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ロダン美術館(フィラデルフィア) [外国の美術館、博物館]

ロダン美術館が、フィラデルフィアにあるとは、知らなかった。

ロダンの作品に魅せられたフィラデルフィアの実業家が作った美術館で、入口には、「考える人」。

入場料は寄付で8ドル。つまり払わなくてもOK。

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入ってすぐの所にあるのが、なんと、これ。

横たわった肢体、死体?

「The Martyr」(殉教者) 痛々しく生々しく、、正視するのが憚られる。
地獄の門の一部として考えられたそう。


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隣は、大広間(ホール)で、室内には、天窓からの柔らかい光がさす。
脇にスツール(椅子)が置いてあるので、すわってゆっくりと彫刻を眺めることができる。


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一番手前にあるのは、「神の手」。単なる手ではなく、神が握りしめているものは私たち人間?

複雑な造形。

わかりやすいのは、左側に見えてる「The Kiss」のコピー。


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ホールの横に、それぞれ小さい部屋があり、入ったら、画家の像。
「バスティアン・ルパージュ」と書いてあった。ルパージュの絵には、ちょっと
馴染みがあるけど、こういう人だったんだと、しげしげと眺めた。
ルパージュはロダンの友人。風景を主に描いていたので戸外での制作が多かった。
だからケープつきのウールの短いコートにブーツという冬の衣装でパレットを
持つ姿でロダンは制作した。

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「Bellona」(ベローナ)は、ローマ時代の戦いの神。
モデルは妻ローズ。古代風の兜をかぶっている。
(ベローナは西洋美術館の松方コレクションにもある)

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ロダンは、若い頃、妻と共にイタリアへ行き、ドナッテッロとミケランジェロの彫刻に衝撃を
受けた。パリに戻り、人間の真実の姿を彫刻で表現しようと、「青銅時代」を制作した。
これがあまりにリアルだったので、実際の人間の型をとったのではないかと噂されるほどだった。
その疑いをはらすため、ロダンは、人間より大きい「青銅時代」を制作し、人気となった。

「ミネルバ」 大理石 ローマ時代の知恵の神。
大理石の彫刻は、気品があって美しい。


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「永遠の春」 今にも動き出しそうな姿勢。
東京上野の西洋美術館にあるのは、これのブロンズ版。


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外には、代表作「地獄の門」があった。

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<追記>
*今年はロダン没後100周年。
ロダンには、「カミーユ・クローデル」という22才下で若く美しく才能ある弟子がいた。
カミーユはロダンを尊敬し愛し、ロダンもカミーユを愛したが、内縁の妻ローズがいたため、
結婚してもらえず、ついには精神を病み入院。社会復帰はできなかった。
激情の生涯は、イザベル・アジャーニ主演で映画にもなった。


カミーユの才能はすばらしく、初期はロダンに似た力強い動的な作品だが、後には女性的感性の
やさしいものを制作している。今年3月、パリの郊外に「カミーユ・クローデル美術館がオープンした。
ロダンとの三角関係を題材にした作品「分別の年代」は、オルセー美術館でも人目を惹く。
弟のポール・クローデルは詩人で外交官。つねにカミーユの味方で姉を支えた。




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コメント 11

アールグレイ

フィラデルフィアにロダン美術館もあるのですね。
ホールの設計もおしゃれですね。
ゆっくりとくつろぎながら眺められるのもいいです。
差し込む優しい光がまた和みますね^^
by アールグレイ (2017-04-30 12:58) 

ナツパパ

一つ一つの展示とじっくり向き合いたいです。
素敵な美術館ですね。
by ナツパパ (2017-04-30 14:47) 

coco030705

こんにちは。
すばらしい美術館ですね。私はこの中では「ミネルバ」が好きですが、やはりロダンの真骨頂はリズム感と動きのある作品でしょうね。「バスティアン・ルパージュ」は今にも歩き出しそうな感じですね。「The Kiss」にしても「永遠の春」にしても、その瞬間を表現していて美しいです。「地獄門」からは、人々のうめき声が聞こえてきそう‼
美術館の中もゆったりとしていて、いい時間が過ごせそうですね。
最後の「カミーユ・クローデル」の映画は観ました。イザベル・アジャーニがカミーユの激しい感情をよく表現していたと思います。確かカミーユ・クローデル展も観たと思います。よく似た性格の恋人同士だったんでしょうね。


by coco030705 (2017-04-30 15:05) 

hatsu

イザベル・アジャーニ主演の「カミーユ・クローデル」、
ずっと観たいと思いつつ、観ていませんでした。
今度、DVDを探してみようと思います^^
by hatsu (2017-04-30 18:08) 

コザック

こんばんは。
ロダン美術館!すごく興味深いです。行ってみたい!
「永遠の春」は西洋美術館でもいつもいろんな方向から眺めてしまいます。筋肉のよじれが美しいです。こちらのほうが実体に近い大きさで迫力がありそうですね。「地獄の門」も西洋美術館にありますね。これはどこでも外に展示なんですね(^^)
ふいに見つけた美術館としては凄く大きい収穫ですね☆
カミーユ・クローデルの話は映画になってるんですね。知らなかった~。

by コザック (2017-04-30 22:13) 

yk2

『分別の年代』は、去らんとする男と追いすがる女の手が、今まさに離れてしまった瞬間の情景ですね。一人の男を巡る女二人の三角関係って共通項もあるからかな、この作品観てると僕の頭の中では”Never Let Me Go”が流れます。

イザベル・アジャーニの『カミーユ・クローデル』。報われずに壊れていく女。初めから結末が判ってしまっているとはいえ、痛々しくて遣り切れない物語でしたね。正直、見てて辛かったです。ついでに、ロダンとドビュッシーじゃ、カミーユにとっては全く比べ物にならなかったのねぇ・・・って(^^;。
by yk2 (2017-05-01 00:47) 

Inatimy

バスティアン・ルパージュ・・・呆然として脱力感たっぷりの女性が座ってる
「干し草」の画家ですね^^。 こんな人だったんだ。
ベローナで思い出したのは、ジェローム。ジェロームが作ったベローナは、
口開けてて目が光ってて、ある意味、雰囲気がおっかない感じでしたが、
ロダンのは悲しげな表情にも見えますね。
by Inatimy (2017-05-02 18:18) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲アールグレイさん、私もロダン美術館はパリだけかと思っていました。彫刻だから、許可をもらえば、原型から鋳造できるんですね。美術館は、こじんまりと小規模なので、ゆったりくつろげました。それにしてもアメリカ人のお金持ちはスケールが違います。ロダンが好きだからと、美術館を作ってしまうんですもの。

▲ナツパパさん、彫刻は見る角度によって違って見えるので、写真では十分に伝わらないのが残念です。立体ならではの迫力、白い大理石の美しさも実際に見たほうがわかります。

▲cocoさん、さすが、ミネルヴァ=知恵の神をお選びになりますね。大理石のほうがブロンズより品が良くて綺麗ですね。
<ロダンの真骨頂はリズム感と動きのある作品>→ その通りだと思うわ。私もじっと「考える人」よりも、「永遠の春」の方が好きです。
<人々のうめき声が聞こえてきそう‼>→ うまい表現ね。ぴったりよ。
イザベル・アジャーニが演じるカミーユ、熱演でしたね。ロダン役は、ジェラールド・パルデュだったわね。二人とも激しい性格で追求するタイプだったんでしょうね。


by TaekoLovesParis (2017-05-05 23:23) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲hatsuさん、映画の「カミーユクローデル」は、セザール賞の作品賞と主演女優賞をとって話題になりました。ロダン役のジェラールド・パルデューもノミネートされていました。フランス映画としては珍しくアカデミー賞でイザベル・アジャーニが主演女優賞にノミネートと、質の高い作品なので、ぜひ、ご覧くださいね。

▲コザックさん、ロダン美術館は世界に2つ、本家フランスのパリにあるロダンが住んでいた屋敷とここなんですって。「永遠の春」はブロンズの方が肉感があって、大理石のほうが素肌感があります。西洋美術館にもある「私は美しい」という男の人が女の人をリフティングしている小さい作品も私は好きです。これもそうだけど、いろいろな作品は、地獄の門にモチーフで入ってるんですね。「門」だから、外に展示のほうが存在感があるんでしょう。

▲yk2さん、コメントを読んで、久しぶりにステーシー・ケントのNever Let Me Goを聴きました。カズオ・イシグロの同名の小説のことをyk2さんが記事に書いてらっしゃいましたね。
『分別の年代』、すごい構成ですよね。しかもすがる女が自分、ロダンへの強烈なメッセージですね。
映画は確かに辛かった。あんなに尽くして、、カミーユは一時期、ドビュッシーと親交があったんでしたね。ドビュッシーは絵が好きだったそうだけど、カミーユは音楽が好きだったのかしら。仕事好きだからこそ、師ロダンに執着したんでしょうね。
「ワルツ」は、ロダンの作品とは違う女性らしい優美さがある彫刻ですね。

▲Inatimyさん、バスティアン・ルパージュ、そう、「干し草」の画家。ね、作品は思い出すでしょ。わたしはオルセーで「ルパージュ展」を見たので、余計なじみがあります。
<ジェロームが作ったベローナ>→ ジェロームは彫刻家でもあったと思い出しました。Inatimyさんが、オルセーでご覧になった「ジェローム展」の記事にヴェローナがのってるかしらと見に行ったけど、撮影禁止だったのね。Wikiによると、実物大のブロンズで宝石が使われてるんですってね。きっと、いつか見る機会があるでしょう。
by TaekoLovesParis (2017-05-06 08:45) 

匁

完勝です。
不振の糸井をいつもの打順3番から1番に変更。この気分転換策が
1回の裏に的中、久方ぶりの左中間安打。
これが契機になって、この回4点。
鳥谷のフエイスガードは痛々しかったです。連続試合出場が
かかているので、代打で登場。鼻骨骨折。普通では入院中でしょう。
鉄人です。明日からの健闘を祈りたいです。

こちらに、空席がありましたので、この欄にコメントしました。
勝利カンパイにできなくてごめんなさい・・・。(礼)
by (2017-05-25 21:18) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコにもロダンが沢山あります....

http://art.famsf.org/auguste-rodin
by サンフランシスコ人 (2017-11-29 09:06) 

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