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ベルギー王立美術館展 [展覧会(西洋画)]

 ベルギー王立美術館展を西洋美術館へ見に行った。
    

ちらしに掲載されている話題作は「イカロスの墜落」(左の写真) ピーター・ブリューゲル(父)
の作品。

鳥の羽をつけて幽閉された島から脱出したイカロスは飛行に夢中になり、太陽に近づきすぎた
ため、蝋で腕につけた羽の蝋が溶け、海中に落ちてしまう。右のすみに小さく足だけ海面から
出ている。絵の中心にいるのは、墜落にも気付かず、農作業をしている赤い服の人。
物語の中心人物を、絵の右端に小さく描くことで、この絵を風景画にしているのが特徴。

右は、ピーター・ブリューゲル(子)の「婚礼の踊り」

この展覧会は、400年のベルギー絵画の歴史をたどる展覧会である。
前半は16世紀後半からのブリューゲル、ルーベンス、ヴァン・ダイクらのフランドル絵画。
後半がクノップス、アンソール(骸骨の絵で有名)の
ベルギー象徴派とルネ・マグリッド、
ポール・デルボーのシューレアリズム。

1646年、ハプスブルグ家のレオポルド大公は、ブリュッセルの宮殿に居を構え、
絵画の蒐集をはじめる。絵画コレクションは当時の流行であった。
これは全部彼のお気に入りイタリア絵画。額に画家の名前を記してあるので、どれが
ティツィアーノ、ラファエロ、ベリーニ、、とわかる。
中央の山高帽、絵を吟味しているのが、レオポルド大公である。



ルーベンスの「聖ベネディクトの、、」の絵と、ドラクロワが模写したものの2つが
並べて展示してあったのが興味深かった。ほとんど同じ。
ドラクロワはルーベンスを尊敬していたので、模倣して学んだそう。
ルーベンスは早くから有名だったので、立派な屋敷に住み、弟子もたくさんいた。
アントワープの街は至る所、「ルーベンス」の名を冠したものが多い。

後半で気になったのは、クノップフの作品2つ。
↓の写真の少女の肖像画、足がない構図。少女の表情がみょうに大人びている。
「シューマンを聴きながら」という絵は、顔を片手で覆っているため表情が全く見えない
女の人。瞑想にふけるというよりは苦悩に近い。
自分が受けた印象で描くという象徴派だからだろう。


 
オープニングパーティで出ていたのが、当然のことながらベルギービール。
ヒューガルテンの禁断の果実の絵のラベル。
数日前に、シェリーさんのサイトで写真を見、コメントの所にルーベンス風の絵と
書いてあった
ぶんだったので、「お~!」でした。

http://blog.so-net.ne.jp/enotheque1973/2006-09-05


 


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コメント 24

いっぷく

ピーター・ブリューゲは大好きです。
日本で見られていいですね。オープニングパーティーに参加ですか、おいしいビールを飲んで絵画鑑賞、すばらしい。
フランドル派の作品もいろいろ見れるのでしょうね。
by いっぷく (2006-09-18 19:09) 

TaekoLovesParis

いっぷくさん、さっそくにコメント&niceをありがとうございます。
ピーター・ブリューゲルは活き活きしてかわいいので、私も好きです。
ウィーンの美術史美術館にたくさん作品がありますね。ベルギーの王立美術館
で今回来ていないけれど、有名なのは「ベツレヘムの戸籍調べ」クリスマスのできごとだから、雪の中の景色。
フランドル派は、ルーベンスの肖像画が3点、宗教画1点、ファン・ダイクの
肖像画が2点、宗教画1点、ヨルダーンス3点、花の絵で有名なヤン・ブリューゲルもありました。
by TaekoLovesParis (2006-09-18 22:42) 

雛鳥

私もこの展覧会に行こうと思い、既にチケット入手済みです。
Taekoさんの記事で、かなり参考になりました!楽しみです。
フランドル絵画も楽しみですが、私的にはマグリットが好きなので、
どんな作品が見られるか、期待しています。
クノップフの少女の絵は、不思議な印象ですね。
by 雛鳥 (2006-09-19 00:13) 

yk2

オープニング・パーティでヒューガルデンの「禁断の果実」はタイムリーでしたね。ビール売り場であのラベル見ると僕もシェリーさんのblog思い出しちゃいます。

フランドル派は・・・いまいちよく分からないワタクシです。
が、風俗画のパロディーっぽい(?)「猿の宴」だけはこの目で実際観てみたかったりして・・・(笑)
by yk2 (2006-09-19 01:28) 

りゅう

「イカロスの海ポチャ」、風景画なんですよね~(*^m^*) ムフッ
ルーベンスもポール・デルヴォーも好きなんです!!
400年の歴史は重みがありますね~Σ(ノ°▽°)ノハウッ!
オープニングパーティーいいな~
※ベルギービールが目当てではありませんよ♪ ジロー (;¬ ¬)
by りゅう (2006-09-19 01:59) 

匁

Taekoさん おはようございます。
オープニングパーティーですか?!
そう言うパーティーに招待されたことはありませんが
ベルギービールにたどり着くまでに大使の話などが長々と在るんじゃないですか?ゆっくり絵の方を鑑賞できればいいんですが?
by (2006-09-19 07:15) 

coco030705

おはようございます。
私はクノップフの少女の絵が好きです。確かに少女にしては大人びた顔ですね。
ヒューガルデンのお話がでていましたが、先日行ったレストランで、ヒューガルデンホワイトの生を飲むことができました。これが本当においしかったです。香りがいいというのか・・・。瓶ビールは飲んだことがあったんですが、まったく味がちがいますね。
by coco030705 (2006-09-19 09:23) 

berry

<左のすみに小さく足だけ海面から出ている。>探しましたよ。たぶんコレだなぁ〜と思ってます。(笑)
なかなかじっくり書き込んである記事だったので、読み応えがありました。美術が得意じゃなくても読んでいて楽しかったです。
オープニングパーティーは美術館のどこであるのですか?
やはり大使とか出席されるのでしょうか?
すばらしい1日でしたね。うらやましい〜♪
by berry (2006-09-19 18:23) 

シェリー

ベルギー絵画、400年もの歴史があるのですね。
ルーベンスときくと、「フランダースの犬」を思い出してしまう私ですが・・・
とても偉大な方なのですね。
Taekoさんビールを飲まれた感想はいかがでしたか?
ルーベンスの原画では、イブがリンゴをかじろうとしている場面を描いたものだそうですね。「禁断の果実」のラベルは、アダムとイブの手にビールグラスが描かれてますが、このビールが始めてアメリカへ輸出されたときは、ラベルがワイセツという理由で許可されなかったそうです・・・。
by シェリー (2006-09-19 19:18) 

TaekoLovesParis

nice&コメントをありがとうございます。
▲雛鳥さんへ
マグリットの絵は、楽しい発想ですよね。
数年前にパリのチュルリー公園の美術館で大規模はマグリットの展覧会
があったのですが、行列で1時間以上並びました。でも堪能できました。
今回はマグリット作品3点ありました。雛鳥さん、ポール・デルボーもきっと
お好きだと思うけど。。

▲yk2さんへ
シェリーさんのヒューガルテンの説明のコメントは、yk2さんが引きだしたような
もの(笑)。おかげさまで素性を知ってから飲むことができました。
「猿の宴」、おもしろい所に目をつけていらっしゃる!一見、猿の惑星ふうですが、よく見ると、人間の顔や手足が猿に置き換えられているだけなんですよね。ワインも飲んでいるし(笑)

▲りゅうさんへ
「イカロスの海ポチャ」、なんて上手なネーミング!うまい(拍手)
美術館が改装する時、絵を貸し出すでしょう。だからベルギー王立も?と
思ったら、そうではなくて、なんと本家には22000点あるのだそう。
100点余貸し出しても、どうってないわけです。
5年前、王立美術館に行ったときに買った「ベルギー王立美術館20の名画・日本語版」という小冊子を見てみたら、今回来てるのはありませんでした。
そりゃそうですよね。目玉作品は貸し出さないですよね。
by TaekoLovesParis (2006-09-19 22:56) 

TaekoLovesParis

つづき
▲kitaさんへ
最近はスピーチが短くなりました。スピーチは展覧会場で、パーティは別部屋。
仕事帰りの時間だと、遅刻だからゆっくり見れます。パーティのカナッペや
ケーキはなくなっていることが多いですが、飲み物は残っています。

▲Cocoさんへ
生もあるんですか。ビンだって十分おいしいから、さぞ、おいしいことでしょう。
香り、、そういえば、生ビールには香りがありますね。
来年4月7日から6月24日にこの展覧会を国際美術館でするそうです。
東京の西洋美術館と大阪の国際美術館は同じ国立美術館システムなん
ですよね。
by TaekoLovesParis (2006-09-19 23:14) 

TaekoLovesParis

つづきの2
▲berryさんへ
ごめんなさい、右のすみでした。。なおしておきます。
実物の前で見ても、見落としてしまいそうな膝から下だけの足。
解説を読んで、もう一度見たけど、ドラマティックな動きが見れない足。
だから、りゅうさんが↑のコメントで「海ポチャ」と表現なさっていたのが
ぴったり。ポチャンなんです(笑)
私は解説を読んで、「へぇ~」と思うことが多いのですが、私の絵画見物
の師は全く読まない人でした。人が書いた解説より自分が感じる何かを
大切にしたいのだそうです。1点、1点立ち止まらず自分の好きなものの
前でだけ立ち止まるという鑑賞法でした。

▲シェリーさんへ
そう、フランダースの犬です。でもアントワープではネロ少年もパトラッシュも
全く有名じゃなかったんですって。。日本人が大勢たづねるので、ようやく
2,3年前にこれは観光資源になると気付いて、像を建てたらしいです。
ルーベンスは、もちろんすごく有名で、ルーベンスの住んでいた家は町の
中心部にあって豪邸です。

ヒューガルテンは、泡が細かくて苦味が少なくなめらか。泡がシャンパンの
泡に似ていました。普通のビールより値段が高くても買いますね。
シェリーさんのこのコメント読んでから、もう一度、ラベルの絵をみたけれど、
うん、これはピューリタンには不許可かも。
by TaekoLovesParis (2006-09-19 23:46) 

ベルギー王立美術館展、私も是非見たいと
記事を読み進めつつ・・・・・・
最後の<ベルギービール>に感心が(笑)
おいしいですよね♪
本場に行っていろいろ飲んでみたいです!
by (2006-09-21 16:00) 

TaekoLovesParis

TAROさん、まだ暑いから、ビール飲みたいですよね!
ベルギー行ったとき、ワインリストならぬビールリストが出てきて、ずらーっと
書いてあるけど、全くわからない。「どれがおすすめですか?」ときくと、
どの店でもお料理にあわせて選んでくれました。その頃、お酒に関心がなかったから、全くブランド名覚えてないんですよ。今だったらもう少し意欲的なん
だけど。。。nice&コメントありがとうございました。
by TaekoLovesParis (2006-09-21 20:45) 

maruwo

ボストン~の方にコメントを書こうと思いましたがコチラのが新しい記事なのでコチラへ。
「ベルギー王立美術館」、豪華でイイですね☆オープニングパーティとかもステキです☆☆taekoさんのとこに来る高尚な趣味に触れる機会があるようで優雅な気持ちに☆☆☆
10月末には一度東京へ行こうかなと思ってたり。去年は激混みのゴッホ展で懲りて東京ではもう美術展はいかないぞとココロに決めてましたが揺らぎそう。笑。
by maruwo (2006-09-22 21:07) 

TaekoLovesParis

Taddyさん、めっちゃ久しぶり。
絵の解説を読んだ後に書いているブログだから、くわしいのは期間限定(苦笑)
ちゃんと専門の勉強をなさったTaddyさんとは、レベルが違いますって。
ベルギーの象徴派はどこかアンバランスな居心地の悪さがあって、自分が
元気なときは神秘的でいいなぁと思うけど、あまり元気でないと絵に負けそう
で部屋に飾れませんね。この少女にじっと見つめられたら怖い。。
by TaekoLovesParis (2006-09-23 00:50) 

TaekoLovesParis

maruwoさん、「照柿」読んだからあとで感想書くね。
←って自分の言いたいこと先に書いちゃった(笑)
私は知ってる絵がふえてくると、うれしいの。maruwoさんもそう?
この展覧会、冬に長崎、来春大阪と巡回。名古屋の方は東京か大阪で
ご覧下さい、っていう扱い?
maruwoさん、秋に東京。 私は夏に暑くてやめたトヨタ博物館と白亜館ランチ
って思ってる。
by TaekoLovesParis (2006-09-23 00:58) 

再び、こんばんはです。
ビールリストですか!
選んでくれるんですか?
それは、いつか必ず行かなくちゃ〜
by (2006-09-24 01:44) 

TaekoLovesParis

TAROさん、そうなんですよ。「黒、茶、薄い茶色」と色でわけて、その下に銘柄がいくつも並んでいて、、あとfine(細かい)とか、、なんとかでわけている店も
ありました。私に運ばれてきたぶんは、泡の触感がクリーミーで印象的でした。
輸入ビールがもっと安ければいいのにね。
by TaekoLovesParis (2006-09-24 10:06) 

りんこう

こんばんは。
僕も先日訪れましたが、ベルギービール用のグラスが売られていたんで、
お!と思いましたねえ。ベルギービールを飲みたくなってしまったのですよ。
ベルギー王立美術館は3年前に訪れましたが、巨大な美術館でした。
荷物をロッカーに預けたと思うんですが、
帰る際、キーが見つからず焦った記憶が想い出されます。
そんな記憶はあるんですが、絵については記憶が薄れてしまっていて…。
マグリット、アンソールの絵は覚えていましたが。
by りんこう (2006-09-27 20:41) 

TaekoLovesParis

りんこうさん、そう、ビールグラス売っていましたね。私はりんこうさんの
ブログで学習したので、ベルギービール→シメイビールなのですが、
これ、有名じゃないみたいで、誰にきいても知らないという答(笑)
王立美術館、私も行ったけど、広いですよね。クラナッハの「アダムとイブ」
が印象に残っています。ルーベンスの「アダムとイブ」もビールの絵に
なるほどだからあったんでしょうけど、覚えがなくて。。。
マグリット、アンソールは特徴があるから、どこにいても「お~」と
わかりますね。
by TaekoLovesParis (2006-09-28 01:30) 

COZY

はじめまして。google検索でこちらの記事を発見しました。
人物画の細かいところまで見ていらっしゃるのですね。
僕はマグリットが目当てで行ったのですが、その他は風景画を中心に楽しみました。

友人にベルギービール「duvel」が美味しいと聞いたばかりなので、ショップで「duvel」のグラスだけ購入してきました。「duvel」はハンズあたりで購入しようと思っています。

記事を書いたので、トラックバックさせていただきます。
by COZY (2006-10-02 00:19) 

TaekoLovesParis

COZYさん、はじめまして。
マグリッドの「光の帝国」は彼の代表作のひとつだから、お目当てでお出かけになるの、よくわかります。
マグリッド展がパリであったときは、連日大盛況で、私も1時間以上並んで
はいりましたが、展示作品が多く、十分に堪能できました。
COZYさんの記事、内容豊富なので、夜、また、ゆっくり読ませていただきますね。
by TaekoLovesParis (2006-10-02 07:11) 

りゅう

「イカロス」見落とすところでした・・・
脚だけでイカロスといわれても・・・ププッ ( ̄m ̄*)
ブリューゲル[父]の《鳥罠~》が激しく見たくなりました。
こっそりと持ってきてくれたらいいのに・・・ イヤイヤ  へ(* ̄ー ̄)>
デルヴォー、マグリットは見応えありました♪
素晴らしい展覧会だけど、
スパイスが足りないというかなんというか・・・ウーム (; _ _ )/
そう言いつつ、もう一度、観に行く予定です。( ̄ー ̄)v
by りゅう (2006-11-11 12:45) 

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