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エミール・クラウスとベルギー印象派展 [展覧会(西洋画)]

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東京駅北口構内にあるステーションギャラリー(美術館)で、今日までの展覧会。
昨日、見て、とてもよかったので、ご紹介。

エミール・クラウスは、1900年頃のベルギー画壇で中心人物だった人。
当時のベルギーはパリとの行き来が盛んだったので、
「パリ⇔ブリュッセル」1848-1914という両者の交流を描いた展覧会
パリで開催されたこともある。

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「昼休み」 (1887~1990) 個人蔵

ベルギーの印象派は、後に「ルミニスム(光輝主義)」とよばれるようになる。
フランスの印象派、新印象派と異なり、多種多様な要素を含んでいる。
上の「昼休み」も清々しい田園風景。逆光で描き、大気を感じさせる。

チラシの絵は「野の少女たち」 1892 個人蔵
木靴を手に持ち、黄金色の麦畑の中を歩いてくる少女たち。
大きい絵なので、実際に見ると、向こうから少女たちが行進してくるように
見え、こちらをじっと見つめる少女の瞳も印象に残る。

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「レイエ河畔にすわる少女」 1892 個人蔵

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「レイエ川の水飲み場」 1897 姫路市立美術館
水辺に映る木々や牛の姿。みごとな逆光表現。沈む夕日の色が美しい。

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「ノウゼンハレン」 1901 個人蔵
実際の花は、もっときれいなオレンジ色。奥行き感のある背景。

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「そり遊びをする子どもたち」1891 ゲント市美術館
凍ったレイエ川。冬の光を浴びて氷面が多様な色に輝き、左端には雪が残る。
背景の空にも光が反射している。
この絵は、前述のパリでの展覧会に出品されていた。

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「月昇る」 1912 個人蔵
霞んだ夕景。水への月の反射。静けさを感じる。
日本画の雰囲気がある月と手前の葦、水鳥。

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「ウォータールー橋、黄昏」 1918 個人蔵
ロンドンのウォータールー橋。第一次大戦中、クラウスは英国に避難。
ウォータールー橋をのぞむ場所に部屋を借りていた。
黄昏、夕日の輝きは川を照らすだけでなく、通りにまで及ぶ。

この展覧会は、最初の部分に、モネ、ピサロ、シスレーなどの絵があった。
モネ「霧の中の太陽(ウォータールー橋)」 、比較ができて面白い。
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当時、日本から留学し、クラウスに絵をならった児島虎次郎、太田喜二郎の
作品も20点近く展示されていた。

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児島虎次郎「和服を着たベルギーの少女」1911 大原美術館
実際に見ると、着物の柄が浮き上がって見えるような粗い筆づかい。
当時流行になり始めたフォーヴを思わせるような激しい色彩。しかし背景は、
繊細に描かれている。
この絵は、クラウスから高い評価を受け、サロン・ナショナルに入選した。
児島虎次郎は、大原孫三郎と同郷で親しく、大原美術館創設のために絵を
パリで買い付ける役をした。

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「春の光」1916 大原美術館

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太田喜二郎「乳屋の娘」1911 京都国立近代美術館

他に、レイセルベルヘ、アンリ・マルタン、シダネル、イポリート・プティジャンなどの
絵もあり、よかった。とても充実している展覧会だった。

 *以前に府中市美術館で見たエミール・クラウスの絵

 


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