。

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  今回は、「ピカソと巨匠たち展」
評判の催しなので、この写真のように40分並んではいった。

 ピカソの絵と、お手本にした巨匠たちの絵を並べて展示することで、ピカソがどのように
真似をし、並べ替え、歪曲、破壊などで、作品を構成していったのかがわかる。

「ゴヤの自画像と、ピカソの自画像『Yoo,Picasso』1901年」
色彩は違うけれど、構図が似ている。

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右「シャバンヌの海辺の若い女」  左「ピカソの髪結い」1906年

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髪を結うという主題をまねている。
同じく影響をうけたと見られるルノワールの「髪を結う女」の絵も展示してあった。

1900年頃は、ピカソの「黒の時代」
「エルグレコ風の顔」 1899年  下は、エルグレコの「若い紳士の肖像画」1600年

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 単に巨匠たちの真似をするだけでなく、1952年からは、変奏連作の時代。
お手本にしたのは、ドラクロワの「アパートでのアルジェの女」

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これを、主題に、何枚もの変奏連作「アルジェの女」1955年 を描く。
描かれるたびに、ドラクロワのオリジナルとは異なるものになっていく。

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 今回の展覧会のハイライトは、「ヴェラスケスのラス・メニーナス」
(これはスライドだけ)
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これが、ピカソの手にかかると、
「赤を基調にしたラス・メニーナス」1957年。
後ろのドアを開けてはいってきた人、中央のマルガリータ王女、鏡に映る国王夫妻、
王女のまわりにいる侍女や道化が、どのように変わっていったかが興味深かった。

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これをさらにデフォルメすると、下の絵のようになる。
これが今回の展覧会の図録の表紙。

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「マネの草の上の昼食より」 1961年
これは、10種類以上の変奏があり、それらは、今回、マネの「草の上の昼食」と
共に、オルセー美術館で展示されている。

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 戦争の時代の展示室は暗く、スルバランの「神の子羊」の絵にだけスポット照明が
当たっていた。この絵がとても胸を打つ。
だからピカソの描いた骸骨の絵の前は素通りしてしまった。

 最後の部屋は、ヌードだった。
上:「ティツィアーノのヴィーナス」を参考にして、ピカソが描いたのは、
下:「裸婦とギターを弾く男」 1970年

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このティツィアーノの他に、ゴヤの「裸のマヤ」、マネの「オリンピア」という壮観!
ピカソ作品よりも、こちらに見入ってしまった。

「ゴッホのアルルの女」を参考にして描いた絵もあった。
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 その他、レンブラント、ニコラ・プッサン、クールベ、アングル、モネなどなど、、
ピカソが注目した絵、そのホンモノがさりげなく展示されている実に豪華な展覧会だった。

 これだけの絵を集めるために、なんと6億円かかったそうだ。
芸術の国、フランスならではの展覧会だろう。ずっしりと見ごたえがあった。[黒ハート]



 ★ うれしいことに、この記事にヒントを得たとおっしゃって、
     yk2さんが、「ピカソとそのお手本を遡る」 という記事を
      匁さんが、「ラスメニーナス」 という記事を書いていらっしゃいます。
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