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昨年のリヒテンシュタイン展とハプスブルグ展 [展覧会(西洋画)]

携帯の写真を遡って見ていたら、昨年12月にBunkamura の「リヒテンシュタイン」展で
撮った写真があった。撮影可の一部屋があったからである。


1、「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝」展 Bunkamuraザ・ミュージアム

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チラシの花の絵の作者は、19世紀前半オーストリアの重要な画家ヴァルト=ミュラー。
中国風の花瓶はウィーン窯のもの。
こ花の絵も素晴らしいが、他にも綺麗な花の絵が金色の額縁に入って輝いていた。
「バラと杏のある静物」

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バラの絵と同じくヴァルト=ミュラー「赤と白の葡萄と銀器」

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同じくヴァルト=ミュラー「ハルトシュタット湖の眺め」

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絵だけでなく、ティーセットや飾り皿などもあった。
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2012年に国立新美術館で見た「リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝展」の
ほうが、絵画は良いものが揃っていた。


(2)ハプスブルグ展 西洋美術館

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こちらのハプスブルグ展も2012年に国立新美術館で見た「THE ハプスブルグ」展
の方が私には、良かった。
家系図のおさらいには、今回の方がよい。ミュージカル「エリザベート」の上演で
ハプスブルグ家は、マリー・アントワネットの他に、エリザベートでも有名になり、
会場には、ミュージカルファンらしい若い女性が大勢いた。

ハプスブルグ家は、私はあごの長い神聖ローマ帝国の「ルドルフ2世」。
アルチンボルドの描いた「ルドルフ2世」。
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スペイン系のハプスブルグ家は、オペラ「ドン・カルロ」のモデルであるフェリペ2世
の頃が黄金時代だった。

ベラスケスを宮廷画家にしていた「フェリペ4世」
フェリペ4世.jpg


ベラスケスが、描いたフェリペ4世の娘が「王女マルガリータ」、チラシの絵。
マルガリータは、オーストリアのレオポルド1世の王妃となる。

2代後が、女帝マリア・テレジア
マリア・テレジア.jpg


娘、マリー・アントワネットは、フランス王ルイ16世の王妃となる。
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オーストリア王のフランツ・ヨーゼフ1世
ウィーン美術史美術館を建設した。
フランツヨーゼフ1世.jpg


王妃エリザベートの美貌は有名である。

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1400年から1800年半ばまで栄華を誇ったハプスブルグ家。ルドルフ2世から始まり美術品
蒐集が趣味の王様が多かったので、膨大な美術品を持っていた。それらの多くは、
ウィーンの美術史美術館に保存されている。この展覧会は、オーストリアと日本の
国交150周年を記念して、時代ごとの美術品が約100点展示されていた。



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「継ぐ」展(菊池寛実記念 智美術館) [展覧会(絵以外)]

kikuti_ちらし.jpg


菊池寛実記念 智美術館は、ホテルオークラのすぐ近くの、こじんまりした
個人美術館で駐車場がある。数寄屋風の住居のように低層で落ち着いた建物で、
いろいろな工夫があり、趣味の良さが伝わってくる。手入れの良い日本庭園もある。
落ち着く素敵な美術館で、個人美術館の良さを楽しめる。
陶芸品を多く持っているので、陶芸展が主である。

今回の展覧会は、陶芸の中でも「継ぐ」ということに焦点を当てている。
昨年は、伝統ある京都の樂家で十五代樂吉左エ門、萩の三輪家で十二代三輪休雪
の襲名が行われたので、お二人の作品が展示されている。
他に、日本の代表的陶家、有田の酒井田柿右衛門、今泉今右衛門の作品も展示され、
継承のみでなく、創意・工夫をこらしている作品をじっくり鑑賞することができる。


上のチラシの写真は、樂直入(十五代樂吉左エ門)の作品で、この写真では、
わからないが、パッチワークのように材質の異なる十二面から成っている。
各面は、それぞれ色・模様が異なるという珍しい現代的なセンスもある茶碗。
私は、これが見たくて行った。


(1)樂直入の作品は、20点くらいあった。
樂家は、千利休の思想のもと、ずっと楽茶碗を作っている。
「焼貫黒楽茶碗」蕨
焼貫(やきぬき)の技法は、黒樂より高い温度で炎との融合をはかり、複雑な窯変
を作る。とても難しい焼き方と言われている。チラシの作品も「焼貫黒楽茶碗」銘 華 である。
これが出来るまで、いくつの茶碗が壊されただろうか。

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他の樂直入の作品も魅力的だった。
・華やかに大きな月と満天の星をちりばめた茶碗、色合いからすると、秋から冬の星座。
・朧月夜の二層の雲の茶碗。闇の表現も立体感がありながら、情緒もある。
・明けの明星と木の陰から朝日が昇る様子の茶碗も景色が浮かぶ。
・風をイメージした茶碗も良かった。
自然を、風景を茶碗に取り込む、アイディアがすばらしいし、引き込まれる。

(2)
十二代三輪休雪
三輪家は長州藩(主に現在の山口県萩市を拠点とした)の御用窯として江戸時代前期から
続いてきた萩焼の名門陶家で、歴代、休雪の名前を継承し、萩焼の伝統技法を現代に伝えている。

十二代は、「生命・愛・死」をモチーフに独創的な作品を作る。萩焼の革命児で、
パリでの個展など、世界的評価がきわめて高い。
「祈り」2015年 白っぽい萩焼。
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(3)酒井田柿右衛門
酒井田家は有田で上絵付を為した家として伝えられ、鍋島藩の許可の元、色絵磁器の窯元
として活動してきた。色絵具の発色を際立たせる濁手(にごしで)と呼ばれる白磁胎の上に、
地を活かすために余白を大きく残して非対称に描かれる柿右衛門の色絵磁器を現代に繋げている。
「濁手菜花文鉢》1975年頃
まっすぐに伸びた茎がデザインっぽい。伝統的柿右衛門より絵が現代的になっている。

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(4)今泉今右衛門
今泉家は、鍋島藩(肥前・現在の佐賀県を領有)の藩窯で作られた色絵磁器「色鍋島」において、
代々赤絵師を務めた。廃藩後に素地作りから焼成まで色絵磁器の一貫生産に取り組み、今右衛門
として現在まで色鍋島を伝えている。

「鍋島薄墨露草大鉢」1981年
十二代は、色鍋島での薄墨技法を展開し、薄墨の作品を創出した。
色を出すのがかなり難しいそうだ。

zzKijkuchi_Imaemon.jpg


この展覧会は会期が11月まで。もう一度行ってもいいなと思える展覧会だった。

だいぶ前に行ったときの記事。ttps://taekoparis.blog.ss-blog.jp/2008-05-30


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コロナ後は瀬里奈から [和食の店]

コロナで自粛の半年、東京からのGO TOキャンペーンもOKになったことだし、
まずは、どこに食べに行きましょう? 

「松茸の土瓶蒸しとカニ、牛しゃぶの秋の味覚コースがいいわ」、M子さんの
希望にこたえて、六本木の瀬里奈へ。
(お店の料理写真をお借りしました)

せりな2.png


瀬里奈はいつも、先付が美味しい。

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土瓶蒸しは写真撮り忘れ。


カニ、「身をこちらで取ってきますか?」「はい、お願いします」
もちろん、美味なり~。

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しゃぶしゃぶ。沸騰するまでは、ヒマなので、写真を撮ったけど、あとはもう
食べるのに忙しく写真なし。

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デザートは、白玉あずき、アイスのせ。
和食の店で、デザートが、「水菓子」、つまり、果物だと、うちで食べられるのに、
とがっかりだけど、これは、美味しくて満足。

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今日が最終日の「和巧絶佳」展、汐留のパナソニック美術館へ行った。
「会場内の人数を一定にします」、で、出た人数を順に入れて行くシステム。
30分くらい待って入った。 展覧会のサイトはここ ** 


1970年以降に生まれた工芸作家12人の作品の展示。
まず最初の展示は、レディ・ガガの厚底ブーツ。花魁の「ぽっくり」にヒントを
得たそうだ。もちろん皮製。10㎝くらいの子供用もあったが、転ばないのかしら?

●舘鼻則孝の制作。

●深堀隆介の「金魚」は、桶や升の中に水をはってアクリルで作った金魚を浮かべたもの。
たくさん金魚のいる場所に波紋が広がり、水草も配され、本物そっくり。

●新里明士の「光器」 透かし彫り、蛍焼きの鉢。光を受けて美しい。

●池田晃将の螺鈿の箱。ディジタルを意識して、切り抜いた数字をはめ込んでいるのだが、
拡大鏡で見ないとわからない細かさ。

●安達大悟の染色の布。コンピュータの中のようにいくつもの半導体が連なっている模様。

●山本茜の「戴金」ガラスへの戴金。ガラスの色が美しい。

●坂井直樹の「侘びとさびの花器」長方形の枠形にコデマリが活けてあった。
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オラファー・エリアソン展 [展覧会(絵以外)]

東京都現代美術館で、「オラファー・エリアソン ときに川は橋となる」展を見た。
現代美術はあまり興味がないのだが、NHK e-TVの「日曜美術館」での紹介を見て、
面白そうと思った。
オラファー・エリアソンはロンドンの美術館では、壁に作った太陽で夕陽鑑賞会を行い、
ニューヨークのイーストリヴァーには巨大な人工滝を作ったり、と、都市の中に自然を
つくる試みを成功させている。
作品は体験型なので、実際に行って、参加するのがベスト。

OlafurEliason.jpg


オラファー・エリアソンはデンマーク生まれ、アイスランドとデンマークで育つ。
作品を通して、サスティナブル(持続可能)な世界の実現を試みている。
光や水、氷、霧などの自然現象を取り入れた知覚体験を試みるインスタレーションを
作り、注目されている。


●「太陽の中心への探査」2017年
ガラスでできた複雑な多面体、これを太陽に見立てている。
多面体の中心から出る光が、多面体の面に当たり、反射して壁や床に映る。
様々な色が組み合わされた万華鏡のようにキラキラ光り美しい。
しくみを理解するのに、時間がかかった。天井から吊るされた多面体は
ゆらゆらと揺れ、それがまた反射に複雑さを添えている。
MOT多面体.jpg


次の部屋には、何もない。
しかし、人が通ると、人の影が動く。
パリのポンピドーで見たジャコモ・バルラの作品と同じアニメの原理。
●「あなたに今、起きていること、起きたこと、これから起きること」という名前の作品

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●「Who is afraid」2004年
天井から吊るされた丸い3枚のガラス板。空間を移動する。光を当てると壁に色が
映る。光源はどこ? 形が重なる時に色の重なりが生まれる。

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円盤3.jpg


●「時に川は橋となる」2020年
展覧会のタイトルになっている新作。
暗い部屋。水を張った丸い水盆に並べられた円形の白く薄いものP。
動力でさざ波を起こし、ライトを当てると、水面で起こる頭上に波紋のように白いPがゆらめく。
絶えず流動的に動く世界情勢を表しているそうだ。

水盤.jpg



●「ビューティ」1993年
初期の代表作。暗闇の中に虹が現れる。滝の中を歩くこともできる。
チラシに使われているのは、この作品。

滝虹.jpg

見終わって:
たしかに体験型は面白い。↑の滝には私も入ってみたが、服は濡れず面白かった。

会期は、9月27日(日)まで。


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東京ステーションホテルのフレンチ [レストラン(フレンチ)]

東京駅の建物には、南口と北口、2つの丸いドームがある。
ドーム部分の3階建の吹き抜けの天井は、創建時の姿に復元され、薄黄色地に翼を
広げた白い大鷲のレリーフが8角形の角に配置され美しい。
北口ドームの下はステーションギャラリー、南口のドームの下は、ステーションホテル
になっている。

1階は改札、2階はヨーロッパ風の白いアーチと太い柱の回廊で、カフェやレストラン
があり、3階は、東京ステーションホテルの客室。
東京駅南口.jpg


ステーションホテルのレストランは2階。
神戸から1名上京するので、学生時代のメンバー6人でランチをすることになり、
「ステーションホテルなら、わかりやすいし、個室があって、気兼ねなく話が
できるから、少し部屋代を払ってもあそこがいいと思うわ」と、ここに決まった。
(使った個室の写真、サイトからお借りしました)

StationHotelFrench1.jpg


これも昨年の9月のこと。
「信州こだわりの野菜のサラダ」というように、素材の産地を書いた料理の説明がきの
メニューが各人用にテーブルの上にあったが、もう、すべて忘却の彼方。写真の羅列に
なってしまうけど。

1、前菜
スモークドサーモンと戻りカツオのマリネ、サラダ野菜と一緒に。

9月StationHotel11.jpg


2、三崎より直送 鮮魚のポワレ、トウモロコシ添え
グリーンオリーブとバジルのクーリ(茹で野菜を漉したソース)


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3、牛ほほ肉の赤ワイン煮と牛タンのグリエ、コンディメント(薬味)添え

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4、デザート、チョコレートムースケーキ、アイスクリーム

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ワインを1、2杯飲んで、12000円也。
サーヴィスも丁寧で、格式高い店なようだった。

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ボルジア家の毒殺 [映画 (美術関連)]

「ボルジア家」愛と欲望の教皇一族、というDVDの紹介です。
カナダ、アメリカのTVドラマだったので、40分で一話。それが全部で9話。


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イタリア、ルネサンスの時代、教皇(ローマ法王)をつとめたボルジア家の話。
時代を再現する豪華な背景、荘厳な教皇庁ヴァチカン、衣装で50億円かかったそう。
40分×9は長いけれど、スキャンダラスな話なので、引き込まれてしまう。
主役の教皇はジュレミー・アイアンズが適役、重々しい口調、悩ましい表情がぴったり。
その息子、スペイン人の血を引くハンサムで精悍な息子チェーザレにも見入る。
娘ルクレツィアは愛らしく美しい。
あらすじ
1492年、スペイン出身のロドリーゴ・ボルジア枢機卿は、前代の教皇が亡くなった後の
教皇選挙に立候補する。一回めの選挙で多数票を取れなかったため、賄賂を使って次回、
票を獲得し教皇アレクサンドル6世となった。教皇になると、長男チェーザレを枢機卿
に抜擢する。この時代、聖職者たちは権力、金、女に野望を抱き、暗殺は日常茶飯事だった。
教皇とチェーザレも会食に招待された枢機卿宅で、毒を盛られたが、チェーザレの機転
で難を逃れた。
聖職者は結婚できないが、愛人との間に、長男チェーザレ、次男ホアン、長女ルクレツィア、
三男ホフレと4人の子供をもうけた。さらに今は、若い愛人18歳のジュリア・ファルネーゼがいる。

<勢ぞろいした家族の写真>教皇の左が子供たちの母親、右が今の愛人ジュリア
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冷酷な策略家の教皇だが、家族想い。神の前に懺悔したり、危機の時には
法衣を脱ぎ捨て、一個人として神と向かい合ったり、聖職者としての悩みも
伝わってくる。
フランスのシャルル8世がナポリ王の権利を主張して、大軍を引き連れ進軍して
来るという情報が入ってきた。(フランスのイタリア侵攻)
まずはミラノを通るので、それを阻止するために、ルクレツィアをミラノを
治めるスフォルツァー家の親戚に嫁がせた。幸せでない結婚生活。
ルクレツィアは、訪ねてきたジュリアと共に早朝、婚家から馬でローマの実家へ
帰る途中、シャルル8世のフランス軍に捕まる。しかし、美貌と機転でシャルル8世
を味方にし、共にローマに入城。兄(教皇の次男)が率いる教皇軍との全面衝突を
回避させた。

<シャルル8世とルクレツィア>
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その後、フランス軍がナポリへ攻め入る場面があるのだが、城に入ると静か、
誰もいない。不気味。その上、変なにおい。なんとペストでの死骸がごろごろ。
昔から疫病は怖い、映像で見ると、コロナ禍の今は他人事でなくわかる。

毎回、次々、事件が起こり、怖さがあるが、面白い。
これは、1st シーズンで、このあと、2,3と続いている壮大なドラマ。

[黒ハート]これを見終わってから、塩野七生の「ルネサンスの女たち」を読み直した。
映画では「これはフィクションです」と初めに断りが出る。ドラマなので、盛り上げている
部分はあるものの、大筋は合っていたので、本を読んでいると、映画の場面が浮かび、
面白かった。

教皇の若い愛人ジュリア・ファルネーゼの肖像画と言われている
ラファエロの「一角獣と貴婦人」
Laffaero.jpg

教皇選挙でロドリーゴ・ボルジアに負けたジュリアーノ・デッラ・ローヴェレ、
のちの「ユリウス2世」ラファエロ画
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