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シャヴァンヌ展 [展覧会(西洋画)]

 1月の初め、東急bunkamuraミュージアムで「シャヴァンヌ展」を見た。
大好きな画家、ピュヴィス・ド・シャヴァンヌPuvis de Chavannes(1824-1898)の
日本初の展覧会なので、ずっと心待ちにしていた。
シャヴァンヌは壁画家として名声が高いので、オルセーで見たシャヴァンヌ・ブース
のように絵を並べる構成とは違い、ゆったりとした空間で壁画を見せる展覧会だった。
予想と違ったので、少し戸惑ったが、「水辺のアルカディア」というタイトルがついて
いるように、今回の展覧会は、この絵が中心だった。

 muse.jpg

「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」(1884~89)
シャヴァンヌは壁画を制作した後、その縮小作品を作る主義だった。これもリヨン美術館の
壁画の縮小版である。中央にいるのが絵画のミューズで、子供から花を受け取っている。
古代ギリシアの理想郷アルカディアをイメージした世界で、水辺があり、月桂樹、松、樫の
聖なる森の中央にギリシア的建築、空には竪琴を持ったミューズが舞う。
白が目に染みるパステル調の色彩の美しい絵。

シャヴァンヌは、1824年、フランスのリヨンの裕福な家に生まれた。16歳で母を、19歳で
父を亡くす。22歳でイタリア旅行をし、画家になる決心をする。アリ・シェフェールに入門を
願い出るが、叶わず、弟アンリに6か月間学ぶ。   
アリ・シェフェールの「聖アウグスティヌスと聖モニカ」(下、右の絵)は横浜美術館「フランス絵画の19世紀」展で見て、
シャヴァンヌ風の静謐さが印象に残った絵。実際、シャヴァンヌはこの絵に影響を受けた絵を描いている。

24歳、再び、イタリアへ旅したシャヴァンヌは、ピエロ・デラ・フランチェスカの壁画に感銘
を受けた。その頃の絵が(下左)「アレゴリー」 署名と共にローマ1848年と記されている。

Allegory.jpg FAli.jpg

「アレゴリー」で、左側の人物は、手に建築図面を持ち貴族風の衣服。
建築家ブルネレスキと推測されている、中央は聖フランチェスコ、右はダンテ。
このように異なる時代に生きた人物を1枚の絵に一緒に描くことは、19世紀に
流行ったそうだ。


29歳の時、兄が郊外に建てた家の食堂に壁画装飾を描く。1年がかりで9点の
大きな絵を描いた。
37歳、サロンに出品した絵が歴史画として2席になり、国家が買い上げてくれた。
この頃から、絵が売れるようになった。
「休息」1863年

Le Repos.jpg

この絵の2年前に描かれた同じタイトル「休息」を島根県立美術館が買ったことから、
今回、この展覧会が開催されることになったそうだ。
島根のものと比較して見ると、どのように絵が完成されていったのかを見ることが
できて面白い。ここに登場する人物のデッサン画も、展示され、興味深かった。

大原美術館所蔵の「幻想」1866年。
この絵は、横浜美術館の「フランス絵画の19世紀」展にも出品されていた。
かなり大きな絵で、青と白が美しいから記憶に残る。個人宅のサロンを飾る4点の
絵のうちのひとつで、シャヴァンヌ自身も気に入っていた作品だそう。

Fantasy2.jpg

このブルーがピンクに置き換わったサイズの小さい「幻想」(47.5×31.5㎝)1886年
も展示されていた。この見比べも面白い。

46歳の時、普仏戦争が勃発し、シャヴァンヌも従軍する。
包囲されたパリの街で、「気球」と「伝書鳩」(1870年)を制作した。
祖国フランスへの音信を気球にのせ、鳩に託しているのである。パリを救いたい
気持ちがこめられている絵。敵である鷹(プロイセン)から逃れ、フランスの他の町
と通信をするために伝書鳩が使われていた。「気球」の女性は、手に剣を持つ。
この絵の完成版がオルセー美術館にある。鳩の絵の背景は雪景色のパリである。

kikyuu.jpghato.jpg

戦争終了後、パリの守護聖人ジュヌヴィエーヌのために建てられた聖堂(現パンテオン)
の壁画をシャヴァンヌは依頼され、これの成功で、レジオン・ド・ヌール勲章を叙勲された。

「聖ジュヌヴィエーヌの幼少期」(1875年)
中央にいる少女がジュヌヴィエーヌ。司祭ゲルマヌスが巡礼中に少女に出会い、少女が
特別な才能を持っていることに気が付く場面。周囲の者たちもみな頭を下げ、祈りをささげて
いる。

StJunu.jpg


「海辺の乙女たち」(1879年) オルセー美術館所蔵

Jeunne Filles au bord de la mer.jpg

3人3様、何かを考えているかのようなポーズだが優雅さがある。ギリシア彫刻に
通じる静けさがあり、中央の女性はヴィーナスで、濡れた髪を絞っている。
謎を秘めた魅惑的な絵で、私はとても好きだ。


展覧会場の後半は、リヨン美術館の壁画を写真とパネルで再現していた。
ぐるりとシャヴァンヌの壁画に囲まれる幸せ、リヨンに行きたいなと思いながら、会場を出た。

*シャヴァンヌに関しては、だいぶ以前になりますが、yk2さんが、ピカソとの比較、
ドガとの比較で、絵が多い詳しい記事を書いてらっしゃいます。


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coco030705

こんにちは。
美しい絵画ですね。私は「幻想」が好きです。もともとペガサスが大好きなので、それに白とブルーの色彩がほんとうにきれいですね。そして構図もとてもいいと思います。構図といえば「海辺の乙女たち」も素敵ですね。やはりギリシャ神話的な題材なのでしょうか。ミロのビーナスを現実の乙女にしたら中央の女性のようになるのかしらなんて思いました。とてもいい展覧会のレビュー、楽しませていただきました。ありがとうございます。
by coco030705 (2014-02-07 15:26) 

nicolas

海辺の乙女たち」、確かに何だか惹かれる絵です。
人物に対して画面が狭く、ちょっとせせこましい気がしましたが、
逆に、切り取られている空間の3倍以上周りを想像できそうです。

by nicolas (2014-02-07 17:59) 

TaekoLovesParis

cocoさん、こんばんは。
東京は、今日一日中雪が静かにふり続き、もう12センチ積もりました。
ソチ・オリンピックの開会式と角野選手のスノーボード競技を見て、合間にマドレーヌを焼いてました。
シャヴァンヌの彫刻が絵になったような人物たちが、アルカディア(理想郷)に配置されている綺麗な絵、きっと、cocoさんも気に入ってくださると思ってました。どの絵も白がきれいですね。ペガサスの翼が青く透き通るようで、空からおりてきた感じがでていました。
「海辺の乙女たち」の中央の女性、cocoさんの推測通りよ。ミロのヴィーナスの衣装のような女性は古代の原型をもとにしてるんですって。だけど、シャヴァンヌは自分の絵から特定の神話をなくして、現代(19世紀)に通じるようにと考えたから、こういう特別な世界ができているんだと思うわ。
by TaekoLovesParis (2014-02-08 19:00) 

TaekoLovesParis

nicolasさん、「海辺の乙女たち」の3人の女性の配置、ちょっとずれていますよね。右の女性がぷつんと切り取られているからかもしれませんね。水辺という背景に配置されたかのような女性たち、動かない静けさ、人物どうしの関連の見えなさが、謎でいいのかもしれませんね。にこちゃんのおっしゃるように、これだけの背景からも続きとなる広い海を想像させるのは、すごいですね。
by TaekoLovesParis (2014-02-08 19:16) 

りゅう

へぇ~、シャヴァンヌって、明るい色合いの絵も描くのですね。
どんより曇り空みたいな色彩の絵の印象が強かったので新鮮に感じました。
ちょうど梅津先生の「非日常と日常の音楽」を読み終えたところです。1992年と古いものなので現在では変化した部分もありますが、とても興味深い内容で面白かったですよ。Taekoさんにも気に入っていただけるのではないかと思います♪
「耳の中の地図」ですが、P76~78、P82~83が印象的でした。(^_^)
by りゅう (2014-02-09 01:35) 

匁

東京は積雪27cmですか!
こちらは8cmで雪かき完了、助かっています。
日曜美術館で
シャヴァンヌ
観ました。ここで、教えてもらわなかったら
passしたかも?
「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」
これは大きな絵なんですね。びっくりです。
人物を平面的に、遠近法使わず奥行きを出さずに、平和で安心感を演出している。
そんな説明が有りました。
by (2014-02-09 10:52) 

TaekoLovesParis

匁さん、今回の雪は海岸沿いの方がたくさんふったようで、埼玉、群馬は少なめでしたね。雪かき、ご苦労さまでした。私は庭の雪を被った草花が心配だったのですが、雪をどけたら、ちゃんと活き活きしていたので安心しました。
日曜美術館、私も見ました。匁さんも見てくださってうれしいです。
もともとは壁画、その縮小サイズなので、やはり大きいですね。
人物を平面的にすることによって、永遠性も出しているとも言ってましたね。
平和で安心な状態が永遠に続くこと、普仏戦争直後のシャヴァンヌの時代でなくても一番大切なことですね。都知事選の結果がどうなることか。。
by TaekoLovesParis (2014-02-09 18:39) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、今回チラシに使われている絵が「諸芸術とミューズたちの集う聖なる森」で、これは、りゅうさんの知ってるシャヴァンヌと違う春を感じるパステルカラーです。アルカディア(理想郷)にふさわしい季節は春なんでしょうね。

「非日常と日常の音楽」は、年代が古いからどうしようかなと思ってたとこでした。「神が書いた曲」の「コンサートを読む」が最近のコンサートについてで、私が行ったものやTVで見たもの、話にきいたものがあったりと、身近でとっても面白かったから、古いのどうかな?と考えてたんです。りゅうさんのコメント読んで、早速注文しました。オペラについて、もあるし、評論も音楽の本質は20年たっても変わらないわけだから。何より読みやすい文章がいいです。時々知らない哲学者の名前が出たりするけど。

「耳の中の地図」、情報氾濫の時代、情報と音楽との関連性に、的を得た発言と、頷きながら読みました。そしたら直後に、サムラコウジ某の問題が発覚してタイムリーでした。情報ばかりを鵜のみにしてしまうからニセモノを見抜けないんですよね。作曲家なのに人前でピアノで自作の曲を披露しないなんて変ですよね。<聴き手の文化度が低い>から、マスメディアの情報操作に操られてしまう。

読みながら、ちょっと違うかもと思った箇所もありました。<知名度の低い演奏家がリサイタルを開き、メディアにのらず、批評も掲載されないと、「ただ会を開いただけという自嘲めいたものになることが多い> 先生は演奏家でないからわからないのかもしれないけど、本人には、良い演奏ができたという満足感、時には昂揚感があるはず。あと固定客が何人かいるはずだから、その人たちが、ほめてくれたり、アドヴァイスくれたりする。お客様を大切にするのは、音楽だけでなく、絵でもアーティストの仕事のひとつだと思う。歌舞伎がそうでしょ。「タニマチ」がいる。
先生も<ヨーロッパの音楽状況の質を作り出している要素のひとつに「コンサートゴアー」の存在がある>と書いてらっしゃるけど、同じことだと思うわ。耳の肥えたいいお客様ね。演奏スタイルが好きだとおっしゃってくださるんでもいいし。

それから、メディアへの掲載や評論は、アーティストの方から働きかけないとムリだし、成果が出ないときは、力のある音楽マネージメント会社に頼まないと。
今回はマジメにたくさん書きました。「白鳥の歌」の文字を見たとたん、レダが浮かんだけど、そこは割愛(笑)

by TaekoLovesParis (2014-02-09 22:05) 

りゅう

おこんばんは、雪かきで筋肉痛になったりゅうでございます♪
気合の入った熱いお返事ありがとうございます!
梅津先生の本、読みやすいですよね、うんうんと思ったり、えっそうなの?って思ったり、内容も表現もとても興味深く面白いです♪
Taekoさんが違うかもって思われた箇所ですが、専門誌ということであえてこのような表現をされたのかもしれません。音楽教室の発表会、コンクール、リサイタル、当然、本番でしか得られないものがあり、その積み重ねが経験となる。ファンについても、最初のコアなファンは保護者、そして友人、さらに不特定多数と、演奏会の公開規模の拡大とともにファンも多様化し、自らの直接的影響が及ばなくなるとメディアの存在が重要な意味合いをもつことになる。(そういう意味では、ラ・フォル・ジュルネのエリアコンサートのような収容人数や料金の制約の無いオープンステージは知名度アップ、ファン開拓の絶好の機会だと思います。)梅津先生も子供の頃からピアノやヴァイオリンを習っていたそうなので、そのあたりのことをわかった上で、あえて「自嘲めいた」という表現を用いたのかもしれないと解釈してみました。ヾ( ̄ー ̄)ゞ
私も「耳のなかの地図」を読んだばかりでしたので、サムラコウジ某の問題は、おって思いました。東日本大震災後、この方の名前を聞くようになりましたが、曲も顔写真も知らなかったので、なんか、へぇ~って感じでした。この本が出版されたのは1995年。当時から情報の氾濫について問題点が指摘されていたにもかかわらず、改善されるどころかエスカレートしていった音楽業界の現状を垣間見た気がします。
「非日常と日常の音楽」は日本とヨーロッパとの音楽の日常性と非日常性についての違いや、イギリスのツアー・オペラについてがとても興味深かったです♪
おっと、シャヴァンヌ展の記事なのに・・・(^_^;)
そうそう、ベルト・モリゾにシャヴァンヌとの縁談があったそうです。しかし、シャヴァンヌには愛人がおり、モリゾもそのことを知っていたので拒否したそうです。それ以前もその後もモリゾとシャヴァンヌは友人だったらしいですけどね。
もし二人が結婚していたら、それぞれの画風はどのように影響し合い、変化していったのでしょうね、ちょっと興味深いです♪(^_^)
by りゅう (2014-02-10 01:59) 

moz

シャヴァンヌ展覧会が開催されているのを知って気になっていました。今一、ピンと来なくて見に行くのをためらっていましたが、TaekoLovesParisさんに見せて頂いて、おおよそを知ることができました。
シャヴァンヌ、ほんとうにギリシア彫刻のような人々の群像? 素敵ですね。見ていて静寂な叡智の国・・・そんな感じがします。これは見に行かないといけないかも。^^
ご紹介ありがとうございました。
by moz (2014-02-10 05:28) 

gillman

あ、これまだ見ていないんですよ。行かなくっちゃ。

by gillman (2014-02-10 13:55) 

Inatimy

シャヴァンヌの絵は実際に見たことがある絵は少ないので、この展覧会見たかったです。
『気球』と『伝書鳩』はオルセー美術館が工事中だった頃、
パリ市庁舎で展覧会"Paris au Temps des Impressionnistes" をしてて、
ラッキーなことに無料で見られました。 
完成版じゃないほうのは背景に緑や青の色があって雰囲気が微妙異なりますね。
お兄さんの家の食堂に描いた壁画装飾はどんなのだったのか気になります。
そういえば、モーリス・ドニも投資家さんの家のダイニングルームの壁に絵を描いたし、
その頃のフランスの流行だったのかしら。
by Inatimy (2014-02-10 20:40) 

TaekoLovesParis

mozさん、シャヴァンヌの絵はじっと見ていると、私にはクラシックの音楽が聞こえてきます。チェロよりヴァイオリン、フルートも合いそうです。そんな意味で、クラシック好きのmozさんにはおすすめです。
今まで見ていたのと違うスタイルの絵、壁画なので、ぐるりと囲まれると異次元、ヨーロッパの世界観を感じます。
by TaekoLovesParis (2014-02-11 09:41) 

TaekoLovesParis

gillmanさん、「いつもあなたは祈っているのですか」の貧しき漁夫は、今回は、
西洋美術館のモネ展に出ているので、出品されていませんが、明治時代、黒田清輝より後にパリに留学した小林萬吾がオルセーで模写した「貧しき漁夫」が展示されています。もちろん、gillmanさんにとって、とっても興味深い展覧会だと思います。
by TaekoLovesParis (2014-02-11 10:08) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、ここでリンクをつけたオルセーの3つの連作の名前がわからなくて、Inatimyさんに教えて頂きましたね。
小さくて見えにくいと思うけど、「気球」の背景は、白いテント、砂嚢、大砲がある草地だから戦場近くの野営地ですね。実際シャヴァンヌは、従軍し、パリの城壁でパリを見守る任務についていたから、こういう地形がよくわかるって図録に書いてありました。この絵では、空の色も少し明るいけど、完成されたオルセー版は、色数少なく、暗いから、もっと重々しいけど、厳粛でメッセージ性が強いですね。どのように変化させていったのか、って見比べるのは面白いですよね。

お兄さんの家の壁画は、聖書の物語からの絵です。「放蕩息子の帰還」(ラファエロっぽいかな?)「ルツとボアズ」(ルーヴルのプッサンの四季シリーズ「夏」に似てる)「奇跡の漁り」(漁の作業中のペテロがキリストに弟子になるよう呼びかけられてる)、楽しい雰囲気なのは「ぶどう酒造り」
ドニの壁画で私が見たものは、どれも色が明るかったけど、シャヴァンヌのは、ルネッサンス的色彩、イタリアの壁画に近いように感じました。食堂を壁画で飾るのは、お金持ちの間での当時の流行だったんでしょうね。
by TaekoLovesParis (2014-02-11 11:59) 

yk2

未だ買った図録を読めてません(^^;。
展覧会場で「アンリ・シェフェール・・・?。アンリ??」と、不思議に思ってましたが、兄弟だったんですね。アリに入門したかったのに・・・ってことでしたか。

『聖アウグスティヌスと聖モニカ』は、横浜美術館で観たときはロマン派の画家の作品が並ぶコーナーに展示されていたと記憶してます。たしかに、天を見上げる聖モニカの顔立ちに、だいぶ双方のテーマは違いますが、ドラクロワの『キオス島の虐殺』の老婆を思い出したりもしました。けれども、『聖アウグスティヌス・・・』は輪郭線もきっちり有って、かつ彩色も筆のタッチが残されない新古典主義的な画風。ロマン派なのに新古典主義にも遠からず・・・ってアリのスタンスが、シャヴァンヌの趣味や目指すものと近かったのかな。シャヴァンヌは、シャセリオーも敬愛してましたものね。

この展覧会、もう1回、ゆっくり時間をかけてじっくり観たいです。

追記)
『気球』と『鳩』は、僕も以前に載せてるよ>いなっぴー
http://ilsale-diary.blog.so-net.ne.jp/2009-01-08

by yk2 (2014-02-11 12:15) 

TaekoLovesParis

yk2さん、記事本文にリンクつけさせていただきました。
そうなの、アリとアンリって、名前似すぎ。表記の間違い?って思いましたが、
図録読んでわかりました。

横浜美術館の「19世紀の絵画展」、大きな絵がずらっと並んだ素晴らしい展覧会でしたね。聖モニカとキオス島の、、ま、ロマン主義つながりで思い出したのでしょうけど。。。永遠性を感じさせる静けさ漂う聖モニカの表情とロマン派そのものの動的な老婆のあきらめ表情、対照的だと思いますが。
たしかに丁寧にきちっと描かれたアリ・シェフェールのこの絵は、新古典主義に近いですね。
シャセリオ―はアングルの弟子だったのに、ドラクロワに走った人でしょ。ルーヴルにあるいくつもの絵には、アングル的な美人が描かれてますね。シャヴァンヌはドラクロワに弟子入りしたものの、2週間でドラクロワが病気のため、アトリエが閉じられちゃう。図録によると、シャセリオ―はドラクロワの後をついで時代を代表する壁画家で、その作品を見てシャヴァンヌは壁画家になったそう。でもパリコミューンでそれらの壁画は全部燃えてしまったんですって。見たかった。
3月9日までで、渋谷だから、私ももう一回行く予定です。

by TaekoLovesParis (2014-02-11 16:37) 

Inatimy

スミマセン、Taekoさんのコメント欄でyk2さん宛お返事も兼ねて申し訳ないです。
覚えてますよ~、yk2さんの壮大な検証記事♪ 
そこで見たシャヴァンヌの『気球』と『鳩』が記憶に残ってて、数年後にパリ市庁舎の展覧会で出会った時には、あの絵だ!ってすぐにピンときました。 で、yk2さんの記事の写真では含まれてなかったこの絵の額縁が気になっていて。 下部分に文字が書かれてたんですよ。 でもフランス語でよく分からず。

『気球』には"LA VILLE DE PARIS INVESTIE CONFIE A L'AIR SON APPEL A LA FRANCE" 
『鳩』"ECHAPPE A LA SERRE ENNEMIE LE MESSAGE ATTENDU EXALTE LE CŒUR DE LA FIERE CITE"

Taekoさん、これって、なんて意味ですか?
パリが包囲されてて、フランスに何か託すとかなんとか・・・
密集した敵から逃れて、メッセージがシテのなんとか・・・高揚・・・?
・・・と辞書引いても私には今一つで。
by Inatimy (2014-02-11 17:48) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、冬季オリンピック、なかなかメダルのとれない日本だけど、今、やってるスノボーは、いい線いきそう。昔の冬季オリンピックは北欧三国やスイスが強かったけど、種目が変わってきてるから、強い国も変化してる。スノボーではオランダの選手を見かけませんが、スケートは強いですね!今日の建国記念日(休日)ずっと、TVを見てるの。

銘文の意味、図録に小さく、正式な題名は、気球「包囲されたパリの街は祖国フランスへの音信を空に託す」、伝書鳩「敵である鷹から逃れ、待ち焦がれた伝言が誇り高い街の心を称揚する」と書かれてました。
la serre ennemie=敵の爪、つまり敵であるプロイセンの象徴が鷹で、実際にプロイセンは伝書鳩を殺すために鷹を放っていたんですって。fiere cite=誇り高い都市=パリ、称揚って普段聞かない言葉ね。
by TaekoLovesParis (2014-02-11 22:47) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、この展覧会に「女の頭部、ベルト・モリゾの肖像か」というデッサンがありました。モリゾにしては、きついかな、とも思えるけど、はっきりした目鼻立ちは研究者が推定してるんだから、そうでしょう。シャヴァンヌとの縁談ですか。シャヴァンヌは、カンタキュゼーヌ公爵夫人とお付き合いをしていて、「気球」「鳩」を始め、たくさんの絵のモデルは彼女で、最後73歳で結婚するんですよ。それで、2人共、翌年亡くなるんです。モリゾより17歳年上のシャヴァンヌだから、モリゾには、教えるように話してたのかしら。
by TaekoLovesParis (2014-02-11 23:11) 

Inatimy

あ、日本、建国記念日でお休みだったんですね。 すっかり忘れてました。
冬季オリンピック、オランダが強いのはやっぱりスピードスケートですねぇ。
山がない国だからオランダはスノボーに出場してないと思ってたという、すっごく失礼な私・・・。 
ボブスレーも出場してるようだから応援しようっと。

yk2さんとTaekoさんの詳しい解説、どうもありがとうございます。 
絵の背景を知るって、どんどん奥深くにはまっていきますね。 
城壁もパリ市内に名残がいくつかあったっけなぁと、さっき本で探していたんですよ。 
ティエールの城壁かなって。 鳥についても今一つ難しく。 鷹(タカ)と鷲(ワシ)。 紋章によくあるのって、あれ鷲ですよね。 双頭の鷲ってよく聞くし。 似てて私には区別できない・・・。
パリ包囲の頃、シャヴァンヌは参加して、モネは英国へなんて考えてると、当時のフランスにいた画家の状況って厳しいものでしたよね。 
アリ・シェフェールもどこかで聞いたと思ってたら、ルーヴル美術館で見て気に入った一枚が。
しかもオランダ出身の画家だって話を書いてました ^^;
by Inatimy (2014-02-12 00:31) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、絵の背景は面白いですよね。パリには、いくつか城壁跡がありますね。図録には「気球」の向こうに見える丘が「ヴァレリアンの丘」との説明がついてました。
鷹と鷲→プロイセンの象徴は鷲ですね。まちがえてすみません。「伝書鳩」の絵で上にいるのは鷲。「プロイセンは伝書鳩の邪魔をし殺すためにザクセンの鷹を用いた」と図録に説明があります。だから「敵である鷹から逃れ、、、」、鷲じゃないんですね。serreは猛禽類の爪なので、鷲、鷹、両方が含まれるわね。

アリ・シェフェールの絵、「亡霊がダンテとウェルギリウスの上に現れる」、Inatimyさんのルーヴル記事でもう一度、見ました。幻想的でちょっと不思議な絵で引き込まれますね。
by TaekoLovesParis (2014-02-13 00:01) 

今造ROWINGTEAM

おはようございます♪
ブログへコメントしてくださってありがとうございました。
読みやすいと言っていただけて光栄に思います^^♥

シャヴァンヌの優しい色使いが好きです。
海辺の乙女たちがお気に入り。

ねね
by 今造ROWINGTEAM (2014-02-15 10:02) 

TaekoLovesParis

今造ROWINGTEAMのねねさん、私は記事を書くとき、読みやすい文章で、
って思ってるので、他のかたのも文章が気になるんです。ねねさんのは、
読みやすさ+ライブ感覚(実際に話してる感じ)があって、好感が持てます。
これからもがんばってくださいね。
by TaekoLovesParis (2014-02-16 23:09) 

カエル

本文読み終え、さらに追加してInatimyさんとTaekoさんのやり取り見ていて楽しくなる。なんだか知った気になりました。笑
by カエル (2014-02-17 14:33) 

TaekoLovesParis

カエルちゃん、私も以前、hatsuさんとカエルちゃんのやり取りを読んでいて、仲間に加わっているような気がしてたのよ。面白いわね、ブログって。
by TaekoLovesParis (2014-02-19 01:30) 

moz

そうですね、クラシックがあいそうですね。
モーツァルトのハープとフルートのコンチェルトとか似合いそうです。
壁画もなかなか見る機会ないですよね。ありがとうございます。 ^^
by moz (2014-02-21 05:49) 

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