東京都庭園美術館 [日本の美術館]
庭園美術館は、目黒駅から歩いて5分くらいのところにある旧朝香宮邸。
広い庭園のところどころには、ベンチが配置され、彫刻や樹木、花を見ながら、ゆっくりと
した時間を過ごすことができる。
安田侃(やすだ かん)の白大理石の彫刻。
大理石の産地イタリアのトスカーナ地方で制作、野外彫刻で世界的に高い評価を得ている。
ボアズ・バーディアというイスラエルの作家の作品。
ロシア出身の20世紀を代表するキュビズム作家、ザッキンの「住まい」
アールデコ時代、動物の彫刻で有名だったエドゥアール・サンドの「パンサー」
だいぶ前に、彼の彫刻展がここの美術館であり、小さな動物たちのブロンズ像が
かわいらしく、大きなふくろうの彫刻が印象に残っている。
このパンサーは覚えてなくて。。。
パンサーが眺めている日本庭園は、紅葉まっさかり。
京都に行かなくても、、と思ってしまうほどみごと。
茶室もあって、かけいの水がちょろ、ちょろと。。
左は私の写真。右は友達yの写真。マクロモードの使い方を教えてもらった。アートな写真
が撮れるようにって。アートまでいかなくても、もう少しマシな写真をと、最近自覚して、
yに、教えてって頼んだ。授業料は高いとか言ってたけど(笑)
邸宅は、当時、日本では珍しかったアールデコ様式。フランス人デザイナーにインテリアを
依頼し、ルネ・ラリックのガラス彫刻やシャンデリアもあるが、内部の撮影は禁止。
外廊下のランプもアールデコ。
で、この日、見た展覧会は、これ
「古代ローマ帝国の遺産」展 [展覧会(絵以外)]
西洋美術館で、これを見てから、だいぶ日がたったが、12月13日まで開催中。
「ローマとポンペイ」の展覧会を何で今?と思ったが、友達に誘われたので行った。
何で今?なのかは、パンフに説明はなかったが、会場に書いてあった。
東京大学の遺跡調査隊は、「皇帝アウグストゥスの別荘」の発掘調査を2002年に行い、
出土品が多かったので、数年後に「ローマ展」をという構想ができた。しかし、その後の
調査でこの遺跡は、ポンペイの大噴火で廃墟となった後、400年後の噴火により埋没
したことが明らかになり、豊かな出土品が期待できなくなった。
このため、展覧会に出品するものが少ないので、ナポリの考古学博物館から借りたもの
をあわせて展示し、ローマ帝国の偉大さを振り返る展覧会となった。
この展覧会の最大の見ものは、高さ2mの「アウグストゥス座像」
上の写真にあるぶん。座像なのに2m以上の巨大彫刻。
ローマ帝国を治めた皇帝の権力の大きさを示している。
2000年前に建設されたローマ帝国。礎を築いたのはシーザー。次のアウグストゥスが
初代皇帝となった。ここでは、市民が豊かな生活をしていた。
銀の食器のフルセット、指輪、首飾りなどの装飾品、金貨、壁画などが展示され、
邸宅の庭園のようすを CGを使って再現している。
これは、居間の壁に描かれた絵。庭園のようすを描いている。
この中央下の部分の図案をファイルにしたものを買った。
この時代から、バラの花がある。
「青銅のミネルヴァ」、近づいてみると、ばらばらになったものを寄せ集めて留めてある
のがわかる。さわったら崩れ落ちそう。これは、古代ローマ人が憧れていたギリシア彫刻。
紀元前3世紀のもの。ローマ帝国の知恵の神として崇められていた。
会場を出たところ、第二会場で、開催されているのが、HASHIさんの写真展。
HASHIさんはニューヨークで活躍中の写真家。
3年前に展覧会を見て、その才能に驚いてファンになった。
これは、モノクロの写真を焼き付ける過程で、さまざまな技法を施した写真と絵画の融合で、
HASHIGRAPHY(ハシグラフィー)と命名されている。
今(2009年)の写真を1000年後に発見したら、、というコンセプトなので、「未来の原風景」
50枚のローマのいきいきとした日常を1000年後に見たら、、、。
上左は、トレヴィの泉のネプチューン、中央は、フォロロマーノの神殿、右はバスを待つ
老紳士。 映画「ローマの休日」でおなじみの「真実の口」もあった。
2000年前のローマを再現する展覧会+1000年後に今のローマを見る、という構想
はおもしろい。
ボジョレー・ヌーヴォー2009の集い [シャンパン・ワイン・ビール]
フランスワイン、ボジョレー・ヌーヴォーの解禁日は、11月の第3木曜日。
その翌日、ひとり1本のチーム・エレガントの「ボジョレー」の集いがあった。
日本人醸造家の仲田晃司さんのボジョレー・ヌーヴォー。
仲田さんの目標は、「天、地、人を尊重するようなワインを造りたい」。
3人がグラスを高く掲げてるこのラベルは、そんな思いがこもっているのでしょう。
(私は、ぱっと見、バスケのシュートのポーズかと思ってしまった)
毎年、仲田さんのボジョレーを飲んでいるけれど、1年たつと味を忘れてしまうので、
「今年は、、」とコメントができない。でもね、今年は当たり年って。
次は、同じ仲田さんのブルゴーニュの白
ヌーボー以外の仲田ワインは、オレンジ色に「天地人」と日本語が書いてあるラベル。
軽い口当たりだが、ふくよかさがある。
最後は、シャンパンで。
「ベルナール・ペルトワ」 グランクリュ
一番絞り果汁のみ使って、7年間も熟成させたもの。
年間生産量が限定されているので、手に入りにくいとのこと。
上品な泡、香り、甘み。やわらかいシャンパン。
ブドウの収穫、新酒に「おめでとう」と言いながら、夜更けるまで延々と笑って、
話して、明日から3連休がうれしかった。
翌日は、天気がいいからドライブに行こうと誘われ、午後から出かけた。
甲州街道沿いの「神戸屋」で夜ごはん。メニューを見ながら友達が、
「ボジョレー・ヌーヴォーがある!まだ飲んでないから」と喜んで頼み、満足そうだった。
ここのは、花柄のジョルジュ・デビュッフェだった。
運転で飲めない私は、「昨日、飲んだからガマン」。。
ヴォツェック(オペラ) [オペラ、コンサート、バレエ]
秋はオペラシーズンなので、今晩も見に行った。
「ヴォツェック」、20世紀オペラの金字塔といわれている作品。
こういう現代ものはあまり見なかったのだが、「ムツェンスク郡のマクベス夫人」が
意外におもしろかったのと、newyorkさんが時々紹介なさってる現代オペラの記事に
興味をひかれ、見たいと思うようになった。
休憩なしで1時間半と短いオペラ。
無調音楽。半音階は、人の気持ちを表現するのにぴったり。
アリアも朗々とではなく、気持ちを吐露している感じ。
ストーリー: 貧しい兵士ヴォツェックは、大尉の髭剃りと、医者の実験台のアルバイトを
している。籍のはいっていない妻との間に子供もいるが、妻は鼓手長と浮気。
大尉と医者からは、日々、綿々と「道徳」について説教され、精神的に追い詰められた
ヴォツェックは、不倫の妻を殺し、自らも溺死する。
救いがない話。いじめ物語。自己崩壊。見ているのが辛いと思っていたのに、いつのまにか
引き込まれていた。
舞台の上は10センチほどの水。低い土手があるので、オーケストラピットに水は来ない。
出演者は長靴姿。じゃぶじゃぶと水の中を歩いたり、はねたりと大変。
部屋は高床式に作ってあった。貧しいので、家具は何もない。
ヴォツェックが精神に異常をきたした後の場面では、オーケストラの数名が舞台に作られた
ひな壇で演奏をした。
舞台は水たまり状態なので、最後の挨拶のとき、指揮者も長靴で登場した。
亡くなった新国立劇場芸術監督の若杉弘が、ぜひこの作品を上演したいと自ら
指揮の予定だったが、ドイツ人のハルトムート・ヘンヒェンが振った。
妻マリー役のU・H・フォン・デン・シュタイネン(Ms)が堂々とすばらしかった。
ヴォツェック:トーマス・ヨハネス・マイヤー(Br)
大尉:フォルカー・フォーゲル(T)
鼓手長:エンドリック・ヴォトリッヒ(T)
医者:妻屋秀和(Bs)
マルグレート:山下牧子(Ms)
☆ このオペラのきちんとした解説を「つるりんこ」さんが書いていらっしゃいます。
全く甘さとは無縁のオペラだったので、最後にチョコレートの紹介を。
スペイン王室御用達というショコラテリア「カカオサンパカ」、丸の内。
pistaさんの記事と、チョコロさんの記事で見て、「いいなぁ」と思っていたぶん。
値段の割には。。。私は自分で食べちゃったけど、プレゼント用ですね。
大野和士指揮の「ウェルテル」 [オペラ、コンサート、バレエ]
大野和士という指揮者をご存じですか?
世界中で一番オファー(仕事依頼)の多いといわれている指揮者。48歳。
芸大卒、25歳でヨーロッパ留学、トスカニーニ国際指揮コンクールで優勝後、
欧州各地の音楽監督を務め、昨年夏、フランス国立リヨン歌劇場の首席指揮者
に就任し、話題となった。
今回、リヨン歌劇場管弦楽団を連れての里帰りオペラ公演(演奏会形式)。
場所はBunkamura。演目はマスネの「ウェルテル」。
演奏前に大野さんが今日のオペラの解説をする「プレトーク」があった。
これは参加自由。舞台にピアノが1台。大野さん登場。「美食の町、リヨンの大野です。
といっても僕はまだポール・ボキューズの店に行ったことがないんですが。」と、まず、
しゃれた自己紹介。
「今日のオペラは、上演機会が少ないので、見どころを説明します。まず3幕のアリア、
これが一番の聞かせどころ。メロディがきれいなんです」と、ピアノを弾いてみせる。
シューベルトのセレナーデに似た甘美なメロディ。他にも重要な所のメロディを弾いて
くれた。「ウェルテル」は、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」を下にしているけれど、
違う点はここと説明、わかりやすい話で、期待がふくらむ。
ウェルテルは、ジェームズ・ヴァレンティ 身長2m細身で甘いマスクのアメリカ人
シャルロットは、ケイト・オールドリッチ やはり細身で美しいアメリカ人
演奏会形式なので、オーケストラが舞台の上。正面からび~んとよく響いてくる。
主役の若い2人の声はよかったが、時々英語?と聞こえるようなフランス語。
他の出演者が芸達者のベテランで舞台を締めていた。
リヨン管弦楽団の弦と管楽器のハーモニーは美しく、時に強く、大野さんの最後の
「ジャーン!」がドラマティックだった。
さて、そのあとの夕食は、すぐ近くの「VIRON」
前々記事で、丸の内のVIRONのことを書いたけど、渋谷は久しぶり。
丸の内同様、メニューを書いた黒板が来た。
まずはキール(白ワインのカシスわり)。
「どれも一皿が2人前になっております」と言われ、分けることにする。
前菜は、オマール、ホタテの燻製、鯖のポワレのグレープフルーツサラダ。
魚のスープ(粉チーズとおろしにんにくをいれたところ)。濃厚で温まる。
メインはチキン一羽のオーブン焼き。初めに焼きあがった所を見せてくれた。
程なくして、2人分に切り分け、ソースと付け合せの野菜を添えて出てきた。
もちろん、ここのパンはおいしい。
デザートは、タルトタタンのバニラアイス添え。
オペラ見て、いろんな話をしながら、おいしいご飯で、楽しい夜だった。
魔笛 (新国立劇場) [オペラ、コンサート、バレエ]
オペラ「魔笛」、初日29日(木)に行った。
オペラは同じ職場のMといっしょに行くことが多い。かなり前にチケットを買ったので、
その週が忙しくなることは想定外だった。「土曜日出勤してもいいからオペラの日は、
さっと帰りましょ」と打ち合わせ。当日もそれぞれが終わり次第、出ることにして、
「座席で会いましょうね」
魔笛は、モーツァルトの死の年1791年に書かれたオペラで、人気作品。
モーツァルトらしい親しみやすいメロディの曲が多いが、舞台は森なので暗い。
王子タミーノは、夜の女王の娘パミーナの肖像画を見せられ、「なんと美しい!」と
一目ぼれ。パミーナは、僧侶ザラストロに捕らわれているので、「助け出したら結婚
を許可する」と女王から言われ、タミーノは魔笛を与えられる。
タミーノは、鳥刺しの愉快なパパゲーノをお供にザラストロの神殿に向かった。(以下省略)
魔笛を吹く王子タミーノ 鳥刺しのパパゲーノ
パパゲーノと恋人パパゲーナの二重唱「パ、パ、パ」が、かわいくて楽しい。
圧巻は、夜の女王のコロラチュラソプラノのアリア。若い安井陽子がみごとに歌った。
タミーノはステファノ・フェラーリ。雰囲気はあったが、調子が悪かったのか歌はイマイチ。
パミーナのカミラ・ティリングは、声も表現力も申し分なく、拍手喝采だった。
パパゲーノはマルクス・ブッター。ザラストロ:松位浩。
3人の侍女たち、童子たち、僧侶たちの合唱がきれいで舞台が締まった。
高い天井の広い空間を使っての幻想的なスペクタクルの演出だった。
演出や舞台装置が変わっても、200年間、色あせないオペラってすごいと思う。
いまでも、夜の女王のアリアが耳に残っている。
yk2さんが、映画版「魔笛」の記事を書いていらっしゃいます。