草間彌生美術館

バスに乗っていて見かけた建物、大胆な「白と黒の水玉」の壁面、草間彌生！
と思ったら、まさにそう、YAYOI KUSAMA MUSEUM と書いてあった。

ネットで調べたら、開館日は木金土日で事前予約必須。
先週の金曜、少し早く帰れる日だったので、最終回4時（4時半までに入場）を予約した。

私が、草間彌生作品を初めて見たのは、パリにある近代美術館「ポンピドゥー・センター」
で、だった。2000年当時、日本人の作品があることに驚いた。作品タイトルは「My Flower Bed」。
くすんだ赤の楕円形のモール地のお手玉をいくつもつなぎ合わせて、大きな花一輪に茎、

葉の部分は下に渦巻き、1mくらいの高さのインスタレーション。ちょっと薄気味悪かった。
初めて聞く名前で、この作品だから、NYで活躍しているのだろうと思った。

2004年、オープンして間もない六本木ヒルズの森美術館の見学がてら、「クサマトリックス」
という草間彌生展を見に行き、強烈な赤い水玉の世界を体験した。ポンピドーの俯いた一輪の花
と違って、生命力あふれる水玉だった。

その後、「草間かぼちゃ」を随所で見かけるようになる。

展覧会は、撮影禁止なのだが、
「この部屋はどうぞ写真を撮ってください」。入り口で渡された黄色い花一輪を
好きな場所に貼る参加型インスタレーション。

一番上の階には大きな花のインスタレーションが外に向けられている。
たぶん、近隣の他のビルから見えるようにだろう。

時刻は5時過ぎ。窓の外の夕焼けが綺麗。それに目を奪われた。

本が置いてあるコーナーの上の段に過去の展覧会のカタログ3冊。
下の段に関連書籍。「草間彌生物語」を読んで、草間が長野県松本市出身で大きな
種苗屋の娘。小さい時から花や植物の生長を見て育ったと知る。京都市立芸大で、
日本画を専攻。ジョージア・オキーフに憧れ、1957年、28才でニューヨークに渡り、
前衛アートに携わる。個展をして成功。ソフト・スカルプチャーを考案。性の開放の
時代だったので、男根のバリエーション作品も制作。しかし、数年後、時の流れで、
業界からスポイルされ帰国。精神を病み入院療養。その後、再び、元気に活躍。
常に時代と向き合った作品を作り続けている。

今回の企画展は「神秘と象徴の中間：草間彌生のモノクローム」
これが、図録の表紙。「天国へ上る階段」2019年
天国へ行くには、こんなにたくさんの複雑な階段。。

同じ頃の作品「青春がやってきた」2019年
上の「まゆ」の中に人の顔が。。。たしかにこちらの方が明るくて未来を感じる。

この2点は、最新作。天国、神、宇宙が、最近の草間のテーマである。

モノクロという視点から集めた作品なので、古いものもある。
実際に見て良かったのは、それぞれの作品が実に緻密であること。
一本、一本の線、点、三角、、、だから見るのに時間がかかるし、面白い。
「自画像」1995年

花　1985年は、日本画の構図を感じた。　

モノクロームに着目している展覧会だが、白黒だけでなく、
他の色2色での表現もある。色鮮やかな2色。実際のサイズは1ｍの正方形

白と黒のモノクロも良いが、強烈な2色のほうが、パワーがあって好きだ。
何かを主張してる2色。
私がいいなと思ったのは、「宇宙の永遠の彼方は青色の祭りに燃えていた
この私が受け取った愛の光景　この瞬間のすべてを忘れないでね」

見た後で、明るい軽快な気持ちになる展覧会だった。

コメント 10

水玉模様の作品ばかりと思ってましたが、草間さんは色んな作品を描いていらっしゃったのですね！
by tomi_tomi (2021-12-14 02:42) 

まさに天才ですね。
by よしあき・ギャラリー (2021-12-14 06:06) 

かなり前ですが、大阪の国立国際美術館で「草間彌生展」がありました。
私の友達で、草間さんが好きな人と観にいったのですが、赤の水玉の花や、黄色に黒の斑点のカボチャなどの、作品がたくさん展示されていて、おもしろかったです。
そのとき、レクチャーもあって、それによると草間さんは小さいときから、心の病があって、実際に斑点がみえるのだと、講師の方が解説していました。だから作品にも斑点がある絵が多いのですね。
草間さんのパワーはすごいですね。TV番組でもどこかの市に頼まれて、富士山の絵を製作する様子がドキュメンタリー番組として放映されていました。
赤、ピンク、ブルーなどの富士山を製作されていて、それを依頼した市の担当者の方もとても気に入っていたようでした。確かその中の1点を市のどこかに飾るとのことだったと思います。草間彌生さんご本人がとても魅力的で愛にあふれた方だと思います。
by coco030705 (2021-12-14 17:27) 

草間彌生美術館、新宿なんですね。知りませんでした。
でも、草間さんですからバスに乗っていても気が付きますよね　笑
強烈な印象を与えるパターン模様が特色ですから、間違えるはずがありません。
実際、作品等を色々な所で見かけるけれど、草間さんです!!
でも、モノクロの作品は見たことがありませんでした。こちらも独特だなぁ。
見ていると、モノクロの虫? がもぞもぞとうごめいている様に感じます。黄色のカボチャともどこか繋がっているんですね。
「宇宙の永遠の彼方は青色の祭りに燃えていた
この私が受け取った愛の光景　この瞬間のすべてを忘れないでね」と言うタイトルもいいですね　^^
by moz (2021-12-16 11:26) 

草間彌生苦手です。
by U3 (2021-12-16 15:44) 

色使いも、細やかさも、すごいなとは思う・・・
でも、あまりじっくりとは見たことがなくて。
トライポフォビアとまではいかないのだけれど、雰囲気というのか、
どうも作品全体から薄らと不気味さを感じてしまって＾＾；。
たくさんの作品をじっくり見てしまうと、夢にまでできそうな力強さがあるんですよねぇ。
by Inatimy (2021-12-16 22:30) 

絶妙なバランスですね。
気持ち悪くなる、多すぎる一歩手前というか。
（それでも集合体・点々恐怖症にはムリでしょうけど^^;）
参加型のところは多すぎて個人的にダメかも。
確かにパワーがありますね。
お花さん、夕日を見ているみたい。
by ふにゃいの (2021-12-18 22:51) 

ポップだけど、見ように依ってはちょっとグロテスク。万民がみんな、好きな分けじゃないので、コメント残された皆さんのご意見も割れていますね（＾＾；。

taekoねーさんはかつて、肖像画を描いて貰うならファンタン・ラトゥールだなんて、生真面目でお固～いイメージの画家を挙げていたようにアカデミック好みで由緒伝統を重んじるタイプ。それなのに一方ではニキ・ド・サンファルみたいなポップでカラフルかつ意味不明（＾＾ゞなものもおキライじゃなかったですものね。ならば、草間カボチャがお好みでも全く不思議ではない（笑）。
by yk2 (2021-12-19 21:57) 

nice＆コメントありがとうございます。
▲tomi_tomiさん、この美術館は、草間彌生が自分で作った個人美術館なので、過去の作品も展示され、水玉でないものも見れます。

▲よしあきさん、実際、若い頃から精神的に他の人とは違う所があり、抜きんでていたそうです。cocoさんのコメントもお読みください。色彩感覚がすばらしいです。初めは日本画を学んだそうです。

▲cocoさん、たくさんの情報をありがとうございます。実際に斑点が見える、、そうだったんですか。参考になる話でした。80才を過ぎてなお情熱を持って書き続ける、すごいです。

▲mozさん、草間さんは新宿区の名誉区民なので、たぶん、自宅を改造したのでしょう。狭いので5階建てです。自分で自分の美術館を作るという強い自己主張は草間彌生らしいですね。
＜モノクロの虫? がもぞもぞとうごめいている＞　→　私にはカイコのまゆのように思えました。ゾウリムシかな？
「宇宙の永遠の彼方は青色の祭りに燃えていた、、、の作品は、ここに写真を載せていないのですが、水色に白の電気コイルのようなものが配置されている絵でした。

▲U3さん、そうですか。
by TaekoLovesParis (2021-12-22 00:49) 

▲Inatimyさん、トライポフォビア、なんだろうと調べました。わぁ、気持ち悪い。。。たしかに不気味さがあるけど、かわいらしさも少しあるんですよ。

▲ふにゃいのさん、集合体・点々恐怖症がトライポフォビアなんですね。
エレベーターの中がメタリック素地に赤い水玉。開いたとたんに水玉模様が見えてびっくり。さらにトイレの壁紙も赤い水玉。
ちょっと前までは、夕陽を眺めるのは、お花でなくかぼちゃだったそうです。近隣のビルから、かぼちゃが見えてたそうで。

▲yk2さん、前衛芸術は好き嫌いが二分しますよね。
自分で自分のことはわからないから、指摘されて、当たってる！と感心。
7割、きちっとした伝統的なものが好きで、3割遊び満載の色彩に溢れたものが好きです。3割の方には、「次、何を見せてくれるの？」という興味もあります。yk2さんは、かちっとしてないもの、少し、緩やかさの見えるタイプ、直線より曲線がお好きとお見受けしますが。。
by TaekoLovesParis (2021-12-22 01:06)