SSブログ

映画「ピアノマニア」 [オペラ、コンサート、バレエ]


 昨日、ピアノの調律師を題材にした映画「ピアノマニア」を見に行きました。
とっても良い映画だったので、さっそく記事にします。

pianomania.jpg

 ピアノの老舗スタインウェイ社のドイツ人調律者シュテファンは、ウィーンのコンツェルト・
ハウスで仕事をしている。
最初は、ランラン(中国、人気若手ピアニスト)のコンサートのための調律場面。
ランランは、英語で、こんな音、もっとクリアな音と要求して、「うん、よい!」と満足。
シューマンの幻想曲を弾いてみる。ランランは明るく楽しいコミュニケーション上手な人、
と、ふだんの演奏では見えない素顔がわかる。

 次に、巨匠ブレンデルが登場。ホールのスタッフたちも「あのブレンデル」と緊張。
引退まじかの彼は、自分の集大成のベートーヴェンのピアノソナタを弾きたい
、それには、広く、密な感じの音で、と注文。彼の情熱あふれる演奏が流れる。[るんるん]

 いよいよこの映画の本題。フランスの現代音楽の旗手エマールが、バッハ晩年の未完の
傑作《フーガの技法》を録音演奏、CDにしたいと依頼してきた。エマールは、近年は古典
も熱心に弾いている。
バッハの曲なので、チェンバロやクラヴィコード、オルガンの音色を1台のピアノで出したい、
と、ピアノ選びから始まった。ハンブルグの工場に行き、何台ものピアノを弾いてみる。
工場内でのピアノの制作過程も映る。
特注のハンマーのサイズが微妙に小さかったりと、苦労もある。
pianomania2.JPG ← ハンマーの調整をするシュテファン
 
 でも、シュテファンは常に明るくユーモアを忘れない。「エマールはね、『質問があります
(frage)』が口ぐせなんだよ」と、言った後、予想通りエマールが「Eine frage,,」と言うので、
客席も笑ってしまう。[手(チョキ)]

 コンサートホールから家への帰り道のドライブ場面が何回もあり、ウィーンの景色が広がる。
線路がカーヴしている「リング」を市電が走っているので、あぁ、ウィーンだなぁと思った。
(シュテファンという名前は、大聖堂と同じだし。。)
 CD録音なので、ミキシングスタッフも重要だ。彼らとの仕事も、シュテファンの「まぁ、コーヒー
でも飲みながら」で、場がなごむ。ミキサーは楽譜とにらめっこで録音を聴きながら、「Eの音が
高い」と指摘。調律に走るシュテファン。つねに完璧な仕事をめざすプロチームだから、マニア
と呼ばれている。[ハートたち(複数ハート)]

 調律師シュテファンの1年間の仕事を追ったドキュメンタリーだが、随所に出てくる
演奏もすばらしいので楽しめる。
エマールが全身で弾くアメリカの現代音楽作曲家エリオット・カーターの「カテナリ」が感動もの
だし、ティル・フェルナーの弾くラヴェルの「オンディーヌ」もよかった。
人気道化コンビ「イグデスマン&ジョー」のショー場面は、放埓に「エリーゼのために」を弾いたり、
寝転がった姿勢で腕を伸ばし、サティの「ジムノベティ」を弾く、など奇想天外。

グランドピアノは、4000人収容のホールの後ろまできれいに(So schÖn)音が届く。
重さは400kg。価格は1000万円。特注はもっと高い。

ロカルノ映画祭など、数々の映画祭で、賞をとった映画。

東京では、新宿・伊勢丹近くの「シネマート」だけでの上映です。
私は、友達が早く行って席をとっておいてくれたから、よかったけど、整理券制なので、
電話で混雑状況をきいてから行ったほうがよいと思います。
 公式サイト → 


  * 友達の家で、「楽器のレリーフのチョコよ。珍しいでしょ」
      「じゃ、食べる前にピアノの上に置いて写真摂りましょ」

楽器Choco.JPG


nice!(43)  コメント(7)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 43

コメント 7

いっぷく

ピアノの調律は飽きずに作業の様子を見るのが好きです。
何年も見ているうちにおおよその手順を覚えてしまったので、
いつもと違う人が来て調律して、とても仕事が早かったりすると
大丈夫かな?なんて気になるけど技術の問題なので、調律が速く済んだときは
あまり狂っていなかったのかな?なんて自分は弾かないのでよくわからないです。

by いっぷく (2012-02-10 02:16) 

てんとうむし

あぁ、これすごく観たい♡
実家にいた頃はピアノを習っていたので定期的に調律に来てもらって、作業する音を聴いているのが好きでした。
私の耳には最初は狂いがわからないのですが、作業が進むにつれてだんだん整ってくるのはわかるんですよね。
そして、終了後にさらさらと調律師さんが曲を弾いて音を確かめるのに「ほぉ♡」っと聞き惚れて、その後お茶をお出しして話を伺ったり。
Taekoさんの記事を拝見して子供時代の幸せな思いでがよみがえりました^^
by てんとうむし (2012-02-10 15:07) 

バニラ

すごくおもしろそうな映画ですね~ でも新宿では来週で終了してしまうのですね…
楽器のチョコ、昨年わたしも音楽好きの友人に送りました。 かわいいですよね♪

by バニラ (2012-02-11 21:02) 

Inatimy

気になるので映像探してみたら、ありました、寝転がってサティの「ジムノベティ」を弾くところ。
頭でペダル踏んでたのかな。 あんな風にしても弾けるんだってビックリ。
ピアノの脚を外してヴァイオリン付けちゃったり、突拍子なことが多くって、
興味そそられました♪
あぁ映画館で見たかったなぁ・・・。
by Inatimy (2012-02-12 07:15) 

moz

面白そうな映画ですね。
ピアニストの裏側も垣間見ることができそうです。 ^^
そうですか、一館だけでの上映なんですね。空いているのは何時頃なんだろう。
ぜひ見に行ってみたいと思います。
by moz (2012-02-12 13:01) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲いっぷくさん、お久しぶりです。読んでいただいてうれしいです。こういう細かい技術を必要とする作業は、いっぷくさんの作品に通じるものがありますね。
実際、コンサートの前でも、調律がなかなか終わらないから練習ができない、っていうことがあるんですよ。

▲てんちゃん、調律師になるには、絶対音感がないほうがいいそうです。あると、それに頼ってしまうので、微妙な調整ができないんですって。絶対音感は体調によって、違ったりもするんだそうです。
ピアノとのに幸せな思い出、いいですね。

▲バニラさん、来週で終りですか。地味だけど、いい映画は、広告も少ないので、
見逃してしまいますよね。友達歌姫の家でコンサートをするとき、調律を頼むのですが、スタインウェイは3万円なんですよ。その他に微々たるものでもピアニストと出演者に謝礼を払うから、お客さんが少ないと、会計面で大変です。

▲Inatimyさん、「イグデスマン&ジョー」、韓国人とロシア人という異色コンビ。
そ、頭でペダル踏んでるんですよね。びっくり。エマールが主役の割には、フランス語のない映画だから、ジムノベティが、聞こえた時は、うれしかったです。

▲mozさん、音楽家の練習風景が楽しいです。私は親友歌姫のコンサート裏方で
ホール舞台に出入りをしているので、どこでも同じね、と親しみを感じました。
録音されたエマールの「フーガの技法」のCDを買いたいと思ってます。ネットで頼めばすぐ手にはいりますね。
by TaekoLovesParis (2012-02-12 16:42) 

りゅう

ピアノが弾けるようになりたいです。。。
イメージトレーニングはバッチリなんですけどね~(/ー\*) イヤン♪
by りゅう (2012-03-04 18:14) 

コメントを書く

お名前:
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0