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「金魚絵師 深堀隆介 金魚鉢」展 [展覧会(絵以外)]

「なんて説明していいかわからないけど、金魚を描いてるんだけど、本物
そっくりですごいのよ。生きてるようなのよ。どうやって描くのかTVでやってたけど、
丹念に丹念に、で、時間がかかるのよ」と熱心に語るから、「見たいんでしょ? 
じゃ、つきあうわ」 会場は、上野の森美術館。
Kingyo1.jpg

拡大すると、

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一合升の中に金魚が閉じ込められている!
まさか、生き埋め? と思えるほど、本物っぽい。


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夏に金魚をかたどった羊羹をゼリーで固めた綺麗な和菓子があるけれど、そのイメージ。
残酷と思えるほど、金魚がそっくりで立体的。
この一合升金魚が制作年代順に並べて展示してある。
初期は赤一色の平面的で痩せた金魚なのだが、どんどん立体的になり太ったランチュウに。

作り方は、樹脂を薄く流し金魚の絵を描く、乾くのを待って、さらに樹脂を流し、
金魚の絵を描き、と繰り返していくと高さができて立体的になる。絵の部分は
ある場所に青を淹れたり、白を足したりなど、透けて見える効果を考えて描いている。
乾くのを待つので、一つ制作するのに時間がかかる。


撮影禁止だが、いくつかOKのものがあり、これがそう。
大きなパネルに描かれた金魚。背景も使って立体的に見える工夫。

K_satueiOK.jpg


作者深堀氏の金魚に対する愛が伝わってくる。
いろいろな面から見た金魚の絵があったが、面白かったのは、小机の引き出しが
あいていて、そこに赤い小さな金魚がたくさん、、なんという発想。
広げた番傘の中にも水たまりと赤い金魚。
義母の嫁入り道具という昔のタンスの引き出しの中にも金魚の群れ。

金魚づくし。

最後に、金魚すくいコーナーあった。

この金魚はアニメっぽい。

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金魚すくいコーナーの天井の絵。

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お土産コーナーで、ファイルを買った。日本画の雰囲気の金魚。

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1月31日までです。気楽に見れて面白いです。

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舟越桂展 [展覧会(絵以外)]

渋谷の松濤美術館へ舟越桂展を見に行った。
今週のNHK「日曜美術館」で、紹介していたので、仕事が早く終わった日、
帰りに寄ってみた。
感染者が出た時のために、入り口で、自分の名前と電話番号を書く。
「観覧時間は1時間を目安にしております」と番号付きの札を渡された。


松濤美術館は、白井晟一設計の建物で、半円形の展示室は天井が高くアトリエ
のような佇まい。洒落ているが落ち着きを感じる居心地の良い空間。
Funakoshi1.jpg

舟越桂は日本を代表する
彫刻家で、等身大の上半身の人物像が多い。
どれも小顔で細身、上品さと優しさを持っている彫刻は、
楠に彩色をしたもの。

展示室に入った途端、部屋全体が見える。台の上に置かれた半身像は、鑑賞者と
ほぼ同じ背丈。ぽつん、ぽつんと配置されていた。
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「冬の本」1988年
モデルをお願いした女性は叔父が彫刻家という人。
当日、よそ行きのワンピース姿で現れたので、この間のような普段着で
来てほしかった、と舟越は言い、彫刻にするとき、服を普段着に変えた
と説明が書いてあった。
Funakoshi_Sweater.jpg
「夏のシャワー」1985年
セーターを着ているのに、タイトルが夏なのは、プールの思い出と関連が、、
後は忘れました。楠への彩色でセーターらしさがでているところ、Yシャツ
とネクタイの立体感が素晴らしい。
舟越桂の父は舟越保武というクリスチャンの日本を代表する彫刻家。ライ病の
人を救ったダミアン神父、
聖クララ、少年像など、清楚で美しい作品が多い。
母は詩人。弟も彫刻家、舟越直木。
桂は、東京造形大、東京芸術大学大学院卒。大学院時代に函館のトラピスト
修道院から「聖母子像」の依頼を受けた。
初期の作品は、上の2つのようにリアリティあふれ、人物の内面をも映し出していたが、
1990年代頃から、異形へと変化していく。

チラシの作品は、「水に映る月蝕」2003年。妊婦のような丸い身体。全体としては、
洋梨の形。手は、キリストの体に触れたマリアの手という意味合いで、別の作品に
使われていたが、ここでは翼のようにも見える。
写真はないが、「山を包む私」「遅い振り子」も気になった作品だった。

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「スフィンクスには何を問うか」2020年。
スフィンクスが人間に謎解きを迫る「スフィンクスの謎を解くオイディプス」
というアングルの絵があるが、この作品は逆に、人間がスフィンクスに謎解き
を投げかけている。私にはスフィンクスの首が馬のように見えた。
これとほぼ同じ原型で、彩色されていず、しかめっ面をした作品、
「戦争を見るスフィンクス」2006年は、2003年におきたイラク戦争に対する
怒りと嘆きの表情で、戦争への抗議の作品である。


最後に、余った木を使った木彫りのおもちゃや子供のために作った車などが紹介
されていて、良き家庭人としての一面が見えた。クリスマスのカードも可愛く、
クリスチャンの家であることがほのぼのとしたものと共に伝わってきた。
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父、保武の作品と弟、直木の作品も数点、展示されていた。

1月31日(日)まで開催。


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「工藝2020」展(東京博物館) [展覧会(絵以外)]

上野のトーハクへ「工藝2020」展を見に行った。
コロナのために事前予約制とのことだったが、先週行った友達が、
「混んでないから、入り口で普通にチケットが買える」と言っていたので、
予約なしで行った。

工藝2020_ちらし表.jpg

トーハクの表慶館が会場。
天井が高く広いので照明が暗く感じる。
1階は重鎮の人たちのコーナーで、撮影可だが、こんな写真しか撮れない。


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今日、11月3日、文化勲章を天皇陛下から頂いた人形作家「奥田小由女」の作品
「海から天空へ」。ブルーが美しい。人魚のような海の精だろうか。赤ん坊連れもいる。
この写真より、実物のほうがずっと美しく品がある。

工藝奥田人形.jpg

漆工の人間国宝「室瀬和美」の「柏葉蒔絵螺鈿六角合子」
金・銀・銅の柏葉。端正な美しさ。

室瀬_漆柏葉六角.jpg

戴金飾箱。戴金は、キリガネと読む。
江里朋子「静夜思」彩色した桐と桑の箱に金箔とプラチナ箔の細く切った線状のもの
を貼ったもの。精密な作業。

工藝_キリガネ.jpg

こちらは大胆な色使い、構図の戴金。
月岡裕二「切金砂子彩箔「凛」、彩色した箔を細かい粉(砂子)にして貼っている。

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漆工の伊藤裕司「赤富士」色漆に金箔、蒔絵。
写真ではわからないが、絵と違って厚みがある。

赤富士.jpg


今泉今右衛門の「色絵雪花薄墨墨はじき雪松文蓋付瓶」
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陶芸は、今右衛門、樂直入、三輪休雪、備前、などの伝統的なものに他に、
形、柄が楽しい個人作家のものも数点あり、面白かった。
染色の着物や布地にも、美しさに見入るものがいくつもあり、感心する。
日本の伝統工芸の精密さ、美しさ、素晴らしさが伝わってくる良い展覧会だった。



外に出たら、5時だったが、薄暗くなり博物館のライトアップが始まった。

工藝展博物館.jpg


暗くなったので、夜ご飯はどこで食べようかということになり、上野なのでトンカツ。
「ぽん多」へ行った。何十年かぶりなので、場所が不確かでGoogleMapのお世話になる。
メニューは、「あなごフライ、イカフライ、、、トンカツ」と5種類。
友だちが、「ほんとにここ?」「何で?」「トンカツ屋なのに、トンカツが1種類だから」
白っぽい仕上がりで軽く、柔らかさ、この上なし。
もちろん、美味しかったです。


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「継ぐ」展(菊池寛実記念 智美術館) [展覧会(絵以外)]

kikuti_ちらし.jpg


菊池寛実記念 智美術館は、ホテルオークラのすぐ近くの、こじんまりした
個人美術館で駐車場がある。数寄屋風の住居のように低層で落ち着いた建物で、
いろいろな工夫があり、趣味の良さが伝わってくる。手入れの良い日本庭園もある。
落ち着く素敵な美術館で、個人美術館の良さを楽しめる。
陶芸品を多く持っているので、陶芸展が主である。

今回の展覧会は、陶芸の中でも「継ぐ」ということに焦点を当てている。
昨年は、伝統ある京都の樂家で十五代樂吉左エ門、萩の三輪家で十二代三輪休雪
の襲名が行われたので、お二人の作品が展示されている。
他に、日本の代表的陶家、有田の酒井田柿右衛門、今泉今右衛門の作品も展示され、
継承のみでなく、創意・工夫をこらしている作品をじっくり鑑賞することができる。


上のチラシの写真は、樂直入(十五代樂吉左エ門)の作品で、この写真では、
わからないが、パッチワークのように材質の異なる十二面から成っている。
各面は、それぞれ色・模様が異なるという珍しい現代的なセンスもある茶碗。
私は、これが見たくて行った。


(1)樂直入の作品は、20点くらいあった。
樂家は、千利休の思想のもと、ずっと楽茶碗を作っている。
「焼貫黒楽茶碗」蕨
焼貫(やきぬき)の技法は、黒樂より高い温度で炎との融合をはかり、複雑な窯変
を作る。とても難しい焼き方と言われている。チラシの作品も「焼貫黒楽茶碗」銘 華 である。
これが出来るまで、いくつの茶碗が壊されただろうか。

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他の樂直入の作品も魅力的だった。
・華やかに大きな月と満天の星をちりばめた茶碗、色合いからすると、秋から冬の星座。
・朧月夜の二層の雲の茶碗。闇の表現も立体感がありながら、情緒もある。
・明けの明星と木の陰から朝日が昇る様子の茶碗も景色が浮かぶ。
・風をイメージした茶碗も良かった。
自然を、風景を茶碗に取り込む、アイディアがすばらしいし、引き込まれる。

(2)
十二代三輪休雪
三輪家は長州藩(主に現在の山口県萩市を拠点とした)の御用窯として江戸時代前期から
続いてきた萩焼の名門陶家で、歴代、休雪の名前を継承し、萩焼の伝統技法を現代に伝えている。

十二代は、「生命・愛・死」をモチーフに独創的な作品を作る。萩焼の革命児で、
パリでの個展など、世界的評価がきわめて高い。
「祈り」2015年 白っぽい萩焼。
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(3)酒井田柿右衛門
酒井田家は有田で上絵付を為した家として伝えられ、鍋島藩の許可の元、色絵磁器の窯元
として活動してきた。色絵具の発色を際立たせる濁手(にごしで)と呼ばれる白磁胎の上に、
地を活かすために余白を大きく残して非対称に描かれる柿右衛門の色絵磁器を現代に繋げている。
「濁手菜花文鉢》1975年頃
まっすぐに伸びた茎がデザインっぽい。伝統的柿右衛門より絵が現代的になっている。

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(4)今泉今右衛門
今泉家は、鍋島藩(肥前・現在の佐賀県を領有)の藩窯で作られた色絵磁器「色鍋島」において、
代々赤絵師を務めた。廃藩後に素地作りから焼成まで色絵磁器の一貫生産に取り組み、今右衛門
として現在まで色鍋島を伝えている。

「鍋島薄墨露草大鉢」1981年
十二代は、色鍋島での薄墨技法を展開し、薄墨の作品を創出した。
色を出すのがかなり難しいそうだ。

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この展覧会は会期が11月まで。もう一度行ってもいいなと思える展覧会だった。

だいぶ前に行ったときの記事。ttps://taekoparis.blog.ss-blog.jp/2008-05-30


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オラファー・エリアソン展 [展覧会(絵以外)]

東京都現代美術館で、「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展を見た。
現代美術はあまり興味がないのだが、NHK e-TVの「日曜美術館」での紹介を見て、
面白そうと思った。
オラファー・エリアソンはロンドンの美術館では、壁に作った太陽で夕陽鑑賞会を行い、
ニューヨークのイーストリヴァーには巨大な人工滝を作ったり、と、都市の中に自然を
つくる試みを成功させている。
作品は体験型なので、実際に行って、参加するのがベスト。

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オラファー・エリアソンはデンマーク生まれ、アイスランドとデンマークで育つ。
作品を通して、サスティナブル(持続可能)な世界の実現を試みている。
光や水、氷、霧などの自然現象を取り入れた知覚体験を試みるインスタレーションを
作り、注目されている。


●「太陽の中心への探査」2017年
ガラスでできた複雑な多面体、これを太陽に見立てている。
多面体の中心から出る光が、多面体の面に当たり、反射して壁や床に映る。
様々な色が組み合わされた万華鏡のようにキラキラ光り美しい。
しくみを理解するのに、時間がかかった。天井から吊るされた多面体は
ゆらゆらと揺れ、それがまた反射に複雑さを添えている。
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次の部屋には、何もない。
しかし、人が通ると、人の影が動く。
パリのポンピドーで見たジャコモ・バルラの作品と同じアニメの原理。
●「あなたに今、起きていること、起きたこと、これから起きること」という名前の作品

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●「Who is afraid」2004年
天井から吊るされた丸い3枚のガラス板。空間を移動する。光を当てると壁に色が
映る。光源はどこ? 形が重なる時に色の重なりが生まれる。

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円盤3.jpg


●「時に川は橋となる」2020年
展覧会のタイトルになっている新作。
暗い部屋。水を張った丸い水盆に並べられた円形の白く薄いものP。
動力でさざ波を起こし、ライトを当てると、水面で起こる頭上に波紋のように白いPがゆらめく。
絶えず流動的に動く世界情勢を表しているそうだ。

水盤.jpg



●「ビューティ」1993年
初期の代表作。暗闇の中に虹が現れる。滝の中を歩くこともできる。
チラシに使われているのは、この作品。

滝虹.jpg

見終わって:
たしかに体験型は面白い。↑の滝には私も入ってみたが、服は濡れず面白かった。

会期は、9月27日(日)まで。


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明治神宮の白い虎 [展覧会(絵以外)]

日曜日、「コロナ太りだから歩きたい」という友達につきあって、明治神宮の森の道を
歩きました。いきなり現れたのが、これ。

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本物ではないけれど、ちゃんと毛並みが綺麗。
前から見たら、こんなにかわいい。


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この金色の眼は、丸の内仲通りにいた「ライオン」と同じね。
丸の内仲通りで、ライオンを見たのは、昨年の3月のこと。
たてがみが毛糸のマフラーのようで、足の指がかわいい!」アイホンで撮影。
三沢厚彦作と書いてあった。最近、用事以外のお出かけをしないので、今も
このライオンがここにいるのか、分からないけれど。。


Misawa_Lion.jpg


明治神宮のホワイトタイガーが気になったし、春の頃には、名和晃平の「白い鹿」
を原宿駅から大鳥居をくぐって歩く参道の左側で見かけたので、何かのイベント
に違いないと調べた。
https://bijutsutecho.com/magazine/news/report/21549
<後日、再訪で撮った写真>
名和晃平「白い鹿」
神宮白い鹿.jpg
松山智一「Wheels of Fortune」 鹿の角と車のホイールの組み合わせ
神宮の銀車輪オブジェ.jpg
  
時々行く店で、ブルーベリー、キュウイ、シャインマスカットのゼリー。
「飲む、食べる時以外は、マスクをしてください」と厳しい基準。

葡萄ゼリー.jpg


前々記事「ピーター・ドイグ展」の帰りに、常設展にまわった。
ミース・ファン・デル・ローエの椅子「MR10」が、バウハウス展に合わせて
展示されていた。隣の絵は、吉岡堅二「椅子による女」1931年。すわっている椅子が、
パイプチェアー「MR10」のようだ。上手い展示だな~と感心した。

パイプ椅子_ミース近代美術館.jpg

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