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オストゥ(Ostu) 5月と4月 [レストラン(イタリアン、スペイン)]

代々木公園にある「オストゥ」は、イタリアの中でもピエモンテ州の料理。
丁寧に美しく作られた一皿、一皿にシェフの腕を感じる。ミシュランの星を何年もとってきた
だけのことはある。
お料理は月替わりで、予約の場合はコース仕立て。
前菜2皿、パスタ2皿、メイン1皿、デザートで各々をメニューから選ぶプリフィックススタイル。


この間の土曜日、「金沢遊び」友達のJ から、学会で東京に行くから一緒にご飯をとメール。
5月だというのに30度越えという暑い日だったから、まずは泡(フランチャコルタ)を一本とって乾杯。
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前菜1は、ピエモンテ牛のローストビーフにツナソースかけ
ちょんと載ってるのはオリーブ。ケッパーベリー(ケッパーの実の酢漬け)
ピエモンテ牛は赤身で美味しいと定評があるそうだ。ツナのソース、合うかしらと思ったが、
肉があっさりとしているので、アクセントになる。私にはソースの量が多かったので、残りを
パンにつけて食べたら、おいしかった。
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前菜2、北海道直送のアスパラ。季節もの、太くて味わいがあった。

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3、パスタ1は、桜海老と春キャベツのタリオニーニ、ペペロンチーノ(唐辛子)
旬の桜海老がしゃきしゃきして美味しい。しかもたくさん入っていた。麺が細いのでソースが
よく絡む。これを食べながら、フォッカッチャも悪くなかった。

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4、パスタ2 チーズのラビオリ
小さいけれど濃厚で、白ワインにぴったり。
J とは、この冬(ずいぶん先だけど)の「金沢遊び」では、持ちよりワイン会をしましょうと
話がはずんだ。
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5、メイン うさぎ肉とオリーブの煮込み。うさぎ肉は敬遠されることが多いけれど、ちゃんとした
レストランのならとっても美味しい。周りに添えられたパプリカが味をひきしめていた。
おいしい赤ワインが飲みたくなる一品。
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すすめられたのは、GAJAのバルバレスコ2015年、グラスでもらったのに、
写真を撮ってくださいとばかりの設えがされた。これ、評判どおり、ふくよかで、さらりと
美味しいワインだった。

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次は食後酒、おすすめの貴腐ワイン「Le Muffe」 レ・ムッフェ
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デザートは、メロンの冷製スープにした。メロンってこんなに甘いっていうほど甘くて私好み。
甘いついでに、最後の、プティフール(小菓子)までおいしくいただきました。


以上が、5月でした。
4月は、お母様の介護のため、退職して、尾道に帰る同僚K との夜ごはん。
写真は、撮り忘れの連続で、3枚しかないのですが。。
前菜1、スモーク・サーモン、ドレッシングかけ
私は、スモーク・サーモンの生々しいのは苦手なのだけど、これは美味しかった。
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前菜2、焼いたホワイトアスパラ、ゆで卵のソースかけ

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パスタ1、ほたるイカとグリーンピースのパスタ

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月替わりのお料理なので、毎月、行けたらいいな。。

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福沢一郎展 [展覧会(西洋画)]

連休のある日、絵が好きな友達から「福沢一郎展、面白そうだから行きましょう」
と誘われた。興味があったけど、誘っても、誰も行かないだろうな、
と思っていたので、
渡りに船、早速、近代美術館に出かけた。
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福沢一郎(1898~1992)

群馬県富岡市に生まれる。東京帝国大学文学部に入学するが、学校にはあまり行かず、
朝倉文夫に彫刻を習う。1924-31年にフランスに滞在、彫刻を3年学んだ後、絵画に
転向。当時、フランスで流行していたシュールレアリスムを日本に紹介し、その後は、
社会批判を絵画で表現した。
晩年、文化勲章を受章。


●上のチラシの絵、「煽動者」1931年
パリ時代の制作。ヒットラーはすでにナチスを結成。この2年後に首相となるが、
軍国主義や粛清の暗い気配が夜の街を覆う。憲兵たちは慌ただしく街中を走り、
煽動者である中央の人物が、メッセージを拡声器で吐き出している。
実際にパリにいた福沢は、ヒットラーの下に団結しようとするドイツを批判的に
見ることができたのだろう。


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●「四月馬鹿」Poisson d'Avril  1930
エイプリル・フールのこと。フランスでは、「4月の魚」といい、魚の形をした
お菓子を食べたりするので、食卓の上や天井からさがった籠に魚が描かれている。
友達は常設でこれを見たから、福沢一郎を知っていると言っていた。
グラスでなく、食卓のキャンドルで乾杯しちゃうなんて、、、しかも、後ろの人は、
ワイングラスをどこまで傾けたらワインがこばれるか、ってやってみてる?グラスの
軌道が点線で表されている。
イラスト的なタッチだが、やはり画力がすばらしい。フランス的センスの絵。


展示は、ほぼ年代順。この後の帰国後は、作風が変わる。
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●「牛」1936年
明るいピンクの大地に驚く。牛は、雄牛で手前のは怖いほどの顔つきでこちらを威嚇。
奥にいる人間たちは、争っている。ここから向こうは争いの場だから来るなという意思表示
なのだろうか。
よく見ると、牛にはいくつか穴があいている。なぜ? 説明書きによると、
「これは満州国を表現。見かけと現実は違う。つまり日本から見たイメージと現地での
実際は違う。現地は穴だらけでぼろぼろ。牛は威嚇でなく、苦痛の表情なのだとわかる。
深いなぁ。。


●「女」1937年 (写真なし)
マザッチョの「楽園追放」をモデルにイブを描いたもの。
イブが悲嘆にくれたようすは、名画「楽園追放」の構図を思い出す。


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●「船舶兵基地出発」1945年
福沢も他の画家同様、戦争画を頼まれて、何枚か描いた。3枚ほど展示されていた。
当然、どれも暗い色彩の画面であるが、勇敢に戦っていますというものだった。
これも荒巻く波の中、船をこいで基地を出発する兵隊。1945年、終戦の年、無事、
帰れるのだろうか、と、胸が痛む。国民映画の宣伝用スティール写真をもとに描いた。


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●敗戦群島 1948年
敗戦だったが、戦争は終わったということで、空の色が明るい。
三角形構図を作る人々は疲弊し、死の一歩手前。

 

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●トイレットペーパー地獄 1974年
[彼らはなぜトイレットペーパーを奪い合うのか]
というキャプションが大きくついていた。
1974年なので、私にはわかる。
1973年、オイルショックによるデマ騒動。「トイレットペーパーがなくなる」。
それは大変とみんなが買いだめをしたため、店頭からトイレットペーパーがなくなった。
デマに翻弄される人々を描いている。

戦後、福沢の描く人間は、裸の原始的なものになってきた。群衆を表すには、それがいい
と思ったのだろう。
福沢は、戦後、南米・メキシコへ1年以上、長旅をした。そこで、がらっと作風が変わる。
原色中心の色合いに変わり、ステンドグラスのような作風。
旅ののち「文明批評としてのプリミティヴィズム」という展覧会を開催した。
その時の作品が ↓ である。「埋葬」1957年
撮影可能作品。


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福沢は知的なユーモアによって、社会の矛盾や人びとの愚かな行いを諷刺的に笑いとばした。
それが、チラシのメッセージ「このどうしようもない世界を笑いとばせ」なのだ、と
見終わってわかった。

作品は103点あり、ていねいな説明がついているので、見るのに2時間かかったが、見応えが
あり、とても良かった。

5月26日(日)まで。
同時開催の「杉浦非水」展では、図案家・非水による商業ポスターや絵はがき、原画などが
展示されています。昔の三越のポスターなど、今見ても斬新で、おしゃれな面がありました。
こちらもおすすめです。



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福岡市美術館 [日本の美術館]

福岡市美術館は、市の中心地にある大濠公園の中にある。
大濠公園は、中央に福岡城の外濠だった大きな池があり、池の周囲は2km。
ジョギングをしている人、散歩をする人たちがいた。

公園の正門から5~6分歩くと美術館に着く。
東京よりも九州の日差しは熱いので、5月の連休だというのに、もう日傘を

さして歩く人たち、帽子の人たち。日よけ対策をしてないのは私だけ。

入り口では、草間弥生の「かぼちゃ」がお出迎え。
建物は、東京都美術館と同じくコルビュジエに師事した前川国男の設計だが、老朽化
のためリニューアル工事をしていて、さきほど工事終了、再オープン。

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この彫刻は、エミリオ・グレコの「スケートをする女」(下左の写真)
木内克「エーゲ海に捧ぐ」(下右の写真) 木内はブールデルに師事した。

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公園の中には、美術館の広告が何か所にもあった。
リニューアル記念で、「これがわたしたちのコレクション」と銘打った所蔵作品展。
福岡美は良い作品をたくさん持っているので、見応えがある。

   コレクションハイライト(作品紹介)→ クリック


はいってすぐの部屋で目に付いたのは、この間、見たダリの聖母。
え~っと、どこで見たんだっけ。。国立新美でのダリ展だわ
奥さんをモデルにした「ポルト・リガトの聖母」

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大きな絵は、ラファエル・コランの「海辺にて」
ラファエル・コランは、黒田清輝の師。外光表現と古典的ながらものびのびとした裸婦。
サロン出品作。福岡は黒田清輝の故郷だから、この絵を購入したのだろうか。

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絵画だけでなく、陶器や古美術もあった。
福岡藩主だった黒田家菩提寺のひとつ、東光院が寄贈した仏像も展示。
電力王・松永安左エ門の寄贈コレクションがかなりあり、これもそのひとつ。
野々村仁清「色絵 吉野山図茶壺」

仁清_色絵吉野山図茶壺.png


シャガールの『空飛ぶアトラージュ』(鶏が空を飛んでる絵)
ミロ「ゴシック聖堂でオルガン演奏を聞いている踊り子」
アンディ・ウォーホル 『エルヴィス』『キャンベル・スープ』
ルーチョ・フォンタナ 『空間概念』
フジタ「仰臥裸婦」

吉田博「渓流」
福岡なので、出身の青木繁、坂本繁二郎 の作品
三岸好太郎 『海と射光』「蝶と貝殻」シリーズの中の作品。シュルレアリズムと
いわれているが、ほのぼのとしたものがあり、私は好きだ。青い空、海、ピンクの砂浜。
貝殻がころがる。横たわる裸婦が手前に大きく描かれてている。モディリアニの裸婦を
意識したといわれている。どんな絵かは、クリック


美術館に迎えに来てくれた友達Kuが、予約してくれた店「花の木」でランチ。
その昔、マリリン・モンローが来たという福岡の名店で、写真が飾ってあった。
公園の中なので、池が正面いっぱいに見え、気持ちがいい。

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デザートだが、「5月だから兜?」って友達と話してたら、お店の人が
「美術館のリニューアルにちなんだデザートでございます。ダリをイメージ
して作りました」 あー、髭のダリね。

お料理は、どれも美しく、上品な味で美味しかった。
器に入ってる緑はグリーンピースのムースで、手前の筍の微塵切りを混ぜて食べる。

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キャベツのポタージュ、カニ添え。下にフランがあるので、混ぜて食べる。
鯛のソテー、泡にしたソース。


レストラン花の木 → 


福岡、博多にいらっしゃることがあったら、この美術館はオススメです。
そして、レストランもナイスビューでいいですよ。



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千葉県立美術館 [日本の美術館]

10連休中に、千葉の方へドライブに行った。
やはり、かなり渋滞だったので、遠くに行くのはあきらめて、千葉駅からさほど遠くない
県立美術館に行った。

広い敷地に平屋の建物。緑が多く気持ちがいい。
入口には、千葉県出身の浅井忠の銅像があった。画家なので、パレットと絵筆を持つ像。

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庭に彫刻が配置されているのが、建物の中から見える。
遠くて、形がはっきりしないのだけど、緑の中で白が清々しい。

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カフェもあった。美術館自体が、がら空きだったので、お茶の時間でもカフェは私たちだけ。
全面ガラスで庭が見渡せる。手前に大きな桜の木。今は向こうにツツジが満開だった。


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展示室は5つか6つ、もっとかしら、、。

第一室は、企画展「富取風堂」展だった。
富取風堂は、昭和期の日本画家。日本橋に生まれるが、後に千葉県に移り住んだ。
今村紫紅、速水御舟らと「赤曜会」を結成し新しい芸術をめざした。
自然を主題として描いたものが多い。
「葛西風景」1937年 江戸川区の葛西。中川が真ん中を通る。木の大胆な感じが
今村紫紅を思わせる。
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「漁港の朝」1950年 「鯛の浦」港で釣れた鯛と桟橋や漁船。
それぞれが異なった視点から描かれていて面白い。
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「親子猿」1964年。キュート!
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第二室は、浅井忠の所蔵品展
会期ごとにテーマを決めて、展示している。
今期のテーマは「油彩画、水彩画」
最初は、コローの「フォンテンブローの風景」、次がファンタネージ作品2つ。

それから浅井の「藁屋根」1887年     「漁婦」1897年

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ほぼ年代順の展示でわかりやすい。
「フォンテンブローの森」 1901年

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あまり大きい絵はなく、小品で揃えられていた。


第三室も企画展で屏風絵特集だった。

庭にいくつも彫刻が展示されているが、彫刻専用の展示室もあった。
ブールデルの「聖母子」1921年。
ブールデルの彫刻は等身大より一回り大きく威圧感があるが、単純化された線の
優しい流れが、聖母子の神々しさ、優美さを表現していた。

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柳原義達のカラス、佐藤忠良の作品もあったが、千葉県出身の彫刻家の作品が多いのが
特徴だろう。


これらの展覧会は、7月7日まで開催されている。
緑の中でゆっくりくつろげる美術館だった。



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亀戸天神の藤の花 [絵が描かれた場所を訪ねて]

「亀戸天神」の藤の花を見に行った。
私は東京育ちなのだけど、亀戸はうちから遠いので、今まで行ったことがなく、
今回が初めて。

広重の「名所江戸百景」に描かれている太鼓橋と藤の花。
この絵を何度も見ているので、かねてから行ってみたいと思っていた。
太鼓橋の前景に藤の花がかかり、右に松、池に鳥 という構図。
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実際は、こうだった。
太鼓橋は赤く塗られていた。しかも鈴なりの人、人、人。
右の藤の花が角度によっては、絵での前景のように見えるのだろうか。

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これは太鼓橋の上から撮った写真。
太鼓橋を渡ったあと、緑の屋根だけが見えている社務殿に向かう人々。
連休中なので、人が多い。立錐の余地もなくぎっしり。
藤棚の花は盛りを過ぎたもよう。
左側に見えるのは、643mのスカイツリー。


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藤の花の写真を撮る人々。
長らく、私は、藤の花は、20~30cmくらいのものだと思っていたので、
鈴木其一の「藤花図」を見た時は驚いた。こんなに巨大な藤があるのだろうか?
想像で描いている?

(藤花図 細見美術館)

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ありました。こんなに大きい! 大藤という種類だそう。
花の中で、写真撮影中。


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亀戸なので、池には亀が。よく見ると、それぞれ違った種類。

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連休中は藤まつりが開催されている。
露店が50店出ているそうで、境内は大にぎわいだった。


追記:
Inatimyさんから、コメントで
「北斎の橋 すみだの橋」展のお話で出てきた「かめゐど天神たいこばし」と同じ場所ですよね。>
ときかれましたが、その通りです。北斎の絵も貼っておきますね。
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