ガブリエル・シャネル展 [展覧会(絵以外)]
見に行った。予想通り、会場内は、ほぼ女性。男性はファッション業界人と
いう雰囲気の人のみだった。
ガブリエル・シャネル(1883~1971)は、20世紀で最も影響力があった女性デザイナー
なので、その名前は、大抵の人が知っていると思う。
チラシの写真のように本人も美しく、ドラマティックな生涯は、「ココ・シャネル」
(2008年)、ココ・アヴァン・シャネル(2009年)と映画にもなっている。
*ガブリエルが本名、愛称はココ
この展覧会は、パリ市立モード美術館で開催されたものの国際巡回展なので、
シャネルの仕事、つまり作品を年代順に展示している。
1966年春夏発表のドレス 。絹モスリンの軽やかさとスカート部分の
タック、何段にもなってゴージャス。身頃の軽やかさと対照的。
これは、1930年~1935年頃の作品。
昼間着る服。花柄プリントの絹のモスリンのドレスに(見えにくいが)
裁断した花のモティーフをあしらっている。
このほかにも1930年代の服があったが、今でも着れそうな飽きのこない
すきいりとしたデザイン。 ただし、手仕事部分がすばらしい。フランスの
オートクチュールの技量の高さがわかる。下のイブニング用のケープ、1923年製
だが、首周りに毛皮があしわわれ、絹サテンの肩の部分には丁寧で豪華な刺繍。
裾周りにも刺繍。
シャネルは、それまで女性がコルセットなど体を締め付ける下着をつけていた
ことに反発。動きやすくコルセットなしでも体が綺麗に見える服、上着が
カーデガンタイプののシャネル・スーツを考案した。
1965年、ウールツィード、下のブラウスは絹。
1971年、テーラードのジャケットとスカート、絹クレープ。
ガラリットボタン。
初期の作品は、シャネル自身のデザインだが、1971年にシャネルが亡くなった後、
メゾンは低迷。1983年にカール・ラガーフェルトをデザイナーとして迎え、シャネルの
考えを取り入れた新しいデザインで再評価され、活気を取り戻した。
しかしカール・ラガーフェルトは2019年に亡くなり、現在は別のデザイナーである。
シャネルは、服だけでなく、ジュエリー、香水、バッグ、靴もデザインし、それらも
大ヒットをした。シャネル N°5の香水は、マリリン・モンローの発言で有名になった。
写真のバッグと靴は、かなり長い間のロングセラーで、特にバッグは今でもデザイン
を変えたものが数種類、シャネルの定番である。私も20年以上使い、今のは2代目である。
会場の三菱一号館美術館は、明治時代の赤レンガの重厚な三菱本社のビルを
利用しての建築なので、伝統と気品のシャネルの展覧会に雰囲気が合っていた。
中庭には、英国風ガーデンということで、バラが植えられ、彫刻が置かれている。
前に来たときは、ヘンリームーアの母と子の彫刻だったが、今回は、「羊の形」
という彫刻。見る角度によって、かなり違って見えて、面白かった。
予約制ですが、私は4時半に行ったので、予約なしで大丈夫でした。
同行のM子さんは、「シャネルの服の人、いないのね」とがっかりしたご様子。
「夏にいい服がないのよ」といえど、バッグ、時計、指輪がシャネルだった。