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琳派芸術(光悦・宗達から江戸琳派へ)展 [展覧会(日本の絵)]

 昨年の2月に、出光美術館で見た光琳の「紅白梅図屏風」と、抱一の「紅白梅図屏風」は、
忘れられない豪華絢爛さだった。光琳の金色の一対の屏風と、抱一の銀色の一対の屏風。

 ところが今年は、光琳と抱一の「紅白梅図屏風」を会期を分けて展示するとのこと。
「じゃ、抱一の銀のだけでいいわ」(光琳のは前にも見ていて、抱一のは昨年始めて)
と、思っていたら、朝のNHKの日曜美術館が、この展覧会の特集。金色屏風の豪華さ、
扇を貼り付けたものも見たい、思い立ったが吉日!と出かけた。

チラシ.JPG

 琳派とは、光悦・宗達から、光琳、抱一、其一と継承されていった日本画の形式
のことである。

 1、俵屋宗達
 宗達は、江戸時代前期(17世紀)に、京都で新しい装飾画の様式を生み出した。
当時の徳川幕府の御用絵師は、桃山時代から続く「狩野派」であったから、宗達の
顧客は、寺院、公家、富裕な町人であった。

 「扇面散図屏風」、六曲一双。金色の地に金色の扇を描き巡らした金ピカの屏風。
扇には、それぞれ違った模様が描かれている。草花が多いが百人一首のような
人物画、月に雲もあった。豪華で派手。

扇面散図屏風.JPG

 「扇面散貼付屏風」、六曲一双。
上の金ピカは、扇の数が数えられないが、こちらは10枚の扇が貼られている。
屏風の地の遠景に山、手前に水辺が描かれ、水辺の植物が描かれている。
金箔や銀の砂子が撒かれ、景色全体が扇を引き立たせている。
上の金ピカに比べると、こちらの方が上品で、落ち着いた佇まいだった。

扇面散貼付屏風.JPG

 有名な「月に秋草図屏風」、よく目を凝らして見ると、すすきが全体に背景のように
あるのが見える。これに色がついていて、さらに他の花ももっと色鮮やかだったら、
と描かれた当時の原型を想像してみた。花の競演だったのだろう。


 「四季草花図屏風」、六曲一双 (根津美術館蔵)
右から左へ向かって、春から夏にかけての花が描かれている。一双なので、もう一面
は、秋から冬の花。一つ一つの葉や花が細かく、正確に描かれている。しかも下の金地
が、少し透けて見えるような薄塗りの技法。背景に溶け込むようにということだったのだろう。
上段に丈の高い花、下段に草花と、きちんとした配列。

四季草花図屏風根津.JPG

 これを発展させた形として、後の時代の弟子の「四季草図屏風」に、どの花も全部同じ
大きさ、さながら花図鑑というのがあって、面白かった。

 宗達は、水墨画にも長けていて、「墨梅図」は、墨の濃淡と緩急だけで、梅の枝と花を
みごとに表現していた。宗達の筆運びは、おおらかさがあって、見ていると和む。
「龍虎図」、この時代、虎を実際に見た人がいなかったので、丸顔の虎。[猫]
龍も空に浮かんでいるかのようで、睨み合っている位置だけど、ちっともこわくない(笑)
虎龍.JPG

2、尾形光琳
 宗達が亡くなって50年後、宗達の画風は工房で引き継がれていた。
京都の高級呉服商の生まれた光琳は、宗達派の草花図に学び、発展させ、独特の
大胆な構図の作品を制作した。

 紅白梅図屏風 (図録のスキャンで、白い線の光がはいってます。スミマセン)
有名なので、部分だけの写真が多いけれど、これが全貌。六曲一双。
上の屏風の大きな木の複雑な枝ぶり。白い花と赤い花が、画面で絡み合う。
下の屏風の広い空間、右端に一部だけ見える梅の木。下には水や岩。

光琳紅梅図屏風1.JPG

              光琳紅梅図屏風2.JPG

 光琳の墨絵画「蹴鞠布袋図」もあった。布袋を描くのが得意だったそうだ。
宗達同様、ユーモアのある墨絵だ。

 弟の陶芸家、尾形乾山のために描いた「茶碗絵手本」。簡単に描いたようだが、的確。
茶碗絵.JPG

 
尾形乾山作の鉢
(上)色絵芦雁文透彫反鉢
金泥の雁、銹絵の芦。器の反部に大胆に穴を開ける事で、更に先の風景までも
想像させる大変面白い形。  
(下)色絵竜田川文透彫反鉢  
奔流する波の動きの立体的な表現、波に呑み込まれる紅葉の姿、色合いも美しい。
乾山小鉢.JPG

   

3、酒井抱一   
抱一は、徳川10代将軍家治の時代に、姫路藩主酒井家の次男として、江戸の別邸
で生まれた。絵は幕府奥絵師の江戸狩野派より手ほどきを受けたが、30歳の頃より
光琳に惹かれ、光琳風の草花図を描き始めた。
抱一の作品展示は、第二章ということで、次回(2月11日~3月21日)になる。
今回は、「白蓮図」だけ。水墨画のような表現、蓮の白さが際立って清楚で美しかった。

           抱一蓮.JPG

    ☆第二期の記事は、こちらです。                                       


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