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ルノアール+ルノアール展 [展覧会(西洋画)]

 東急Bunkamuraで「ルノワール+ルノワール展」を見た。
画家ルノワールと息子で偉大な映画監督のジャン・ルノワール、2人の作品展。
ジャンが父にどのような影響を受けて作品作りをしたのかがわかる展覧会。


 ①たとえば、映画「草の上の昼食」の場面は、父の絵↓をイメージして撮られている。
会場では、実際に映画のフィルムが数分間流れている。緑豊かな泉での水浴シーン。
「見ちゃいけないのかな、あ、でも見ちゃった」という表情の男の人が見え隠れすると、
女が振り向いて「いらっしゃいよ」と誘う。
父が描く裸婦たちと同じく、おおらかであり、水に映る光がキラキラ美しい。

  

  ②「狩姿のジャン」  モデルは15歳のジャン。
この絵をイメージした映画が、「ゲームの規則」。ジャンも狩姿で出演(中央)。

   

 

 ③映画「恋多き女」、中央でイングリッド・バーグマンが男の人と踊っている場面は、父の
有名な「田舎の踊り」の絵を下地にしている。この絵のモデル、アリーヌが画家ルノーアルと
結婚し、ジャンが生まれたのだ。

   

 

 ④この名画「ブランコ」のシーンも映画「ピクニック」に取り入れられている。
映画でもこれと同じドレスを着てはっきりとわかるようになっている。

 

 ⑤ 画家ルノアールは、スペインものに夢中になっていた時代があった。
当時、画商としてスタートしたばかりだった若いヴォラールにスペインの衣装を着せて
ポーズをさせた「スペインのギター弾き」(1894年)
20年後、同じモデルで、「闘牛士姿のアンブロワーズ・ヴォラール」(1914年)が右の絵
    

スペイン衣装、スペイン趣味は、映画「黄金の馬車」に取りいれられた。

 ⑥ 「家族を描くルノアール」(アルベール・アンドレ)
この絵で、ジャンが小さい頃のルノーアル家のようすがわかる。
手前から、アリアーヌ、ピエロの服を着たジャン、ココを抱くガブリエル。
壁には、ルノアールの風景画が架かっている。

 父の絵を描く姿を見ながら育ち、頭の中に絵の中の世界がインプットされていたジャン。
その頃、新しく現れた映画という手段で、印象に残る光景を表現したことがよくわかる。
ジャンは父の世界を映し出すことだけでなく、他に新しい試みもたくさんしているので、
フランス映画界の巨匠として今も名を残している。

 最後に私の好きな、モーリス・ドニの描いたルノアールの肖像画。
弟子ジャンヌが横にいる。


ドニの「セザンヌ礼賛」の絵にも、画商ヴォラールは登場している。

ジャンの小さい頃のかわいい姿の絵、「ガブリエルとジャン」は、こちら
★julliezさんの、「ルノアールと家族」について記事、秀逸です。

この展覧会は、2005年にパリで開催され好評だったもの。オルセー美術館の後援。
5月6日まで、東京・渋谷・東急Bunkamuraミュージアムにて開催。


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コメント 36

ルノアールの絵を見ると、映画「アメリ」を思い出してしまいます。
(話の中で、アメリの知り合いの老人がルノアールの絵を20年間
ずっと模写していた)
①の絵の水面のきらめきが、裸婦のみずみずしさを
引き立ててますね。
by (2008-02-13 21:42) 

ムーミン

テレビで、この絵画展の宣伝?のためか。西村雅彦が案内をして
いた、番組があったので見ました。ジャンの映画はルノワールの
絵が大きく影響していたんですね。
by ムーミン (2008-02-13 22:07) 

aranjues

ムーミンさんと同じ番組みたようです。
名古屋にもくるのかな~~。
春夏秋冬の美術館、今年はすでに一度行きましたが、
是非今年2度目はこれを鑑賞しに行きたいのですが、、、、。
by aranjues (2008-02-13 22:40) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲寡蓮さん、私もアメリを見たんだけど、そのエピソード覚えてなくて。。。寡蓮さんは絵をお描きになるから、そういうエピソードが印象に残っていらっしゃるんですね。橋の欄干から池を覗き込んでいるアメリ、その池の水がきらっとしていたのは覚えているのですが。。

▲ムーミンさん、その番組、見逃しています。きっと宣伝のためでしょね。ジャン・ルノワールの映像は絵画的って言われているけれど、
こういう父のもとで育てば、自然に身につく美意識でしょうね。
映画が好きな人には特におもしろい展覧会だと思います。

▲aranjuesさんも、その番組、ごらんになったのですね。
今、探してみたけれど、名古屋で開催と書いてないけれど、やるかも
しれませんね。東京は5月6日までです。
年に4回、美術館にいらっしゃっているのですね。展覧会のあとのビールもきっとおいしいことでしょう(笑)
by TaekoLovesParis (2008-02-13 23:23) 

aranjues

 追伸
よく行ったとしてですので、、。。
盆と正月の時もあり(^_^;)、、誕生日の時も。
さすがにオリンピックとまではいきませんが。。
by aranjues (2008-02-13 23:28) 

trestelle

早速行ってこられたのですね!私は先週末テレビ番組で予習をしたので、近々行ってこようと思っています。Taekoさんのレポートを拝見して、ますます楽しみになりました。
by trestelle (2008-02-13 23:33) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲aranjuesさん、了解。最高年に4回、最低年に1回ですね。
今年、すでにいらしたのは、ロートレック展?

▲trestelleさん、これはパリの映画博物館(Cinémathèque française)
で、好評だった企画なんですって。だから、映画サイドから見た展覧会ですよね。
by TaekoLovesParis (2008-02-13 23:45) 

miku

ルノアールの絵画は、空気が感じられる気がします。
そのまま動くのでは...と思えるような。
それをほんとに映画にとりいれたんですねー。
ジャンの映画、観てみたいです。
by miku (2008-02-13 23:55) 

yk2

僕はジャンの映画は、以前にTVで『フレンチ・カンカン』を1本ちらりと観ただけ。それもムーラン・ルージュの描かれ様に興味を持っていたからで、要はロートレックの過ごした空間に興味があってのもの。カンカンで賑やかなのは良いけど、ほとんど筋を覚えてないデス・・・(苦笑)。

だから今回も、これから普通にオーギュスト・ルノワールだけを観に行こうと思っていたのですが、こんな具合に親子の影響を比較してみせる展覧会になっているのですね。これはこれで面白そう♪。今週の土曜にでも早速行ってみたいと思います。

ところで、イングリット・バーグマンはふっくらしたアリーヌよりも、やっぱりシュザンヌのイメージの方が順当な気がしません?(^^;。
by yk2 (2008-02-14 00:26) 

TaekoLovesParis

mikuさん、私は昔、ジャン・ルノアールが、画家ルノアールの息子とは知らずに、「大いなる幻影」「ゲームの規則」を見ました。フランスらしい映画です。
by TaekoLovesParis (2008-02-14 00:42) 

TaekoLovesParis

yk2さん、会場では「フレンチカンカン」のフィルムも数分間流していました。レビューの場面ね。主演のジャン・ギャバンがどこにいるのかわからなかったけど。
画家ルノワールの絵を見るというより、映画の視点から見たほうが楽しめる展覧会です。絵だけを見せるのでなく、描かれた背景まで見せようとする展覧会という点では、ロートレック展(早く記事書いてくださいまし)に通じるものがあるかな?

バーグマンは、アリーヌよりもシュザンヌよりも上品で美しいです。
この場面は、名画「ムーラン・ド・ラギャレット」の人々の賑わいのほうが
イメージがあっています。でも飾ってあった絵は、「田舎の踊り」だったので。
by TaekoLovesParis (2008-02-14 00:53) 

julliez


賛成です^ω^
バーグマンは絵のように美しいしみずみずしいですね。
大いなる幻影は男の人が好む映画のような感じですね。
(ジャンだったかクロードだったか忘れましたが)お嬢さんが今も現役でアメリカで映像関係の仕事をされていると聞いた覚えがあります。
彼女はエッソワのアトリエ裏のおうちの管理者なんです。
by julliez (2008-02-14 03:51) 

TaekoLovesParis

julliezさんは、オーブで、ルノアールの描いた景色に囲まれて、巨匠を感じながら、暮らしていらっしゃるんですね。
今でも残っているというルノアールのアトリエは、↑のお孫さんが管理なさっていらしゃるとは身近な感じ。
記事の中で、julliezさんんが一番好きと書いていらしゃる「白い帽子の自画像」も展示されていました。
「Renoirを巡る、家族編」の記事は、とってもわかりやすく、きれいなので、リンクをつけさせていただきました。不都合があったら、ご連絡くださいね。
by TaekoLovesParis (2008-02-14 08:57) 

たしか日本テレビも後援していますよね?
この前ルノワール+ルノワ―ル展の特集番組ちょこっとだけ見ました。
by (2008-02-14 12:33) 

りゅう

ジャンの映画を1本も見たことがありません・・・(-_-;)
絵画メインで楽しんでこようと思います。
なんだか日増しに混雑しそうですね。さて、いつにしようかな~
by りゅう (2008-02-14 21:18) 

noriko

ジャンはお父様をまっすぐに尊敬していたのでしょうね。
幸福感が溢れてきます。
私も行ってみようっと。
by noriko (2008-02-14 21:34) 

coco030705

こんばんは。
すばらしい展覧会ですね。さすが東京です。うらやましいです。
父と息子の素敵な関係がよくわかりました。
ジャン・ルノワール監督の映画を見てみたいです。
by coco030705 (2008-02-14 23:05) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲範子さん、<たしか日本テレビも後援していますよね>
→今、パンフを見たら、そのとおりでした。それに11日午後に特集番組と書いてありました。ジャンの映画ハイライトも見れたでしょうね。見逃して残念。。でも、教えてくださってありがとう。

▲りゅうさん、チケット当たってるんでしたよね。そういえば、りんこうさんは、ジャンの映画を見てたと思うけど、りゅうさんは、ダンボ以前のは、
あんまり見ませんよね(笑)。りゅうさん、お目当てのオルセーのビッグ3、(ここでの①、③、④)楽しんできてください。

▲てんちゃん、<幸福感が溢れてきます。>
→ほんと、そうでした。愛されて育つって大切なことですものね。
ジャンの口が大きいので、生まれたとき、父ルノアールが「この子は
食いしん坊になりそうだ」って言ったんですって。
by TaekoLovesParis (2008-02-14 23:11) 

TaekoLovesParis

Cocoさん、前に「ロートレック展」をごらんになって、「東京にも行くみたいですよ」っておっしゃっていたでしょ。今、やってるんですよ。昨日、
見てきたので、そのうち、記事にします。
これ、映画好きのCocoさんには、とってもおすすめの展覧会です。
大阪にも巡回するといいですね。ジャン・ルノワールの映画には昔のフランスを代表するような俳優が出ていてそれもおもしろいです。
by TaekoLovesParis (2008-02-14 23:17) 

julliez

リンクありがとうございます。
ついでに家族編とエッソワ編もTB張らせて戴きました。
どうぞよろしくです(。・ω・。)ノ♡
by julliez (2008-02-15 03:18) 

シェリー

お父さんと息子さんの、なんかいい話ですね。
絵と映画でこんなに共通点があったなんて
ぜんぜん知りませんでした。
素敵な展示会、Taekoさんの説明つきだと分かりやすくて
私もここで一緒に楽しめた気がします♪
by シェリー (2008-02-15 12:26) 

nicolas

ルノアールの木漏れ日の描写、やっぱり素敵ですねー♡
by nicolas (2008-02-15 16:38) 

pistacci

Taekoさんと、紹介してくださったjulliezさんの記事と、とっても面白く読ませていただきました。巨匠の絵、と思って見ていたけれど、その一生にはいろんなドラマがあり、生活があり、家族があったわけなのよね。そう思うと、描かれている人物が語りかけてくるように思えてきます。
by pistacci (2008-02-15 22:56) 

Inatimy

母と娘は姉妹のように、今で言うと、仲良く買物したり、一緒にランチしたりすることもあるけれど、父と息子って、男としての潜在的な縄張り意識からか、それほど近くなく、ある一定の距離をもって接しているように感じるので、それでも、こんなふうにちゃんと影響を受けてる、っていうのは面白いですね。
by Inatimy (2008-02-16 01:34) 

匁

お忙しいとか聞いていましたが
その後いかがですか?
単なるルノアール展ではなく父息子の関係を読み解く
展覧会ですね。
by (2008-02-16 10:23) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲julliezさん、ありがとう!

▲シェリーさん、知ってることがふえていくと、きっと見るのも楽しくなってくるでしょう。私もそうだったので。

▲にこちゃん、julliezさんのブログの写真には、こういう木漏れ日のセーヌ川があって、「オーブでは日常的なのね」、とうらやましく思いました。

▲pistaさん、とくにjulliezさんの記事は参考になったでしょう。私もあれを読んで、ルノワール一家がとても身近な存在になりました。

▲Inatimyさん、TVもない時代だから、子供は家での影響を強く受けて育つんですね。ジャンが子供の頃、もうルノワールは大画家で、弟子もいたでしょうから、父親の偉大さはわかっていたのでしょうね。

▲とらionさん、お心遣いありがとうございます。今はもう余裕になりました。本を読んだり、買い物に行ったりと楽しく~です。でも、なんか物足りないのは、まだペナントレースがはじまらないからですね。
by TaekoLovesParis (2008-02-17 10:46) 

雛鳥

↑落ち着かれたようで、何よりです。
読書やお買い物と、余裕を持って過ごされるのは楽しいですよね。

この展覧会は、私も絶対行こう!と意気込んでいますが、
例によって混雑具合を懸念…。
金曜は夜もやっているんですよね。狙い目はここですかね、やはり。
実はジャン・ルノワールの映画は、見たことがないんです。
ちょっと渋いかな、と思い…。
でも、写真を拝見する限り、とてもアートっぽくてきれいですね。
心にゆとりを持って、ゆっくり楽しんで見たい映画と思いました。
by 雛鳥 (2008-02-17 13:46) 

TaekoLovesParis

雛鳥さん、そう、遊んでて楽しいです。もうちょっと暖かだったらもっといいんだけど。春よ来い、です。
私は代休の日、平日に行ったので、すいてました。
Bunkamuraは日曜の11時前がすいています。デパートが11時開店で美術館は10時開店だから。
古い映画は始まったとき、違和感がありますが、名作ならば、すっと溶け込んで行けます。
by TaekoLovesParis (2008-02-18 01:12) 

Taddy

特徴あるルノアールの光の表現法、初期と後期とではまた違ってますが、観てるとやはり興味深いものになってますよね。
by Taddy (2008-02-18 10:40) 

TaekoLovesParis

Taddyさん、基礎知識のあるTaddyさんは、初期、後期って年代をちゃんと気になさってご覧になってらっしゃいますね。私は⑤のスペイン衣装のヴォラールを描いた絵、色彩は同じなのに20年間の隔たりで、筆のタッチが変わっているのが興味深かったです。
初期は青と緑の印象派系→アングルの手法の肖像画→オレンジ系の裸婦って勝手に解釈しています。
by TaekoLovesParis (2008-02-18 20:30) 

りんこう

これは絶対観に行きます。展覧会にも、できれば映画にも。
ジャンの作品「ピクニック」のシーンが使われているポスターはいいですね。
こうやってジャンが親から受けた影響をさぐるというのは面白いですよね。
僕も探してみたくなってしまいます。見つけてもないしょにしたいです。
by りんこう (2008-02-18 23:14) 

TaekoLovesParis

りんこうさん、「リュミエール兄弟にジャン・ルノワール、フランスの映画史」といえば、りんこうさん、という図式が私の頭の中に出来上がっています。だから、↑でりゅうさんへのコメントに、ご登場願いました。
これ、りんこうさんがいらしたパリのシネマテークでの企画展だったんだそうです。
by TaekoLovesParis (2008-02-19 00:25) 

かよりん

わっ、早速行かれたんですね。
やっぱりルノワールはいいですね。
by かよりん (2008-02-19 21:02) 

TaekoLovesParis

かよりん、休暇中なのにありがとう!
今回は、映画のフィルムも数分間づつだけどあるから、おもしろいです。5月まで、やっているから大丈夫よ。
by TaekoLovesParis (2008-02-19 22:07) 

INO

私も「ルノワール+ルノワール展」を先週末に家内と見てきました。絵画と映画の、そして父と息子の、コラボレーションが素敵で、幸せな気分になりました。
ところで、初めてブログを拝見しましたが、見事な内容で圧倒されました。
私のブログは拙いですが、見て頂ければ嬉しいです。
団塊の広場(オジサン3名の共同)ですが、ルノワール記事のアドレスは
http://dankai-hiroba.cocolog-nifty.com/blog/2008/02/post_c739.html
by INO (2008-02-23 18:56) 

りゅう

子どもを描いた作品がとても可愛かったです。
今回の展示は帽子をかぶった作品が多かったように思いました。(^_^)
by りゅう (2008-04-29 00:22) 

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