マダム・グレ回顧展(ブールデル美術館にて) [☆彡Paris 展覧会]
マダム・グレ(1903~1993)の回顧展に行った。
マダム・グレは、戦後のパリのオートクチュールを代表するデザイナー。
作品を保存している装飾美術館の主催だが、会場はブールデル美術館。
彫刻の美術館で、ファッションの展示とは意外。
ブールデル(1861~1929)は、ロダンの弟子。作品は5m級の大きいものが
多く男性的。ブールデルの住んでいた家が、美術館となっている。
第一室はブールデルのアトリエ。彼が使っていた当時のままなので、彫刻が
雑然と置かれている。傑作「瀕死のケンタウロス」の圧倒的存在感!
ガラスのケースにはいったトルソー。鮮やかな色の優美なドレス。クレオパトラの
イメージ。ギリシア繁栄の時代が浮かぶ。
明るい第二室は、現代的な服。トルソーには緑の服。ケースの中には、
スポーティな赤い服が広げて展示されていた。
作品のうしろに見えているのは、ブールデルの彫刻。「シャンパトゥール夫人
と赤ちゃん」
第三室からあとは、広い展示会場。
友達E は、元々ファッションの仕事だったので、絵の展覧会は、さっと見終わるのに、
これは違った。じっくり眺め、「ここは手縫いだわ」とか、「ドレープに重みを持たせる
のに、この処理よ」などと、解説してくれる。
所々に置かれている彫刻が、展示された服を引き立てている。
グレは、プリーツの女王と呼ばれたそうで、実に美しいプリーツの数々。
日曜日のせいか、意外なことに、男性客が多かった。
右はベルト。細いウェスト。エリザベート50センチの伝統でしょうか、pistaさん(笑)
テラスには、ブールデルの作品が並ぶ。代表作「弓を引くヘラクレス」。
壁のレリーフもブールデル作品。
意外に思えるが、ブールデルの弟子は、細長い彫刻のジャコメッティ。
裏庭もあった。ここは訪れる人も少なく静かだった。
「聖母子」、隣は「瀕死のケンタウロス」(山梨県立美術館の彫像、yk2さん記事)
E は、アルゼンチンの大佐の騎馬像を「勇ましくていいわ」と、気に入って、
「ここで写真撮って」と言ったが、大きいので全部を入れるのが大変だった。
ブールデル美術館は、モンパルナス駅の近く。
帰り道、ここでも、ずらっと植えられた桜が満開できれいだった。
後のビルはモンパルナスタワー。
翌日、買ってきた服をE に見せると、笑って、「あなたって影響されやすいのねー。
昨日、見たグレのに似てるじゃない。ほら~プリーツだし」。言われてみれば、
たしかにそうだった。
<付記> Inatimyさんが、パリ郊外の「モーリス・ドニ美術館」にいらしたのですが、
そこの庭に、ブールデルの代表的な彫刻が置かれています。ご覧ください。
パリ・リュクサンブール公園 [☆彡Paris 街歩き]
パリの日曜日はお店が休み。
だから、友達Eが休みの日曜日には、いっしょに公園へ行く。
Eの家の近く、日本に支店がいくつもあるパン屋「ドミニック・サブロン」で朝食。
小さな菓子パン3個とコーヒー、フレッシュジュースで、6ユーロ(720円)。
「これ、安いから、6ユーロって書いてあるとこも入れて撮ってね」と、E。
左上のメニューに6.00€、でも、字が小さいから、この写真では、見えない。
「Ev.は一つしか食べないから、私たち4つずつね」
おいしい! 外にパンを買う人の行列がずっと続いているのが、頷ける。
こちらは数日前、シャンゼリゼ通りのマカロンで有名な「ラ・デュレ」で。
カヌレを頼んだ。リッチでおいしいので、お気に入り。
パン屋さんから歩けない距離ではないけれど、バスに乗って公園へ。
リュクサンブール公園は、パリで一番広い公園。入り口に立って眺めると、
奥にある宮殿が霞むほど。ここは、元々は宮殿の庭だった。
今、宮殿は議会の上院が使っていて、時々、企画展が開かれている。
時折、小雨のふる日だったので、ほとんど人がいなかった。
幾何学的なフランス式庭園だけど、横には並木の続くイギリス式庭園がある。
彫像が多いのでも有名。そして、いくつもの椅子が配置されている。
公園の入り口にある噴水は、数人の合作で、中央部分は、カルポーの
「地球を支える4人の女性像」
そして、お出迎えは、左右のライオン像。よく見ると愛嬌のある表情でかわいい。
庭の右の通路には、フランスの歴史上有名な女性王族たちの彫刻が並ぶ。
Eに、「ほら、わかるでしょ」と言われ、「メアリ・スチュアート?」「そう、高校の時、本読んだ
じゃない。ツヴァイクの」。右は「Jeanne d'Albret」、知らないと答えたら、アンリ4世の
お母さんで、聡明な人」。Ev.は、彫像の名前を読んでは、「○○か」と納得していた。
少し、横の方には、こんな彫刻も。踊っているような少年。
うしろに、パリの守護神「ジュヌヴィエーヴ」を祀ったパンテオンがくっきりと見える。
パンテオンの地下には、デュマ、ユゴー、ゾラなど偉人の埋葬所があるそうだ。
「マリー・ド・メディシスの泉」、背の高い木々に囲まれ静か。
雨上がりのプラタナスの新緑は、透き通るようで美しい。
左側の売店が商品を並べ始めたが、まだ人はまばらで、椅子は空っぽ。
イギリス庭園に行った。向こうに見えるのは鹿の彫刻。
左側の白い花は、りんごの花。満開のりんごの花を見るのは、初めて。
ここの椅子も空っぽ。
これが、りんごの花。
最後は、宮殿を背にして、入り口、街の方を見たところ。
花壇の花がピンク・紫色系統でまとめられ、きれいだった。
☆パリ在のInatimyさんの「ライオンから続く散歩道」に、リュクサンブール公園の
ことがもっと詳しく書いてあります。写真もたくさんありますよ。
パリの休日、展覧会巡り [旅行(ヨーロッパ)]
サンセールに行く前は、パリで友達Eの家に2泊。Eは幼稚園から高校まで
ずっといっしょの親友で、フランス人Ev.と結婚している。
「もらった泡、シャンパンじゃないけど、瓶がきれいで、あなた喜びそうだから、
とっておいたの。これ、飲みましょ。」
Jaillance (ジャイヤンス)の Grand tradition.香りがいいし、甘すぎない。
「Taekoが、カモのテリーヌを好きだから、って、Ev.がスーパーを4軒も回った
けど、どこにもなかったんですって」 まぁ、なんていう歓待ぶり。メルシーEv.。
「代わりに、パテ・ド・カンパーニュを買ったって。」「それ、どこにあるの?」
よく見れば、ピクルスの下に隠れてた。これも好き。
「いつものクルベット(海老)。こっち、先に食べましょ。ソースはマヨネーズでいい?」
「ムタール(マスタード)少し入れて」
グリーンサラダもあったけど、食べなかったので、写真忘れ。
これで、終わりかと思ったのに、「メインは、帆立よ。つけあわせ何にする?
きのこ?じゃがいも?」「じゃがいも」「あはは、そう言うと思ったわよ」
「チーズは、これがおいしいから」と、すすめられる。
私も最近は、ロックフォールチーズをおいしいと思う。
しかし、よく食べる。。自分で感心。
今回、エールフランスが放射能回避でソウル経由。4時間多くかかるので、JALにした。
そしたら、機内食が少なくて。。
「オフィスの近くにおいしいチョコレート屋さんがあるってきいたから、行ってきたのよ。
そこのケーキ。チョコはそっちに置いてあるから」
Malitourne っていう店だった。
TVのニュースでは、「Fukushima」とテロップが流れた。
「毎日、やってるのよ。フランスは80%以上が、原子力発電だから、関心が高いの。
もうtsunamiじゃなくて、放射能のことばかりね。原子炉に関しては、こっちの解説
の方が、図解でわかりやすいわよ」と、新聞を見せてくれる。
空港からのタクシーの運転手さんにも、「日本人?日本大丈夫?」って、きかれ、
「東京は大丈夫」って、答えながら、こんなとき来て、、とちょっと後ろめたく感じた。
翌日は平日なので、朝、オフィスに出勤する友達といっしょに家を出た。
パリでも、所々で満開の桜に出会い、うれしかった。
来るたびに、寄るのが、シャンゼリゼにある「TOYOTA」のショールーム。
目立つ場所に展示してあるのは、未来型の「コンセプトカー」。
F1仕様のレーシングカー。奥には、売り物の実用車。
ロンポワン・シャンゼリゼ、この少し先の「グランパレ」で、プッサンやロランの
風景画展を見た。詳しいことは、後日、別記事で。
グランパレでは、「ルドン展」も見た。こちらのほうが人気らしく混んでいた。
その後、ルーヴル美術館へ行った。
彫刻のたくさんある中庭がお気に入り。ここはベンチがあるので、ゆっくりと休める。
不精をして、ベンチにすわったまま撮った写真。
「あら?変な黒い彫刻が。。」と、近づいてみると、「Tony Cragg,2010」
英国の現代アートの彫刻家、トニー・クラッグの作品。70年代末にゴミを
プラスティックの壁に貼ったアートで話題になったそうだ。
他にも数点、クラッグの黒い彫刻が、置いてあった。
古典彫刻の中庭に、黒い現代アートを配置するという対比のおもしろさ。
(7月までの期間限定)
帰り際、出入り口のピラミッドの所で、ふと上を見上げると、ここにもクレッグの作品。
赤い作品だったが、あまり違和感がないのが面白い。古いものと新しいものを融合
させるのが上手なパリ。
企画展としては、ドイツ人の彫刻家「フランツ・グザビエ・メッサーシュミット」
Franz Xaver Messerschmidt(1736~1783) の回顧展をやっていた。
この写真のように、変な表情のものばかりで、思わず、笑ってしまうものが
ずらりと勢ぞろい。
ウィーンで活躍した人なので、入り口にマリア・テレジアの金の胸像があった
が、これはさすがに、面白い表情ではなく、威厳あるいかめしい顔だった。
ブールジュ大聖堂(世界遺産) [旅行(ヨーロッパ)]
3日目は、Bの車で、隣町ブールジュの大聖堂を見に行き、そこから
列車でパリに戻ることにした。
ブールジュの大聖堂は、正式名称「サン・エティエンヌ大聖堂」。
12世紀末から13世紀末まで、かかって建てられたゴシック建築。
とても大きいので、全体写真は無理だったから、写真はお借りした。
(フランス政府観光開発機構のオフィシャルサイトより)
建物だけでなく、13世紀のステンドグラスや、正面玄関の彫刻の美しさも有名。
建物は、翼がないのが特徴。(普通のカテドラルは十字架形の平面図)
はいってみると、高いアーケードに驚く。そして光がたくさん差し込んで明るい!
天井は、6分ヴォルト。ステンドグラスがまばゆい。
前の講壇から、後を見た写真。中央に下げられてるのは、香炉。
側廊のステンドグラス。「これは聖書の物語になってるんだよ。昔の人は、字が
読めなかったから、これを見て聖書を学んだんだ。ほら、あっちのはキリストの
一生が描かれてるよ」と、Bが説明してくれた。
正面玄関は、5つ扉があるが、これは中央の大きい扉。
扉の上の彫刻(浮き彫り=レリーフ)は、「最後の審判」
拡大図:
上段中央、玉座にすわり、手を広げるキリスト。左に十字架を持つ天使。
中段、中央で魂の重さを量る黒い天秤を持っているのが、大天使ミカエル。
ミカエルの左側は、選ばれし者たち、右側は地獄に堕ちた者たち。
下段、蘇る死者たち。
アーチの部分の装飾は、天使の顔になっていたりと、細部まで面白い。
正面玄関に続く壁には、ワインを造るプロセスの浮き彫りもあった。
ブールジュで、おいしいと評判のレストラン(名前忘れ)で、昼食。
アミューズ(お通し)。
左は、トーストした食パンにパテ・ド・カンパーニュをはさんだもの。
中央、クロワッサン、バターがきいていておいしい。
右は、帆立のすり身、ビスク(海老のソース)入りクリームソース。
前菜には、ベーコン入りビスク、ポーチドエッグ入り。
主菜は、鯛、ひらめ、サーモン、白身の魚、海老のソテーにムール貝入りビスクソース。
気付いたら、海老の味のものばかりを選んでいた。
Ju..に「天敵の海老ソースだけど、大丈夫なの?」ときいたら、「かゆくなってきた」
チーズはワゴンで、好きなだけのサービス。
切ってもらっているのは、大好きな「ブリア・サヴァラン」。濃厚だけどさわやかな味。
(日本だと値段が高い)
デザートは、「タルトタタン」を選んだ。
昨日のJu..宅のパーティに、お友達が手作りの「タルトタタン」を持ってきてくれた。
パーティの後、「タルトタタン大好き」と、切り分けてもらって、食べたとたん、「!」
りんごではなくて、「ナベ」というアフリカ原産のカブの種類の野菜。
どう見ても、りんごの甘煮に見えたけど。。
ワインは、アンリ・ブルジョワの白「ラ・コテ・デ・モンダーム」
大聖堂とレストラン、2つの目的を終えて、駅についたのは4時20分。列車は4時半発。
はらはらしながら、切符を買う列に並んで、、間に合ってよかった。
オルレアンで乗り換えて、パリ・オステルリッツ駅に7時半頃着。タクシーで、夜ごはんを
待っている友達の家に帰った。
サンセールでワイン [旅行(ヨーロッパ)]
サンセールは、空が広くて、ずっと丘が連なるこんな景色の場所。
これは泊まったホテルの朝ごはんの部屋からの眺め。手前はプール。
午前中、生産者ヴァシュロンさんのカーブを見学したあと(前記事)、
町で人気の店へランチに行った。
私のは、「3種のクロックムッシュ(チーズをのせて焼くトーストパン)」
ハム、レタス、フレンチフライ(ポテト)がついてきた。
Ju..は、ハンバーガー(チーズバーガー)。同じく、レタスとフレンチフライつき。
ワインは、ロゼ。「アンリ・ブルジョワにしましょ。赤坂で飲んだでしょ。ほら、
yk2さんもいっしょのとき」
午後は、車で15分くらい、郊外の名門生産者「ジャン・マックス・ロジェ」へ見学に。
この家が、そう。風見鶏が十字架の上についていた。
御当主の息子、エティエンヌが案内してくれた。
ちょうど掃除の最中。タンクが大きい。
ワインを寝かせるカーブ。石造りなので洞窟のよう。
害虫駆除用の道具が壁にかけてあった。
土の奥深くまで差込み、ぶどうの根の害虫を除去するためのもの。
これは完成したワインを運びだす倉庫。四角いパレットには、500本のワインが
はいるそうだ。
さて、見学が終わったところで、試飲。
試飲なので、全部飲まない。捨てるための器が右の壷。葡萄の模様が重厚。
窓の外に緑の木々が見えて、気持ちがいい。
前日、レストランで飲んでおいしかったのは、ここの「サンセール・キュベGC」。
サンセールの他に、「Menetour Salon」(メヌトゥー・サロン)というアペラシオン
も作っている(写真左)。右の紋章で囲まれたラベルのは、VieillesVignes
(古くて良い木)から作られたもので高級。
生産年が違うと、味も違うので、「やっぱり、2008年は良い年だから、こちらの方が
余韻が深いですねー。」「これは香りがすばらしい」などと味わっては、Ju..がコメント
をする。そのコメントが適切なので、エティエンヌも上機嫌で、「ちょっと待ってて」と、
奥へ行っては、新しい瓶を持って来る。「これは、どう?」
ついに、こんなに開けてしまった。
そこへ、先ほどから、こちらの様子をちらっ、ちらっと伺っていたお母さんが、
やってきて、「シノワ?」(中国人)。「ノン、ジャポネーズ」。
あわてて、エティエンヌが、「今度、サンセールに来たJu..さん。ほらBの、、」
Ju..が、「私はソムリエなんです。日本ではインポーター(ワインの輸入)もしてました」
。これを聞いて、お母さんは、『この人はうちの商売に役立つわ』と思ったらしく、
途端に態度豹変。にっこりと、「どうぞごゆっくり」
数えてみたら18本! エティエンヌ、ありがとう。
それから、エティエンヌに町の中央の「ワイン博物館」まで送ってもらい、博物館の
「塔の一番上」へと階段を登った。360度全方位で見渡せる見晴らしのよさ!
しかも気温21度で快晴。
ワイン博物館は、行くたびにワインをふるまってくれる。
サンセールの丘を背にして、大空のもとで飲むワインは、おいしい。
5時頃だったけど、まだ陽が高いので、ぶどう畑見学に連れて行ってもらった。
のんびりとして、なんて、すてきな場所!
この手前の白い花の咲いてる木は、「アーモンド」。
ゴッホの絵にもでてきたっけ。花が桜に似てる。
足元にはたんぽぽ。日本のより茎がすくっとまっすぐで長い。
畑の角には、お守りの意味もあって、十字架が立っている。手前にはバラ。
バラは害虫がつきやすいので、ぶどうの葉に害虫がつく目印になるのだそう。
ぶどうの木は、剪定が終わった所。まだ葉がついてないので殺風景。
かたつむり発見!
かたつむりは、ぶどうの葉を好きだったと思い出す。
夜は、Ju..の家で、誕生パーティ。庭に照明をつけて、15人のガーデンパーティ。
空がとっても近くて、星が宝石のようにちりばめられ、瞬いていた。空気が澄んでいる
ので、星がとってもきれい。地球が丸いと感じられる夜空だった。
Ju..は、お料理が上手で、ワインに合うマリネやディップを作ってあった。
「おいしいお店があるから買ってきた」というハム、パテ・ド・ラ・カンパーニュが絶品。
「makiは、ないの?」ときく人。以前、Ju..が、巻き寿司を作ったら、「maki」と大評判
だったんですって。
みんなに愛され、大切にされてるJu..を見て、「ここに住むことになって、Ju..よかったね」
としみじみ思った。
サンセールでの休日 [旅行(ヨーロッパ)]
3月29日から、ロンドンに4泊、帰りにパリにという旅をN嬢と計画していたが、
大地震、津波、原発の放射能問題。。
N嬢が3日前になって、「こんな時に、行く気持ちになれない」とキャンセル。
私は、職場に休むと言ってあるので、行く先を変更して一人旅。パリとJu..のいる
サンセールに行くことにした。
注:サンセールは、フランスで有名な白ワインの産地。ロワール河流域。
パリは各地方への列車の出発駅が異なる。サンセールはブルゴーニュ方面
なので、Bercy駅から乗る。Bercyは最近開発された郊外の町なので、列車の
駅もホーム2つの小さな新しい駅だった。
前の晩、インターネットで、列車の時刻を調べたら、一日3本だけ。2時発、
4時20分着に乗ることにした。フランスは切符を買うのに時間がかかることが
多いので、1時間前にBercy駅に行った。
切符を買ってから、安心して、コーラを買って、Eveが作ってくれた食パンの
サンドイッチを食べた。
列車は定刻に出発。1時間以上ノンストップで走り続けたあと、10分間隔
くらいで駅に停まって行く。私の乗った車輌には、乗客が5~6人いたのだが、
ひとつ前の駅で、全員おりてしまった。次の降りる駅で、半手動のドアを開けら
れなかったら大変、と、心配になり、ドアのそばに人がいる車輌まで移動した。
サンセール駅に降りたのは、私ひとりだけ。見回しても誰もいない。ホームと
いっても15センチ位盛り土しただけのもの。静かでのどかな景色。
迎えに来てくれるはずのJu..に電話をすると、「今、向かってるから、もう少し
待ってて」。ほどなくして、Ju..とBが車で登場。
サンセールは人口が5000人の小さな町。郊外にワイン畑が広がっている。
パリから車で一直線に来れる便利さがあって、ワインと観光の町。
3ヶ月前に来たばかりのJu..も町を歩くと、ボンジュール!の連続。小さな町
だから、みんな知り合いなんですって。
町には、古いけれど、かわいい建物が多い。
これは塔のある古い建物だが、改造して中は明るくモダンで、「ワイン博物館」
になっている。Sancerreと名前入りのグラスでワインの試飲をさせてくれた。
町をぐるっと一巡りした後、Ju..の家に行き、庭で「これ、とってもおいしい」
というおすすめのロゼワインで、アペリティフ。
庭からも、ぶどう畑や連なる丘が見渡せて飽きない景色。夜7時半でもこんなに
明るい。
フランスのレストランのディナーは8時に始まるのが通例。
「サンセールにも、ミシュランのひとつ星レストランがあるから、予約しておきました」
シェフが日本料理好きだそうで、影響受けてる!というお料理がいくつもあった。
左:アミューズの一皿目。3人分。生の白アスパラと生春巻き、いくらのせ。
この白アスパラは、生で、飾りなので、食べられない。
右:灰色のボールは、カプチーノ仕立ての海の幸。赤いのはウニ。
グラスのシャンパンで乾杯。
前菜を二皿選び、メインを肉か魚からひとつ選ぶ構成。
私が選んだ前菜は、子牛のタルタル。飾りの野菜の置き方がきれい。
ラングスティーヌ(手長海老)、ブロッコリー、青菜、コリアンダー風味。タイ料理っぽい。
ワインは、もちろんサンセール。白は、Jean-Max ROGER.
これは、私には、とびっきりおいしかった。
赤は、FRANCOIS CROCHET。
メインは、子羊ステーキ。
デザートは、パイナップルのラビオリ。デザートにラビオリを使うとは斬新。
最後は焼き菓子。マカロンとキャラメル。黒いお皿が和のテイストっぽい。
とってもおいしかった。伝統的なフランス料理ではないから、軽く食べられる。
エレガントなサンセールのワインによく似合うお料理だった。
翌日、町の中にあるカーブのドメーヌ・ヴァシュロンを見学させてもらった。
ここは、化学物質を使わないビオデナミ製法。
右の写真の石は火打ち石(シレックス)。実際にこすり合わせると、焦げ臭いにおい。
この石を含む土壌が、ミネラル分たっぷり、華やかな花の香りのワインの元。
ワインの木樽とステンレス樽。ワインによって使い分けている。
瓶詰め作業をする機械
ラベルを貼る機械
製品になったワイン。この6本を試飲させてもらった。
御当主、ヴァシュロン氏。