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「奇想の系譜」展 [展覧会(日本の絵)]

東京都美術館で、江戸絵画「奇想の系譜」展を見た。

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奇想の系譜 江戸絵画ミラクルワールド」、そこに列挙されている画家たちは、
岩佐又兵衛狩野山雪伊藤若冲曽我蕭白長沢芦雪歌川国芳白隠慧鶴鈴木其一
私の好きな其一、
若冲、芦雪に「奇想」という言葉はしっくりこない気がしたが、
内容が魅力的だったので行った。前期と後期に分かれているが、前期は見たことの
あるものが
多かったので、後期に出かけた。

それぞれの画家に部屋が割り当てられる展示だった。
まずは一番人気の
1、伊藤若冲(1716-1800)
最近、人気が高い若冲。展覧会も、時々あるので、見たことがある作品が多かった。

米国・エツコ&ジョー・プライスコレクションのもので、「紫陽花双鶏図」 
「旭日雄鶏図」、「虎図」、「葡萄図」
MIHO MUSEUM所蔵の、「象と鯨図屏風」
とはいえ、絵に再会すると、ますます親しみが増す感じがする。

最近 発見されたという初期の作品「梔子雄鶏図」 個人蔵 
若い頃、30代の作品と推定されている。
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2、曽我蕭白(1730-1781)
「雪山童子図」  三重・継松寺
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雪山童子は、幼い釈迦。修行している時、鬼が唱える経の前半を聞き、鬼に喰われれば
後半を教わることが出来るというので、身を投げ出そうとしているところ。
赤、白、青の画面が美しい。近くで見ると、雪山童子の周りに雪が降っているとわかる。
蕭白の絵は、おどろおどろしさを感じることが多いのだが、この童子はかわいい。


「群仙図屏風」 文化庁 重要文化財        右隻

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芸大所蔵の水墨による「群仙図」もあったが、薄墨なので、これよりずっと穏やかにみえた。


3、長沢芦雪(1754-1799)
群猿図襖絵 兵庫・大乗寺 重要文化財 
猿たちの仕草や表情がそれぞれ違っていて、面白い。
蘆雪は、応挙の弟子。大乗寺の住職が若い頃の応挙を支援したお礼に、応挙は
弟子たちを率いて大乗寺に行き、襖絵や屏風絵を描いた。
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「白象黒牛図屏風」 米国・エツコ&ジョー・プライスコレクション
右隻

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左隻

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白い象と黒い牛。黒と白の対比。
象の背中にカラスがとまり、牛の足元には、白い仔犬がいる。これも黒と白の対比。



4、岩佐又兵衛(1578-1650)
岩佐又兵衛は織田信長に仕えた戦国武将の荒木村重の子である。
「山中常盤物語絵巻」 MOA美術館 重要文化財
牛若丸(後の源義経)の母、常盤御前が牛若丸を追って奥州に向かう途中、盗賊たちに
殺されたので、牛若丸が仇を討つという話。全12巻中、5巻が展示されていた。
胸に刀を突きつけられ、血を流して横たわる御前の姿を生々しく表現していた。
絵巻なので、順に見て行くことになる。
上方に拡大図が示され説明がついていたので、わかりやすかった。

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「官女観菊図」 山種美術館 重要文化財
官女たちが牛車の御簾をあげて、道端に咲いている菊を眺めている。

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5、狩野山雪(1590-1651)

「龍虎図屏風」 個人蔵

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6、白隠慧鶴(1685-1768)
白隠慧鶴は臨済宗の僧。数多くの書画を描いた。

「達磨図」 大分・萬壽寺
80才過ぎに描いた最晩年の絵。目をぎょろりと見開く達磨。赤い僧衣に黒の背景と線が
即興的な絵全体を引き締めている。


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これは、着色の絵だが、作品は、墨絵の方が多かった。


7、鈴木其一(1796-1858)
「百鳥百獣図」 キャサリン&トーマス・エドソンコレクション
これが、この展覧会で一番見たかった作品。初の里帰り展示。

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びっしりと描きこまれた動物と鳥。若冲の作風を思い出すが、其一の個性が光る。
百獣図では、前景の白い象が目だっている。
桐の木には鳳凰が止まっている。


8、歌川国芳(1797-1861)

「宮本武蔵の鯨退治」 弘化4年(1847)頃

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黒と白の対照が明快。鯨の背にのる武蔵の姿はかなり小さい。
盛り上がる波の構図は葛飾北斎の「神奈川沖浪裏」を参考にしているのだろうか。


個性的な画家たち8人の力作が揃い、見応えがあった。
*会期は7日(日)まで。

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