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「花flower華」展 [展覧会(日本の絵)]

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以前、山種美術館は、桜の名所の「千鳥ヶ淵」にあり、4月には桜にちなんだ展覧会をしていた。
広尾に越してから10年、今は桜に限定せず、花にちなんだ展覧会をしている。

展覧会は「四季を彩る」と題し、春、夏、秋、冬の順に展示がされていた。
とはいえ、季節柄、春の花の名品が多かった。

まず最初は、抱一の「月梅図」。静かな軸絵。
実際は、これよりもっと色が薄い。月の滲み具合いが地味に美しい。
梅の枝ぶりのみごとさ。
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この美術館でいつもはっとするのは、小林古径の絵。小さい作品がほとんどだが、
整った美しさがに魅せられる。
「白華小禽」木蓮に似た白い大ぶりの花は「泰山木」。緑の葉と瑠璃鳥の青が鮮やか。
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奥村土牛の「木蓮」も小品だが、木蓮の色、形が鮮やかで見入ってしまう。
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大観も小品の「山桜」、気品がある。
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この美術館の桜の絵の名品は、奥村土牛の「醍醐」。
京都の醍醐寺のしだれ桜。土牛は、6才年上の師・小林古径の法要の帰りに立ち寄った醍醐寺の
土塀のしだれ桜に美を感じ、いつか描きたいと思ったそうだ。
幹を中心に描き、広がる枝や花を全部描いていない画面だが、却って印象に残る。

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加山又造の有名な「夜桜」も、ここの所蔵品なので、展示されていた。

春は、桜のあと、牡丹が咲く。
渡辺省亭「牡丹に蝶図」は、牡丹の何層もの花びらに見入ってしまった。

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(部分拡大図)

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菱田春草「白牡丹」静かなたたずまいで気高い。

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土田麦僊「芥子図」は、赤い芥子の花が鮮やか。
杉山寧「朝顔図」 咲き終わってしぼんだ花と蕾が花と一緒に描かれている。
やさしく繊細な感じがする絵だった。

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制作年代が現在に近い山口逢春「唐壺芍薬」1964年は、モダンな感じ。

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同じくモダンだったのは、福田平八郎「花菖蒲」1957年

他にも有名作家の花の絵がたくさんあり、見応えがあった。

春の絵の紹介だけで、終わるが、秋の絵には、抱一の「菊小禽図」、「秋草図」、土牛「桔梗」、
靑邨「菊」、大観「寒椿」などがあった。

チラシの絵は、荒木十畝「四季花鳥」。

6月2日まで開催。

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