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窓展 (窓をめぐるアートと建築の旅) [展覧会(西洋画)]

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近代美術館へ「窓展」を見に行った。
窓をテーマに、絵、写真、建築が展示されている。
チラシに使われているマティスの絵は、窓から明るいニースの海が見え、開放的な
気持ち良さがある。2人の女性の服がモノトーンで模様が巧みに配されていておしゃれ。
マティスの後半の絵には、印象に残る服がいくつもある。「ルーマニア模様のブラウス」、
「ラ・フランス」は赤に白と青の服、フィラデルフィア美術館展(2007年)で評判になった
「青いドレスの女」のためには、ドレスを作ってモデルに着せたほど。

他にも、「クレー、デュシャン、リヒター、ティルマンスからル・コルビュジエ、カーンまで」
と書いてあるので、期待できそう。


●入ってすぐは年表。
勉強になりそうだったけど、絵を見たい気持ちがはやり、すっと流して見たが、
絵の部屋の前、写真で気になったのがひとつ。

●郷津雅夫の「Window]という12枚の写真。ニューヨーク、ブルックリンの各地で撮影。
1970年とか90年、モノクロ写真。そのためもっと古い時代に見える。

窓から子供、大人、いろいろな人が真剣な顔をこちらに向けている。閉じこめられてる?
気になったが、真相は外のパレードを見ているのだそう。
郷津はNY在住の写真家。


●次は建築の平面図、立面図、透視図など。
ロイド・ライト、アルド・ロッシ、ル・コルビュジエ、ルイス・カーンなどの作品が1点ずつ。
知らない建築家10名ほど。


●茂田井武 童画家 21歳でパリに渡りお金がなかったので、レストランで皿洗いのバイトを
しながら、ささっと描いた水彩画シリーズ。かわいい絵。パリの建物は今も変わらない雰囲気
のものがある。


●ロベール・ドアノーの写真が面白い、奥さんは、「ほら、これ」と何かを指さしてるが、
ご主人の視線は、隣の扇情的な写真に釘付け。モノクロ写真。


●絵の部屋の最初は、キルヒナー「日の当たる庭」 1935年
窓から、庭を見ている。窓辺には、吸いかけのたばこ。

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左:パウル・クレー「破壊された村」1920年
右:ハンス・リヒター「色のオーケストレーション」1923年


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左:マティス「窓辺の女」1920年
右:マティス「待つ」1921年
この2つの絵は、照明のせいで茶色っぽい写真になっている。


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左:ティルマンス tree filling window 2002年 写真 ティルマンスは68年生まれのドイツの写真家。
右:長谷川潔 「半開の窓」1956年 銅板画


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●岸田劉生「麗子肖像 (麗子五歳の肖像)」
北方ルネサンスの影響を受けた作品。上の額縁のような役割の赤の部分と
肩から下、着物の周囲に影を入れることで人物を浮き立たせる効果を出している。

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●マーク・ロスコ、リキテンシュタイン
ロスコの作品は、「窓」に見えるかも。

●ジョセフ・アルバースの作品がいくつもあった。複数の正方形を並べてるから
窓ともいえよう。アルバースはバウハウスの教育をアメリカで広めた。

●奈良原一高 奈良原は日本を代表する写真家だが、1月19日に88歳で亡くなった。
1983年に函館の男子トラピスト修道院と和歌山の女子刑務所で撮影した写真。モノクロ。
閉ざされた世界で生きる人の表情をみごとに写していた。印象に残る写真が何枚もあった。

●林田嶺一「キタイスカヤ街のとあるレストランの窓」2002年
林田は戦前生まれで、幼少期を旧満州で過ごした。終戦の日、家族でレストランに
いたとき、ロシア兵がやってくるのが見えたという記憶を残すための作品。
中央にロシア兵2名、RESTAURANTという文字以外はロシア語なのだろうか。
他にハルピンのおもちゃ屋のウィンドウに戦闘機が並んでる作品とか、戦争関連のもの
が多かった。反戦のため、戦後何年もたったが制作を始めたそうだ。

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●ようこそ西京国へ 架空の国「西京」、西京入国管理局を作り、「とびっきりの笑顔」
か「好きな歌の一節」を歌うを入国審査官の前でしないと入国できないしくみ。
体験型のインスタレーション。


●ゲルハルト・リヒター「8枚のガラス」 実際に8枚の縦2mはあるガラスの組み合わせ。
立体展示。プリズムのように自分が映る。


●「窓に住む家/窓のない家」藤本壮介
四角い窓がたくさんある家。これは一部分。実物の写真展示があった。
家の中に植栽がある、不思議なのだが落ち着く。

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帰り際、振り返ってみると、夕陽を背に白い建物が、違和感なくあった。
こういう展示は楽しめる。

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窓展」一言でいうと、内容豊富。たくさんの作品が展示されていて面白かった。
作品をいろいろな美術館から借りてきているので、準備も大変だったと思う。

2月2日
まで。金、土曜日は20時まで開館。

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