SSブログ
外国の美術館、博物館 ブログトップ
前の6件 | 次の6件

メトロポリタン美術館のアメリカ絵画 [外国の美術館、博物館]

三菱一号館で、7日から始まる「ワシントン・ナショナルギャラリー展」に、どんな作品が来るの
だろうと、サイトを見に行ったが、まだ、「近日公開予定です」のまま。あと3日なのに。

そういえば、2012年のメトロポリタン美術館の記事が書きかけだったと思い出したので、
遅まきながらアップします。

MetMuseum.jpg

威風堂々、ギリシア風の立派な建物。

中庭に面した光がたくさん入る明るいロビーは、Scalpture(彫刻) Garden という名前。
高い位置にある「狩りの女神」であるダイアナの像は、美しいプロポーション。
昔、この2倍の大きさのものがマディソンスクエアガーデンにあり、ニューヨークの風見鶏
だったそう。

MetDiana.jpg

Scalpture Garden の横の通路は、イスラム風のブルーのタイルで装飾されていて、
奥のティファニーのランプとステンドグラスが美しい。

MetTiffany3.jpg

ステンドグラスの両脇はブドウの木模様で、真ん中は、藤の花模様で日本画の雰囲気。

MetTiffany.jpg

アメリカ絵画の部屋は、いくつもあるが、中でも、目立っていたのは、
「デラウェア川を渡るワシントン」という6m50㎝の巨大な絵。アメリカの歴史の原点
なのだろう。

アメリカを代表する肖像画家といえば、ジョン・シンガー・サージェント(1856~1925)
流麗なタッチで、実際以上に美しく描くと評判だった。
サージェントは父がアメリカ人医師。イタリアで生まれ、パリで美術教育を受け、
代表作「マダムX」をサロンに出品したが、品がないと酷評を受けたため、ロンドンに
移住した。後年は、毎年、アメリカを訪問、ボストン美術館の天井画を制作した。

「Mrs.Hugh Hammersley」(1892) モデルはロンドンの銀行家夫人29歳。
フランスふうのソファーに座り、エレガントな雰囲気。ドレスの生地ベルベットの光沢表現
がすばらしい。この絵の評判で、ロンドンでサージェントに肖像画を頼む人がふえた。

「ウィンダム姉妹」(1899) 上流階級の3姉妹。3人共が嫁いだ後、実家で描かれた。
後ろに見えるのは、ジョン・フレデリック・ワッツによる彼女たちの母の肖像画。
3姉妹の花のようなドレス、白い花が優雅さを強調している。

Sergent.jpgSergen3tSisters.jpg

「日傘をさす2人の女性」(1888)
サージェントは1885年からジヴェルニーのモネの家を度々訪れ、印象派っぽい風景
を描いた。これはイギリスのバークシャー地方の田舎で描いたモネふうの絵だが未完。

SergentNew.jpg

サージェントとちょっと違うけど、、と目を留めたのは、この絵。
ロバート・ヘンリ(1865~1929) 「仮面舞踏会のドレス」(1911)
ロバート・ヘンリは、街の情景や人物を描き、市民生活に密着した新しい写実絵画を提唱、
20世紀初期のアメリカ画壇の指導的地位にあった。ホッパーやデーヴィスを育てた。

Henri.jpg

アメリカを代表する印象派の画家メアリー・カサット(1844~1926)
(その生い立ちや画業は、yk2さんのカサット記事に詳しく書かれています。)

メアリーは、1890年からは、甥や姪などをモデルに子供を題材にした絵を描く。
母と子(昼寝から起きた子)(1899)
美しい装いの母が子供の足を拭いている。ブルーの瞳でブロンドのJulesは、しばしば、
カサットのモデルになっている。色彩豊かで、型にとらわれない自由な空間構成の絵。

母と子(楕円の鏡)(1899)
ルネッサンス絵画の聖母子のような構図。鏡の楕円形が子供の頭の上の天使の光輪と
関係づけることができる。カサットの絵の先輩ドガは、ルネッサンス絵画のようだと認め
ながらも、「きみの良い資質と悪い点が出てる絵。子供のイエスと英国人の乳母のようだ」
と語った。

Cassat.jpgCassat3.jpg

「縫物をする若い母」(1910)
母の膝に寄りかかって、縫物の邪魔をしないようにしている子供。
でも、母は子供が気になるので、ちらっと子供を見ては、縫物を続ける。

Cassat1.jpg


「別荘の庭でかぎ針編みをするリディア」(1880)
カサット一家はパリ郊外の別荘で夏を過ごしていた。姉リディアは、美しく
着飾って、かぎ針編みにいそしんでいる。屋外での制作に関心が薄かった
カサットだが、リディアの白い大きな帽子に、まぶしい夏の太陽がさしている。

Cassat4.jpg


ウィンスロー・ホーマー(1836~1910)
身の回りの生活や風景を得意とした。人々が海辺で楽しんでいる絵が多い。
「Eagle Head,(満ち潮)、マサチューセッツ州」
満ち潮の大波で濡れたスカートを絞っている女の子。犬がかわいい。

MetHomer.jpg

エドワード・ホッパー(1882~1967)
単純化された構図と色彩でアメリカンライフを描いた。
灯台や郊外の景色の絵が多い。

Whopper.jpg

次回は、印象派の絵を紹介します。


nice!(54)  コメント(10)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

ゲティ美術館(2) [外国の美術館、博物館]

ゲティ美術館で見た絵の続きです。

ゲティ美術館は、資金が潤沢なので、13世紀末から19世紀までのヨーロッパ絵画
の超一流のものを金に糸目をつけず、毎年、オークションで購入している。

ラファエロ(または弟子)の「赤い服を着た若い男の肖像」 1505年
この絵は、西洋美術館の「ラファエロ展」に来ていた。
Gettyrafael.jpg

巨匠レンブラントの「エウロペの誘拐」1632年
ギリシア神話。エウロペに一目惚れしたゼウスは、エウロペが遊んでる海岸に
美しい雄牛の姿になって現れ、雄牛にまたがったエウロペを乗せ、海の中を走り
クレタ島に行き結婚した。

6GettyRembrandt.jpg

同じくレンブラントの「笑う自画像」1628年。
レンブラントの初期の注目すべき作品。銅版に描いていてI-Padくらいの小ささ。

6RembrandtSelfportrait.jpg

レンブラントは5点、ルーベンスもあった。

神々しく輝く厳粛な絵。
近づいて見たら、グイド・レーニの「棘の冠のキリスト」1636年
グイド・レーニはカポディモンテ美術館展で見た「アタランテとヒッポメネス」が
良かったので名前を覚えた画家。

6GuideReni.jpg


ヴェニスの絵を見ると、「カナレット」と思うが、これもそうだった。
カナレット「ヴェニスの大運河 from Flangini to Campo San Marcuola」1738年
すぐそばに、ほぼ同じ大きさのフランチェスコ・グァルディの「ヴェニスの大運河」が
架けられていたのが、競作のようで面白いと思った。

6Canalette.jpg


小さい絵だが、こちらを向くバラ色の頬の少女が気になって足をとめたのが、
オランダの風俗画に影響を受けたフランスのグルーズの「洗濯女」1761年
劇の一場面のようだが、250年前の絵。

5Greze.jpg 

一昨年、三菱一号館で「シャルダン展」があったので、おなじみになったシャルダン。
台所を題材とした絵は、「テーブルの上の魚、野菜、グジュエールチーズ、ポット、
薬味入れ」1769年。
6JChardin.jpg

ここからは19世紀の絵

スペインのゴヤ「サンティアゴ公爵夫人の肖像」 1804年
左手に閉じた扇を持ち、スペインの民族衣装マハを着た公爵夫人はかなり奔放な人で、
このとき40歳。43歳で亡くなった。遠景の景色の筆使いは、さくっと速い。

5Goya.jpg

ドイツ、ロマン派の代表、フリードリッヒ「夕闇の中の散歩」 1803年
フリードリッヒの描く風景画は、この絵のように暗く神秘的かつ内省的。
険しい雪山、谷、風に揺れる木々を描くことが多い。人がいる場合はひとりだけ。
人はシルエットで顔が見える絵はない。崇高な感じすらして私は好きだ。

4Fleidlich.jpg

イギリスの風景画家ターナーの「モダン・ローマ、カンポ・ヴァチーノ」 1839年
カンポ・ヴァチーノは牛の放牧場だが、古代ローマのコロッセウム、凱旋門、大浴場がある。
陽が沈み、月がでてきた時刻、ヴェールに包まれたような靄った景色だが、月明かりがまばゆい。
手前に牛や人々が描かれている。
描かれてから初めて市場に出、ターナー作品最高値の40億円でゲティが入手した。

5TurnerRoma.jpg


フランスの風景画家コローの「湖に舟人がいる風景」1839年
フランスのサロンに出展し好評を博した絵。「コローは厳粛で思索的な人だが、
自然を見つめる態度に人柄が表れている。線と黄昏の光のハーモニーがすばらしい」
と評された。

4Corot.jpg


色づかいの鮮やかさと、きりっとした風格のある絵で目に飛び込んできたのは、
フランス・新古典主義のダビッドの「テレマコスとEucharisの別れ」 1818年。
ホーマーの小説「オデュッセイア」の登場人物を描いた絵。
オデュッセイウスの息子テレマコスはニンフのEucharisと恋人どうしになるが、
彼女を残し、父を捜しに旅だたなければならない。その別れの場面。

5David.jpg


ドラクロワ「浅瀬を渡るモロッコの騎手」1850年
馬の速い動きをみごとに描いた絵。
ドラクロワは当時の画家たちのようにイタリアに行かず、北アフリカに旅した。
灼熱の太陽と強烈な色彩に惹かれ、モロッコやアルジェリアを題材にした絵も多い。

5Doracroit.jpg


愛らしさに見入ってしまう明るい画面は、ブークローの「エロスの誘惑に抗する娘」
1880年。キューピッドは恋の矢を娘の心に向かって投げようとし、娘は、困っている
ふうではなく。。。清々しさのある絵。

5Bouguereau.jpg


ゲティの庭には、いくつも彫刻が置かれている。
手前はマグリットのの「?」、
下の写真は、ヘンリームーアの「座る女」、向こうに見える建物もゲティセンター。

3garden.jpg


3garden3.jpg


ジェコメッティ、ジャコモ・マンズーなど一目でわかるものの他に現代彫刻もあった。
広大な空間、山に囲まれた青空の下に彫刻たちはとても自然に配置され、景色の
一部のようになっていた。


nice!(49)  コメント(20)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

ゲティ美術館 [外国の美術館、博物館]

 私がゲッティ美術館のことを知ったのは、もう15年くらい前のこと。日経新聞のコラム
記事でだった。「アメリカの石油王ポール・ゲティが山を切り開いて美術館をつくった、
そのスケールの大きさは日本では計り知れないものであり、所蔵作品もすばらしい」

それから数年後、N嬢が、「ゲティ、行ってきたわ。山の上だからケーブルカーに乗って
行くのよ。さすがアメリカね、すごく広いの」

↓ これがケーブルカー。無料。入場料も無料と太っ腹。

1cablecar.jpg

ケーブルカーを降りると、正面に白いモダンな建物がある。
マイヨールの浮かんでいるような女性の彫刻が配置され、奥には白い少年の彫像。

2entrance.jpg

ここが入口。ジェームズ・アンソールの展覧会をやっていたので、看板が出ている。
SCANDALOUS ART 大げさなタイトルは、骸骨の絵が多いアンソールだからかな。

2entrance2.jpg

友達が、「西洋絵画」ガイドツアーに参加しようと言うので加わった。
代表的な絵画の前で説明をしてくれるから、おすすめの絵がわかる。
一番の名画は、ゴッホの「アイリス」。大変高価な値段(72億円以上)で買ったそうだ。
赤い土の地面から1本1本の花が音楽のように咲き乱れるパワフルな絵。
葉は剣のようである。色の対比も美しい。

4Iris.jpg

ミレーの「鍬を持つ男」
これでは、小さくて見えにくいが、男の疲れてしんどい表情が、絵が発表された
当時、話題になった。この絵は、労働者階級のシンボルと長年考えられてきたが、
最近では、ミレーはリアリズム(どこまで真実に近く描けるか)を追求したのだと
言われている。

4Millet.jpg

一方、都市の生活を描いて人気があったのは、ジェームズ・ティソ。
「日本の工芸品を眺める娘たち」
ティソは、日本の工芸品の蒐集を早くからしていて、ジャポニズムが広まるのに
一役買っている。

4Tissot.jpg

ルノワール「散歩」1870年も、印象派初期、屋外の光を意識した絵。
男性の顔は光で影の部分となり、女性の白い服は光があたり輝いている。
服装でわかるようにパリの中産階級の生活を描いている。
41Renoir.jpg

印象派の先駆者モネの「朝の光のルーアン大聖堂」1894年
朝の光、昼の光、夕方の光、と時間ごとに描いたルーアンの大聖堂。
朝なので、全体の色調が青みがかっている。

4Monet.jpg

ドガ「踊り子」Dancer Taking a Baw(The star) 1877年

41Dogas.jpg

ゲティ美術館は、ゲティ氏の遺言により、毎年、絵を購入することになっている。
2011年12月に購入したのが、マネの「Brunet夫人の肖像」。1860-3年
長い間、個人蔵で、「フランスのモナリザ」というふれこみの絵。
マネが古典回帰でヴェラスケスやゴヤに倣っていた時代のもの。背景に景色を
置くのは、17~18世紀の流行。

4Manet.jpg

セザンヌ「永遠の女性」1877年
男性は皆、女性に支配されているという意味合いの絵。
中央に女性、ベッドの天蓋によるみごとな三角形構図。
周囲にいる男性たちは、音楽家、枢機卿、王様、、、さまざまな職業。
右端の画家はセザンヌ自身。

4Cezanne.jpg

まだまだご紹介したい絵がたくさんあるので、次の記事にします。


nice!(55)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

メトロポリタン美術館のエジプトコーナー [外国の美術館、博物館]

 19日から東京都美術館で、「女王と女神」というメトロポリタン美術館の
古代エジプト展が始まります。
ニューヨーク、メトロポリタン美術館のエジプトコーナーは、見やすく、わかりやすい
展示だったので、2012年春に行った時の写真をご紹介。

今回、都美の展覧会でテーマとなっているのが、ハトシェプスト女王。紀元前1470年
頃のファラオ。在位中、数々の功績を残した。代々ファラオは男性なので、王の立場
を示すために、公の場では髭をつけたり頭巾をかぶり、男装をしていた。

2014_metegypt.jpg

ところが、メトのエジプトコーナーで目立って美しかった像がこれ、「ハトシェプスト女王」。
優美な女性像。2mあるので実物より大きい。
MetEgyptHpshest.jpg

エジプトコーナーには、いくつも部屋がある。
もちろん撮影自由。奥に見えているのは人形型棺。

MetEgypt2.jpg

MetFgyptCoffin.jpg

これはファラオのスフィンクスの壊れたもの。うしろの壁にファラオの頭部がずらっと
展示されていた。

MetEgypt3.jpg



金色に輝く胸像だが、あごひげがないので、ファラオでなく書記官だろうか。
下には、柄鏡や青いファイアンス製のボールや皿が置かれている。

MetEgypt4.jpg

金のサンダルと足指サック。実際に履くことはなく、王家の女性が亡くなった時の
副葬品と説明があった。このネックレスは実際につけていたかもしれない。

MetEgyptSandal.jpg

MetEgyptNeckless.jpg


これも青が目をひく美しいファイアンス。「アメンヘテプ3世のスフィンクス」
小品だが無傷で、なめらかで美しい。スフィンクスは人間の顔でライオンのからだ。
壺を2つ持っているのは、神々へ捧げものをしているからである。

MetEgyptAmenhop3.jpg


エジプトの青いファイアンス最も有名なのは、「青カバ」。
青カバが生息してした場所を示す植物が黒い線で胴体に描かれている。
ルーヴルにある青カバと比べると、こちらは足に模様がない。

MetEgyptHippo.jpg

メトのエジプトコーナーの極めつけは、「デンドゥールの神殿」である。
ローマ時代初期、皇帝アウグストゥスがエジプトからヌビアに至るまでを
支配していた時代に建設された。
神殿は、アスワンハイダムの建設で水没するはずだったが、古代ヌビア遺跡保存
運動が国際的に起こり、運動の中心であったアメリカに寄贈された。
光あふれるガラスの天井のホールに、約40mの高さの石の門があり、後方に高さ
25mの神殿がある。手前にあるのは、ファラオの像。

MetEgyptSemect.jpg

こちらが門のうしろの神殿入口。中に入れる。

MetEgyptDendur.jpg

アメリカはエジプト発掘にたくさんのお金を投じたので、持ち帰り品も多く、
エジプトコーナーが充実している。
エジプト展は、夏休みに開催されることが多い。私も中学生の頃、初めてエジプト展
に行き、5000年も前の歴史の世界が目の前にあることに感動したのだった。
いつかピラミッドやスフィンクスを実際に見に行きたい。

Inatimyさんがいらしたオランダ・ライデンの考古学博物館のエジプト記事です。


nice!(50)  コメント(17)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

ルーヴル美術館・ランス別館 [外国の美術館、博物館]

 5泊と短かったけれど、パリに行った。
一日目、2012年12月に開館したルーヴル美術館・ランス別館に出かけた。
フランスで「ランス」と言うと、シャンパンや大聖堂で有名なReimsだが、ルーヴル別館
があるのは、Lens。Lensは炭坑で栄えたリールのすぐそば。大きな町ではないから、
「リールの近くのランス」と言わないと、わかってもらえない。

なんで、そんな小さな町にルーヴルが?
ルーヴルは所蔵品が多くなりすぎて、実際に展示できるのは10%以下。
過疎化してる元炭鉱の町に別館を作り、ルーヴルの絵を定期的に入れ替えて展示
することで、町に人を集めることもできる、いわゆる町おこし。
建物は、コンペで日本人建築家SANNAの設計が採用された。

LouvreLens1.jpg

パリ北駅からTGVで1時間ちょっとで、Lens駅につく。
Lensにとまるのは一日に何本もないので、途中で各駅停車に乗り換えた。
駅前からルーヴル行バス(無料)に乗ったが、歩いても20分だそう。
建物は、「風景の中に消える」というコンセプトで、透明で明るく開放的に造られている。
白く見えるのは、雪ではなく、大きな飛び石のように配置されたコンクリート部分。

入口はこんなふう。アルミとガラスでできた平屋。ガラスに周囲の木々が映り込む。

LouvreLens2s.jpg

展示室は「Galerie du temps 時のギャラリー」と名付けられた広い1部屋だけ。
紀元前3500年頃から19世紀半ばまで、年代別に、200を超える作品が展示されていた。
ちょうど真ん中に立って、入口、紀元前3500年~のほうを振り返ると、こんなふう。

14.jpg

同じ場所から、逆方向を見ると、15世紀末のペルジーノの「聖セバスティアヌス」が見える。
右でおじさんが眺めているのは、ラファエロの「友人のいる自画像」、昨年のラファエロ展
で来日した絵。
一番奥に、「あ、アングルのオイディプス」とよく知ってる作品が見えてうれしくなった。

13.jpg

絵のそばに同じテーマの同時代の彫刻が置いてあるのがいいなと思った。
下の写真で、右端の絵はフラゴナールの「ディドロの肖像」。白い大理石のウードン作の
彫刻「ディドロ」が傍に置かれていた。フランス人たちは、「ディドロだ!」と、うれしそう
に声をあげていた。ディドロは哲学者で、啓蒙思想の時代に百科全書を編纂した。

中央に鎮座まします彫刻は、ルコント作「ダランベール」。
ダランベールは数学者、物理学者で、ディドロと共に百科全書を編纂した。
奥の左がアングルの「スフィンクスの謎をとくオイディプス」、その横はゴヤの絵。

D'alanbert.jpg

美人画家エリザベート・ルイーズ・ヴィジェ・ルブランをモデルにした彫刻は、
Augustin PAJOUの作品。
絵は、ジョシュア・レイノルズの「マスター・ヘアの肖像」。2つとも顔の向きが同じ。
(マスター・ヘアの肖像は、2009年西洋美の「ルーヴル展」に来てた絵)

LouvreLens22.jpg

暗くて見えにくい写真だけど、ジョルジュ・ラ・トゥールの「灯火の前のマグダラのマリア」
横には、マグダラのマリアに合わせて、腕組みをして悔悛の表情の聖人の木彫り像。

LouvreLensJLatour.jpg

以上、長さ120mの部屋での展示は、見たことのあるものが多いので、30分で終了
してしまった。
パリからの電車の本数が少ないから、行くのに時間がかかり、交通費は往復74ユーロ
(10930円)。帰りは夜6時の列車のチケットを買ったので、カフェでご飯を食べ、
ミュジアムショップを見て、周りを散策しても、まだ時間が余った。

1960年に閉山された炭坑の町ランス、炭坑跡の三角山が見える。

LouvreLensJardin.jpg

17.jpg

小さな駅だが、駅前にはかわいらしい建物がある。駅前なのに人があまりいない。

20.jpg

駅構内には、昔の炭坑のようすを示すモザイクの絵があった。

LouvreLensLaGare.jpg

一度はいいけれど、再訪することはないだろう、と思った。


nice!(52)  コメント(19)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

ホノルル美術館 [外国の美術館、博物館]

ハワイには、「ホノルル美術館」がある。友達の家から歩いて5分、目抜き通りに
面している。平屋で大きな屋根の建物。

Honolulu1.jpg

玄関をはいると緑濃い中庭があり、正面にマイヨールの彫刻「ペネロペ」が見えた。

Honolulu2.jpg

アジア、太平洋、欧米と、小規模だが建物が分かれている。
欧米美術から見ることにした。
はいって、まず目に飛び込んできたのは、ホイッスラーの大きな肖像画。
「黒のアレンジメントNo5」 18811年 静かで美しい。背景の黒と服の黒を分ける
毛皮の白、肌の白。
ホイッスラーは、絵の美学を追求、色にこだわり、色名を絵のタイトルにしたものが
多い。オルセー美術館にある絵も「灰色と黒のアレンジメント第1番 画家の母の肖像」

Honolulu3.jpg

単純化された胸像。わけありげで寂しそうな姿に見入る。
ヴィルヘルム・レームブルック(1891~1919)の「Head of a Thinker」1918
ドイツ表現主義を代表する作家で、生きることの意味を問うて、純粋化、抽象化
した作品を作り、これを制作した翌年、自殺をした。

Honolulu4.jpg

作品はほぼ年代順に展示されていた。

ロココの画家ブーシェが描く天使たち。「The Love Bire Catcher」 1731

Honolulu5.jpg

フランドル派などの絵、あまり大きくないモネの「水蓮」もあった。

これは、ルノワールの「The Washer Woman」1917
洗濯をしている女の彫刻。横に見えるのは、アンリ・エドモン・クロスの明るい点描。
「Landscape」1896年

Honolulu6.jpg

メアリ・カサットの「The Child's Caress」 1891
聖母子の構図だが、日常生活の一コマ、と説明がついていた。

HonoluluCassat.jpg

マティスの「Annelies,WhiteTulips and Anemones」1944
明るく華やかで目立っていたのは、隣がルドンだったから?
HonoluluMatisse.jpg HonoluluRudon.jpg

ルドン「Lady of the Flowers」1890

セザンヌの小品もあった。
HonoluluCezannne.jpg


友達が、「わぁ、色が綺麗で、これが一番好き」と言ったのは、
ロバート・ドローネー「The Rainbow」1913

HonoluluDroney.jpg


ブラックとレジェが並んでいた。
Blaque "Le Tapas Vert Green Carpet" 1921
Leger "Abstract" 1926

HonoluluBlaqueLeger.jpg

ゴーギャンとゴッホ
Gauguin ”Two Nudes on a Tahitian Beach"1891~4
Gogh "Wheat Field" 1888

HonoluluGaugan.jpgHonoluluGogh.jpg

20世紀美術、不思議な絵のデ・キリコ「The Great Machine」1925年
イブ・タンギー、タイトル不明 1286年制作

HonoluluDeChrico.jpg HonoluluYvesTangy.jpg

最後の小部屋にあったイタリア人Marco Ricciの "Fantastic Scene with Ruins" 1728年 
モノクロの廃墟の絵のシリーズやピラネージの廃墟の版画もよかった。

こじんまりとしているが、有名どころが揃っていて、予想外に楽しかった。
このあと、日本コーナーに移動した。
昨春、三井記念美術館で、「ホノルル美術館所蔵・北斎展」を見たので、
浮世絵が充実しているに違いないと思っていたが、お茶道具や着物の展示が多く、
浮世絵はほんの少しだけだった。保存が難しいから、普段は、しまってあるらしい。


nice!(35)  コメント(12)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート
前の6件 | 次の6件 外国の美術館、博物館 ブログトップ