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十日町「大地の芸術祭」 [日本の美術館]

7月29日から9月17日まで開催の最終日近くだったが、
新潟県十日町で行われていた「大地の芸術祭」を見に行った。

過疎化と高齢化で人口減少がすすむ豪雪地域の越後妻有(十日町と津南町)で、
町おこしの観光事業として、3年に一度開催される国際芸術祭。

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「能舞台」ならぬ「農舞台」
段々畑に作業をする人たちに模した人形が配置されている。色鮮やかで人目をひく。
大きな木々と空が背景となって、美しく、楽しい。


私が一番見たかったのは、十日町現代美術館「キナーレ」で、ここには、森美術館で見た
展覧会のレアンドロ・エルリッヒの巨大な作品「空の池」がある。
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水深30㎝程度だが、エルリッヒ独特の鏡の効果で、回廊に囲まれた2階建ての建物が
全部映りこんで見える。

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プールを取り囲む建物に展示されている作品も面白かった。
「方丈記」というタイトルで、4畳半ほどの場所に、各アーティストが思い思いの部屋を
作っている。どれも子供が楽しく遊べるようになっている。

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面白かったものは、十日町で、火炎式土器が発見されたことから、その形を模したものが展示
され、周りに十日町の木、そこにその木で作った炭が挿された作品群。


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朴(ほお)の木と朴の木で作った炭素材の火炎式土器。良くできているなーと思った。


調味料、それとも薬と思えるずらっと並んだ瓶。茶系の色のグラデーションが美しい。
なんと、中身は土。十日町採取の土。各々に採取場所と成分が記してあった。


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現代美術館「キナーレ」を見物した後は、廃屋、廃校の活用を見に行った。
どれも離れた場所にあるので、車で行くのだが、場所を探さないと。
スポット巡りをする一日乗車バスを使えば有効に廻れたと後からわかったのだが。


廃屋をこんなふうに飾って、中に、東京の美大生の作品を展示していた。

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こちらも同じく廃屋に芸術作品を展示している例。
床の間もこんなモダンに早変わり。
床の間の横の壁面は、こんな大胆な箱を組み合わせたオブジェで飾られていた。


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かまどは、織部焼で、有名な人に作ってもらったそうだ。織部なのに、このようにしつらえると、
現代っぽい。このかまどで炊いたごはんのカレーが美味しいと広報誌に書いてあったので、
食べようと勇んで行ったのだが、私たちの前で売り切れ。ザンネン。

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芸術作品は、点在している。

先ほどの廃屋は500円の入場料が必要だったが、こういう野外作品は無料。
蜂の養蜂箱。遠くから見た時、お墓かと思っちゃって。。

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学校の廃屋は、宿泊施設に転用されているものもあった。修学旅行で利用されているそうだ。
そんな学校の庭にある芸術作品。真ん中だけがちゃんと見え、周囲は曇りガラス。
面白い写真が撮れるので、並んでスマホ撮影をしていた。


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廃校の利用で、やはり、レアンドロ・エルリッヒの作品を展示している所があり、そこは
入場料500円だった。

走ってるうちに、道を横断する巨大なムカデ?
これは信濃川の上流の西大滝ダムから取った水を送るために地下水路があるのだが、ここは、
沢地のため地下を通れないので、国道353の下をポリエチレンの管でくぐる。このように模様
をつけることで、水の動きを視覚化しているそうだ。


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日本一の棚田といわれる十日町市松代の「星峠の棚田」
峠なので、棚田を見下す。稲刈りの時期を前に黄色に色づいた田んぼと緑のコントラスト。
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蜂蜜を買うために寄った店のおじさんにすすめられたのが、「清津峡渓谷トンネル」
ちょっと離れた場所だったので、行くのに時間がかかり、5時閉まる直前に着いた。
750mのトンネルの途中3か所に、見晴らし台が作られている。
最初のは普通。2番目のは赤くライトアップされている。
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3番目は水盤鏡。水の向こうに行くと景観が反転して水に映り、すばらしい写真が撮れる。
レアンドロ・エルリッヒの「空の池」と同じ鏡の利用。

まだまだ、いろいろ作品はあったが、なかなか見きれなかった。事前にまわるコースを
決めておいても、途中、面白いものを見つけ、立ち寄ったりすると、あっという間に
時間がたってしまう。楽しかった。






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コメント 8

coco030705

こんにちは。
野外で広い場所があってこその展示ですね。現代美術もこういう開放感のあるところでみると、とても魅力的にみえます。
美味しいカレーがたべられなくて、残念でしたね。(>_<) でも、きっと、違うもので、美味しいお食事を召し上がったのでは、と思いました。(^-^)

by coco030705 (2018-09-27 17:22) 

angie17

外で作品を見られるのは、気分も良いでしょうね~。
ステキな取り組みですね!


by angie17 (2018-09-27 17:45) 

TaekoLovesParis

cocoさん、新潟のこの地方は冬は雪に閉ざされてしまうそうですが、この時期は山を背景に森の緑や畑の緑、黄色が美しく、豊かな土地という印象でした。空気も澄んでいる屋外にポツンと展示されているアート作品は自然に溶け込んで見えました。ゲームのように、次、次、展示場所を探して車で走るそんな旅でした。人にも車にもほとんど会わないのに、展示作品の駐車場には車が何台もとまりにぎわっていて、ほっとしました。
食べるものは他でも「売り切れ」ばかり。お天気に恵まれ、最終日ということで、予想外に人が来たからなんですって。

by TaekoLovesParis (2018-09-28 09:04) 

TaekoLovesParis

angieさん、なかなか面白かったです。
廃校がたくさんあって過疎化の現実を目の当たりにしました。
廃校利用がどこも同じようなものになってしまうので、もっと魅力的にするには、どうしたらいいのかしら、って考えてしまいました。
by TaekoLovesParis (2018-09-28 09:08) 

プリスキラ

スケールの大きな芸術祭ですね。なかなか都会ではできないことです。道中の景色も心をいやす風景だったことと思います。車でないととても移動できないですね。
by プリスキラ (2018-09-30 21:15) 

TaekoLovesParis

プリスキラさん、予想以上に大きな催しでした。市を挙げての「村おこし」なんだとよくわかりました。雨模様の日で、道を間違え、かなりの山道に迷い込んだりもしましたが、それなりに楽しかったです。ナビがあってよかった。
by TaekoLovesParis (2018-10-01 11:26) 

初夏(はつか)

「能舞台」ならぬ「農舞台」、おもしろいですね。
濃い緑がとてもすてき^^
「星峠の棚田」、美しいですね。
実際に見たら、圧倒されるんだろうなぁ^^
by 初夏(はつか) (2018-10-04 05:53) 

TaekoLovesParis

初夏さん、「農舞台」、楽しい企画ですよね。この写真で入らないもっと左の方には赤い吹き流しのようなものがありました。大地に原色が映えるのは、緑という舞台があるからでしょうね。
「星峠の棚田」、高い所から見下ろすので、地形が良く分かって、よく作ったなぁと感心します。昨日、テレビで、ここの稲刈りをやっていました。もうそういう季節、新米ですものね。
by TaekoLovesParis (2018-10-09 23:05) 

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