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マウリッツハイス美術館展 [展覧会(西洋画)]

mauritshuis.jpg

 9月11日(火)から、最終日17日(月)までは、夜8時まで開館しています。

 混んでいるという噂を聞いて、怖気づいていた展覧会だったが、先月、
サイトを見たら、「8月は、6時半まで開館時間延長」。
5時半に着いたら、チケット売り場に並ぶ人は2人だけで、らくに見れた。

 
 マウリッツハイス美術館は、オランダのハーグにあるマウリッツ伯爵の邸宅美術館。
王立美術館とよばれるほど質の高いコレクションを持っている。今回は改装のため
たくさんの絵を貸してくれた。

 「青いターバンの少女」*のところだけ、縄がはられ、順番に前で見るようになっている。
並ばない人は、やや離れた所から見るのだが、絵が小さいので、離れた所からでは、
よく見えない。
実際、そばで見ると美しい。照明が上手なので少女の目、真珠の輝きが増している。
青いターバンの色も鮮やか。
   今は「真珠の耳飾りの少女」という作品名だが、前回来日の時は、「青いターバンの少女」だったので、
        つい、昔の呼び名になってしまう。

 この展覧会は、すばらしい絵が多かった。
はいってすぐが、17世紀オランダの風景画。
ヤーコブ・ファン・ライスダール「漂白場のあるハーレムの風景」1670ー75年
雲がもくもくとわく広い空、のどかな風景、見ていると穏やかな気持ちになる。

ricedall.jpg

続いて歴史画と肖像画
ルーベンス 「聖母披昇天(下絵)」1622ー25年
「フランダースの犬」のネロ少年が見たかったアントワープ大聖堂の大きな絵の下絵
Loubens.jpg  LubensPortrait.jpg

私が好きだったのは、ルーベンスの「ミハエル・オフォヴィウスの肖像」1615-17年
語りかけようとする手が今にも動きそう。表情から温かい熱心な性格が伺える。
ルーベンスの友人だった修道士で、ドミニコ会の服を着ている。

レンブラント作品は6点もあった。
「最晩年の肖像画」は、破産し貧乏だった生活の寂しさが滲み出ていた。
「シメオンの賛歌」 1631年 
初期の作品だが、光の使い方がドラマティックな効果を出している。
[右斜め下]
simeonRembrandt.jpg

フェルメールの歴史画「ディアナとニンフたち」1653-54年。
2008年の都美術館の「フェルメール展」にも来た作品。
一日の終わり、狩りを終えたディアナがニンフに足を洗ってもらっている。
左の隅にいるのは、狩猟犬。 (月の女神ディアナは狩猟の神)

fermerDiana.jpg

肖像画で、一度見たら忘れられないのが、
フランス・ハルスの「笑う少年」1625年。
近くで見ると、絵の具の重ね塗りで鼻筋に青がはいっていたりだけど、遠くから
見ると、実に活き活きとしている。
ハルスの「ヤーコブ・オリーカンの肖像」は、横に許嫁の「アレッタ・ハーネマンスの
肖像画」が向き合うように展示されていた。笑う少年とは全く違う厳粛な肖像画。

Harus.jpg

2階には、静物画があった。
ぺーテル・クラスゾーン「燃えるろうそくのある静物」1627年
   *Inatimyさん、Pieter Claesz ペーテルでした。
 
 
   *「クラスゾーンの作品がいい」というのは、
        mozさんの記事http://skycrescent.blog.so-net.ne.jp/2012-07-21で知りました。

 

ろうそくの光が、もの悲しそうに、寂しそうに精一杯輝いて、机の上を照らしている。
終末という言葉が頭をよぎった。

peterclass2.jpg 

同じくクラスゾーンの「ヴァニタスの静物」1630年。
ヴァニタスvanitasは、ラテン語で「空虚、むなしさ」
死の確実さを意味する頭蓋骨が絵の中に置かれるがことがある。
静物画は、こういった茶系の色合いで描かれるものが多い。

 PeterClasezone.jpg


オランダといえば、風俗画。
ペーテル・デ・ホーホ 「デルフトの中庭」 1658-60年。
デ・ホーホは、フェルメールと同時代の人。フェルメール展が開催されるたびに、
デ・ホーホの作品も展示されるので、すっかり馴染みになった。
この作品は、フェルメールの「小路」に似た感じがある。

右は、ヤンステーン 「牡蠣を食べる女」1658-60年。
ヤンステーンも過去のフェルメール展で、作品が展示されたので覚えた画家。
緻密に描かれた絵。少女の目つきが色っぽい。それには理由があるんだけど。

hohnakaniwa.jpg  yanstehn.jpg

 
 東京都美術館は、改装でとてもきれいになっていた。
上野公園内には、スターバックスともう一軒お茶をする店が出来ていた。
公園内が明るく、危険がなくなるのは良いことだと思う。

          


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コメント 22

moz

わあ、いよいよ少女ともお別れが迫っているのですね。
改修工事、もっと時間がかかればよいのに、おまけにデルフトの眺望も来日すればよいのに(笑)
などと思ってしまいます。 ^^;
いかれたんですね、そうですか、夕方だと空いているのですね、会社の帰りに3度目行こうかな?
この絵の他にも、描いてくださっているように良い絵がたくさん来ていますよね。
お別れは辛いなぁ~。
でも、1月まで、神戸にはいるんですね。 ^^
by moz (2012-09-10 06:05) 

TaekoLovesParis

mozさん、そう、あと会期も少しなんですよね。
神戸に追いかける?(笑)
ピーター・クラスゾーンは、mozさんが記事で印象に残った、と書いてらしたので、
特にじっくり見ました。2年前、リスボンで、「17~8世紀のヨーロッパ静物画展」
を見たので、そのリーフレットを見たら、クラスゾーンもありました。気になったいい展覧会だったので、そのうち、記事にします。
記事中にmozさん記事へリンクをつけさせていただきますね。
by TaekoLovesParis (2012-09-10 09:47) 

ENO

エノ爺でっす。
コメントありがとうございます。
いつも、呆れる程のジョークを飛ばして
すみません。
これからも宜しくお願い致します。
by ENO (2012-09-10 10:09) 

coco030705

こんばんは。
「青いターバンの少女」素敵ですね。青がきいていますね。さすが
フェルメール。「漂白場のあるハーレムの風景」も空が広くてとても
いい感じですね。ほんとに穏やかな気持ちになれます。
「笑う少年」も好きです。笑顔がかわいくて、今にも笑い声が聞こえてきそうです。
レンブラントの「シメオンの賛歌」もすばらしいです。この光の当たっているところが
最高に美しい絵ですね。
楽しい解説を有難うございました。いつもTaekoさんの解説はすばらしいです。
この展覧会は神戸に巡回するようですので、ぜひ行きたいと思います。
by coco030705 (2012-09-10 18:59) 

匁

この美術展には行ってないのですが
前に、「青いターバンの少女」が
大阪に来て話題になった時に
(Tigermakiは、わざわざ大阪まで見に行きました)
模写しました。F8号なんですよ!!。
このサイズで描きこなすって難しいですね。
まだ、見られて無いと思いますので
今度、Blogアップしますヨ!。


by (2012-09-10 19:16) 

kazu-m

先月観に行ってきました。
今年はフェルメールイヤーですね。
北欧に行った時に目にした、小さな窓から入る低い太陽の光と影、ゆったりと広がる雲の流れ。
当時はフランドル派という言葉も知りませんでしたが、それ以来フランドル派の絵が一番好きになりました。
ましてや、これだけの数を観賞できるなんて、2度とないかもしれないと思います。
by kazu-m (2012-09-10 21:33) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲エノ爺さん、ジョークいっぱいで楽しい記事ですよ。写真が大きくて鮮明なのも
いいですね。

▲cocoさん、東京は大人気で混んでいたのですが、神戸はどうかしらね。ひとつひとつ味のある作品、傑作ぞろいなので、ぜひ、ご覧になってくださいね。
cocoさんにならって、take this waltz 見ました。

▲匁さん、今のタイトルは、「真珠の耳飾りの少女」なのに、ついつい先に覚えた「青いターバンの少女」って言ってしまうんですよ。8号なんですか。遠くでは見えないはずですね。匁さんは、前回、大阪でご覧になったんですね。私は札幌でした。いろいろ巡回したんですね。模写、今度アップしてくださいね。

▲kazu-mさん、ご覧になったのですね。よかったでしょう。
少女の目、表情もいいけれど、衣服の色あいも印象に残りますね。
フランドル派の絵の景色のような北欧だったんですね。好きな絵が増えていくのは楽しいですね。
by TaekoLovesParis (2012-09-11 00:10) 

Inatimy

静物画はピーテル・クラスゾーンのほうでしたか。 ふふ、どちらの絵も食べ物がなくて寂しげ。 
静物画の中の食べ物チェック好きな私は、ゴーダチーズがどん!と積んであったり、
ハムやパン、牡蠣が載ってるほうが、見た後、安心できるなぁ・・・。
その点、こっそり盗み食いしてるようなヤン・ステーンの絵は、何度見ても面白くていいかも♪
by Inatimy (2012-09-11 21:07) 

バニラ

わたしもつい青いターバンの少女と言ってしまいます…
この時期の夕方以降なら空いてたのですね~  入場待ちで大変な思いをしながら観たのに~
でも なかなか充実したいい展覧会でしたね。
女優の武井咲がターバンの少女に扮したときのドレスが展示され、記念撮影できるコーナーがありましたが、そこで中年の男性がご自分の奥さまを写しながら「武井さんよりきれいだよ♡」と大きな声でいってらしたのが、ほほえましたかったです♪  (たしかにとっても美しい女性でした)
by バニラ (2012-09-11 22:57) 

hatsu

「聖母披昇天」、フランダースの犬に出てくる絵ですねー。
ちょっとテンションあがっちゃいました^^
遅くなりましたが、
イタリアから、お帰りなさいませ。
楽しいお話聞いていると、一緒に旅行していたようでした。
ベネツィアは、いつか行ってみたいんですょねー。
ゴンドラ乗って、カンツォーネを聴いてみたいです♪
by hatsu (2012-09-12 17:06) 

チョコローズ

この展覧会でフェルメールの代表作3点を全て見れて、なんだかノルマをこなした気分でした。
きれいな絵が多くて素敵でした。
私は朝早く行きましたが、日曜日なので混んでいました。でも見に行く価値ありますよね。
そうそう、暗くてちょっと危ない感じの森がきれいになって、きれいなスタバができてて驚きました。
あの森が東京都美術館へたどり着くまでに蚊に刺されたり嫌だったんですよね~
美術館ともきれいになって嬉しいです。
by チョコローズ (2012-09-12 22:27) 

ルビー

行かれましたかあ。 東京の次ぎは神戸ですねえ・・・
ベルリン国立の方も東京の次ぎは福岡・・・
フェルメールには名古屋は飛ばされるみたい。ヨーロッパ陶磁器の歴史でデルフト焼きは最初にでてくるんですが、「フェルメールはデルフトブルー」とどこかで知った時からちょっと意識する画家です。
by ルビー (2012-09-13 01:51) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲Inatimyさん、静物画の観賞ポイントが食べ物っていうのは(笑)。たしかにゴーダチーズ、桃、りんご、皮の剥きかけレモンがよく登場するわね。骸骨よりぎょっとしたのは、人のいない食卓に猿がいて食べ荒らしている絵を見たとき。オランダの絵だったのかな?ヤン・ステーンの絵、食卓にのっているワイン(水)さしはデルフト焼きかしらね。

▲バニラさん、やっぱり「青いターバン」派ですか(笑)。真珠は首飾りと間違えそうで。バニラさんは何分待ちだったのかな?って「上野発」の記事をもう一度読みました。40分だったのね。武井咲さんの衣装、私も見ましたよ。とっても細いんですね。あ、バニラさんもこれくらい細くて、武井さんよりきれい?
ストラスブール美術館展、よかったみたいね。横須賀は遠くて行き損ねたから、
思い切って秋の静岡?って考え中。
by TaekoLovesParis (2012-09-14 01:07) 

Inatimy

食べ散らかしの猿の静物画・・・? なんて聞くと好奇心そそられて気になっちゃって探してみました。 
アムステルダム国立博物館にあるAdriaen van Utrecht アドリアーン・ファン・ユトレヒト(1599-1652) の"Stilleven" 『静物画』1644 かしらと思ったけれど、あまり食べ散らかしてる雰囲気じゃないし・・・。
もしかして、ルーヴル美術館にある フランドル画家 Frans Snyders フランス・スナイデルス(1579-1657)の "Deux singes pillant une corbeille de fruits" 『果物籠を荒らす二匹の猿』のことかしら?
by Inatimy (2012-09-14 19:10) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、しらべてくださってありがとう。
2枚目の、これです!このまま猿が逃げたら、続きを人間が食べるの?って
思ったのと、猿が異常に尻尾が長いのがちょっと気味悪いな、で、印象に
残ってるんです。
Adriaen van Utrecht のでは、猿は下の方にちょんといて、主役じゃないですものね。
by TaekoLovesParis (2012-09-16 01:08) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲hatsuさん、「フランダースの犬」のアントワープ聖堂の絵はとっても大きいんだけど、これは下絵なので、そんなに大きくありません。こういう小さい絵を描いてから大きくするんだな、って思いました。
ゴンドラ、hatsuさん、おすすめですよ~。両岸の景色を見ながら、ゆらりゆらり揺られるのは格別ですもの。

▲チョコロさん、上野公園を通り抜けて都美術館へ向かう道、蚊がいそうな雰囲気
ですね。幸い、あそこで刺されたことがなかったので、気づきませんでした。私は、
浮浪者がいたのが嫌でしたけど。スタバともう一軒、なんとかカフェを入れるというのは、都知事石原さんの鶴の一声だったのかしら。東京都に地代も入ってきて、公園が明るくなるのだから、いいアイディアですよね。
混んで待ったとしても、いい展覧会は、行ってよかったと、思えますね。

▲ルビーさん、名古屋はとばされてばかり、なんですね。東京にも大阪にも
時間的には遠くなくても、新幹線は安くないから、美術館のために行くとなると、
ですよね。
デルフトで生まれたフェルメール、白地に青の陶器は、オランダの特産品で、今でもよく見るけど、デルフトブルーって名前なんですね。
by TaekoLovesParis (2012-09-16 01:26) 

mayu

Taekoさん、こんにちは^^

バタバタしてて久しぶりの訪問になってしまって、ゴメンナサイm(__)m
イタリアから帰って体調などいかがですか?

今年は京都でも『フェルメール展』開催されれて3回行きました♪
やっぱり全国でフェルメールイヤーだったのですね!
by mayu (2012-09-16 09:01) 

Bonheur

おお。行かれたのですね。お疲れ様でした。
私は「大混雑」と聞き、あきらめました。
昨年末の欧州旅行では訪問を考えたものの、「来年日本で見られるからパス」と思たマウリッツハイスでしたが、やはり現地に行ってみたほうが、混雑苦手な自分にはよさそうです。デ・ホーホは私も好きな画家です。
by Bonheur (2012-09-16 17:44) 

yk2

ねーさんの本文じゃなくってバニラさんのコメントに反応してみたりして(^^ゞ。
武井咲ちゃんの『真珠の耳飾りの少女』姿、改めて展覧会公式ページで見て来ました。この彼女よりも「君の方が綺麗だよ」と公衆の面前で自分の妻を褒めそやすダンナさんは、相当な方ですねぇ~(苦笑)。

ところで、実際問題として“首飾り”と“耳飾り”の紛らわしさは勘違い、間違いを引き起こしているみたいで、おとといの土曜日の西洋美術館前では係員が大きな声で「こちらでご覧頂けるフェルメールは『真珠の首飾り』のみです。耳飾りはこちらではございませんので、お間違いのないようご確認下さい!」と何度も繰り返し繰り返し注意を促してました。その係員さんたちに「じゃあ、耳飾りはどこで見られるんですか?」と、マウリッツハイスのチケットを手に質問してる人も(^^;。予めチケット用意してたんなら、そこに書いてある会場の場所くらいは事前にチェックして来ても良さそうなものを・・・(苦笑)。
by yk2 (2012-09-17 10:25) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲mayuさん、お返事遅くてすみません。
仕事などなど、、で忙しいけど、元気です。私は、いつも食べてばっかりだから元気なんだと思うわ。
mayuさん、フェルメールに3回もいらしたとは、かなり、ですね。それも当然と
思える神秘的な魅力が、語りかけるような力が目にありますね。

▲Bonheurさん、大混雑の中で見ると、人を見に行ったようになって、絵の印象がうすくなりますね。気に入った絵とは静かに対話するような位置関係で見たいですよね。Bonheurさんは、きっと、セガンティーニ作品と対話なさっていらしたことでしょう。大きな絵の前に立つと山の空気に包まれているように感じるでしょうね。
私もいつか、です。

▲yk2さん、読みながら状況を想像して笑っちゃいました。首飾りと耳飾り、似ているから混乱を招いていたんですね。しかも同じ上野で開催。
有名な絵だから、ひと目見ようという人が多かったんでしょう。そうやって今まで美術館にあまり来なかった人が足を運んでくれて、絵を好きな人がふえてくれるのはうれしいことですよね。
by TaekoLovesParis (2012-09-20 01:35) 

りゅう

作品数は少なめでしたが質の高い展覧会でしたね。
フェルメール2点で10点分位になってるのかな?ハハハ♪ (*’▽’)
念願の真珠の耳飾りの少女に会えて、
なんだか、ある種の達成感のようなものを感じてしまいました。
ネロとパトラッシュの心境・・・(^_^;)
by りゅう (2012-09-25 21:33) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、コメントがいつも上手。ネロとパトラッシュの心境・・・りゅうさんの達成感の度合いがわかります。

by TaekoLovesParis (2015-08-24 14:37) 

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