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ザッキン美術館 [☆彡Paris 美術館]

ザッキン美術館は、彫刻家ザッキン(1890~1967)のアトリエを美術館に
していて、モンパルナスの住宅街にひっそりとある。
私の知っているザッキン彫刻は、ブリヂストン美術館の「三美神」、庭園美術館の
「住まい」のような無機質の厚みのない平べったい人間の像。


ここでも、平べったい2人の人間の彫刻が出迎えてくれた。
「ゴッホ兄弟へのモニュメント」1963年。
弟テオに寄り添うヴィンセント。寂しさが漂う。
オランダのZundert広場にある彫刻「ゴッホ兄弟」の縮小版。

Zakkin1.jpg

ザッキンはロシア生まれ。経済的に豊かなユダヤ系の家庭に育つ。
彫刻家を目指してパリに来て、ピカソ、フジタ、モディリアーニたちと知り合う。
キュビズムの彫刻家として脚光を浴びたが、アフリカの原始彫刻にも興味を持ち、
温かみのあるブランクーシふうの木彫もあった。

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アトリエは小さいが、緑に覆われた庭があり、そこに彫刻が配置されている。
緑が生い茂り、彫刻が見えにくいが、左側、両手を高く上げているポーズは、
代表作「破壊された都市」1947年。戦争の悲惨さを訴え、2度と戦争をおこさ
ないようにと祈りをこめて造られた。もう少し大きなものが、オランダ・ロッテルダム
の広場に設置されている。
右側は顔が見えないが、「オルフェ」1935年
ギリシア神話の吟遊詩人オルフェ。竪琴を持っているが、胸が引き裂かれている。
キュビズムとギリシア彫刻の融合をめざしたそうだ。

zakkin8.jpg

左側は、「人間の森」1957年。人間と植物の融合


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「水を運ぶ女性」1927年
この女性のつるりとした体は、ブリヂストン美術館にある胴体だけの作品
「ポモナ」に繋がって行く気がする。

zakkin4.jpg

展示室内には、「水を運ぶ女性」の試作だろうか。木彫が見える。
奥は、「ポモナ」に至る手前のような黒檀の作品。
ザッキンは、石彫、木彫の作品も多く、木を愛していたということが伝わってくる。

zakkin5.jpg

こんなふうに人間より大きいやさしさにあふれた木彫作品がいくつかあった。

zakkin7.jpg

アトリエでの展示を見て歩いていると、ザッキンを身近に感じることができた。
若い頃の写真があったが、なかなかのイケ面。[黒ハート]


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コメント 19

assimane

最近は美術館へ行くこともなく、芸術にふれあうことがめっきり無くなりました。
のんびり作品を観るのもいいな~。
by assimane (2014-05-25 22:51) 

TaekoLovesParis

assimaneさん、ITのお仕事は、目や神経が疲れるから、たまに絵を見たりもいいかもしれませんね。のんびりとリフレッシュ、だいじですものね。
by TaekoLovesParis (2014-05-26 00:17) 

hatsu

なかなかのイケ面なんですね^^
木彫って優しいですね。
by hatsu (2014-05-26 09:58) 

カエル

あ。なんだか興味のある彫刻ですね。
キュビズムとギリシア彫刻の融合の作品は、結構好きなタイプかもしれません。
ハートがつくくらいなら、相当かと検索してしまいました。
かっこいいですね~。
by カエル (2014-05-26 15:47) 

TaekoLovesParis

hatsuさん、そう、ザッキンの写真を貼りたかったけど、自重しました(笑)
木彫はいいですよね。彫った人の心が伝わるって、仏像の話にあったけど、
そんな心通う温かみを感じます。風雨に弱いから屋外に置くのは無理ですね。
by TaekoLovesParis (2014-05-27 00:27) 

TaekoLovesParis

kaeruちゃん、彫刻は私にとっては、写真に撮るのが難しい。どの角度から撮るのが一番リアルに伝わるか考えてるうちに面倒になってきて、ここでいいわ、って
妥協しちゃう。
野外彫刻の「オルフェ」や「破壊された都市」は、探究心がいっぱい、表現することが好きなのkaeruちゃんの好みかもね。
by TaekoLovesParis (2014-05-27 00:32) 

yk2

木彫がアフリカのプリミティヴ・アート風だからか?、僕がここでモディリアニの絵を思い出すのはブランクーシの名前が出ているせいでしょうかね?。

今回の記事を読んで初めて、庭園美術館の庭に在るザッキンが『住まい』ってタイトルなんだって知りました。なんだか僕が思ってたイメージと違うなぁ。ごちゃごちゃした解けないパズルみたいなんだもん(^^;。

ザッキンはゴッホが好きだったのかな?。
テオとともに寄り添う・・・ってことは、彼ら兄弟のストーリーを或る程度知っていないと作品のテーマにはしませんものね。山梨県立美術館の庭に、絵具箱をたすき掛けしてイーゼルを背負ったザッキン作のゴッホ像が在るけど、あれはtaekoさんの云う「平べったい」に該当するのかしらん?(笑)。

by yk2 (2014-05-27 04:22) 

匁

「ザッキン美術館はモンパルナスの住宅街にひっそりとある」
今日は朝から坂道を散歩した気分です。パリの景色が綺麗です。
「水を運ぶ女性」は興味あります。頭に水瓶を乗せているんですかね?。

by (2014-05-27 07:50) 

lie@office

Taekoさん。
たいへんご無沙汰しています。
でもでも、お家のMacから何度もコメントトライをしてたのですが、どうしてもアップ出来ず、あきらめてまた時が過ぎ・・・
そんなこんなで、書き込みに成功してバンザイ!
仕事場のMacからはいけそうです。是非またコメント書かせていただきます。
アミのblogはこちらhttp://ppatelier.exblog.jp/ もう12才になっていて、今年13才になります。
ザッキンのアトリエは、大学の寮のあるエリアですか?
パリは、なつかしいです。
ただいま、仕事中ですのでこれくらいで、また・・・
by lie@office (2014-05-27 16:40) 

TaekoLovesParis

Bonjour (Bonsoir) lie,
とっても久しぶりですね!いらしてくださってありがとう。
ペリアン繋がりでお会いしたのが2006年。私はiMacのG4を使ってて、ノートがWinXP。その後3台、買い替えて、その度に保存してあるものがなくなり、lieさんのplaceplusにもつながらなくなってしまったの。だから、またお話したり、amiちゃんの写真を見たりできるようになってうれしいわ。

アミちゃんブログ、見てきました。腸炎や足の不調で大変だったのね。回復した
ようす、動画で、「はやい、はやい」って、すぐわかりました。12才を過ぎても、
まだまだ可愛いですよ。

ザッキンの家は、リュクサンブール公園の近くのrue de Assas。名前忘れたけど、隣に大学がありました。アート系の大学だったような。
パリは景観のみならず、居心地のいい街で、私も大好きです。

by TaekoLovesParis (2014-05-28 00:44) 

lie

おうちからBonsoir!
そうそう、2006年です。早いものですね。
私は昨年2013の3月3日から、小さなネットshopも始めました。
30代の頃からはまった古伊万里の、お手頃のもののshop。
お店の名前は、「伊万里丸」です。
またみてやってください。
http:imarimaru.stores.jp
by lie (2014-05-28 03:16) 

lie

何度もおじゃまします。
http://imarimaru.stores.jpです。
見てもらいたくて、しつこくメモしました。
by lie (2014-05-28 03:18) 

Inatimy

ザッキン美術館は近くまで行ってたのに中には入ったことがなくて、
私が知ってるザッキンの作品はリュクサンブール公園の中に立つ"Le poéte" 『詩人』。
なんだか骨ホネっぽいんですよね。
記事を拝見してゴッホの生まれたズンデルトやロッテルダムに作品があるというのも
初めて知りました。 どういうつながりなんだろう。フランスで活動してたから、
画家の奥さまとともに、ちょくちょくベルギーやオランダに遊びにきてたのかしら。
調べてみると、1923年にはオランダで初めてのミニ展覧会をユトレヒトで開いたようだし。
興味そそられますね^^。
by Inatimy (2014-05-28 07:43) 

TaekoLovesParis

yk2さん、モディリアーニはブランクーシの影響で、彫刻家を志したけど、体が弱いから断念でしたものね。モディリアーニには、横たわる裸婦の絵がいくつかあるけど、カリアテッドの彫刻が浮かびますね。私は「水を運ぶ女性」のアーモンド型の顔がモディリアーニ!って思いました。こういう優しいタイプと、固い幾何学的な造形の「住まい」や「人間の森」、タイプの違うものを造っていますね。制作年代で違うのか調べたかったけど、時間がないのでやめました。

山梨県美の「歩くゴッホ像」、検索で見ました。私が見たオーベール・シュル・オワーズの公園にある銅像と同じなんですね。これは、「平べったい」群に入れたいと思います。

by TaekoLovesParis (2014-05-29 01:04) 

moz

彫刻はあまり見たことないのですが、こうして見せて頂くとおもしろいものですね。
キュビズムをもととして・・・、確かに拝見するときゅびずむだなって分かるし、それに色々なもの、ギリシア彫刻やアフリカっぽいものも・・・。
解説していただくと興味がわきます。
そう言えば、ブリヂストンでも絵画ばかり見ていて彫刻は素通りしていました。
ザッキンのものもあるんですね。今度はちゃんと見てみます。 ^^;
by moz (2014-05-29 06:46) 

TaekoLovesParis

Bonsoir lie,
「伊万里丸」、見ました。商品がよく見えるおしゃれな陳列ですね。
伊万里は、日本情緒で、あきないし、安心感があっていいですねー。好きです。
染錦の大皿をお刺身に、伊万里ふうのそばちょこを和食の小鉢のように使っています。「伊万里丸」サイトには、いろんな絵柄のが揃ってて、楽しいですね。
時々、のぞいてみます。

by TaekoLovesParis (2014-05-30 01:48) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、Zundertって何て読むのかな、と思ってたんですよ。ズンデルトね。ゴッホ生誕の地だから、ゴッホ兄弟の像があるんですね。
私の読んだものでは、1923年よりずっと後、1948年にアムステルダム近代美術館に出展、ロッテルダムのボイスマン美術館に出展って、書いてありました。出展って、美術館から頼まれたのか、自分からお願いしたのか、どっちなんでしょうね。
by TaekoLovesParis (2014-05-30 01:59) 

TaekoLovesParis

匁さん、コメント、喜んで読んだんですよ。それなのにお返事遅くてすみません。
なんで喜んだかって、<頭に水瓶を乗せているんですかね>→ 天秤を頭に載せている匁さんのアイコンが浮かびました!残念ながら、ここでは肩にのせているんです。彫刻は見る角度によっては、形をつかみにくいですね。写真を撮っても凹凸がはっきりしなくて立体感に乏しくなるので、苦手意識があります。
パリの街の雰囲気を感じていただけてうれしいです。
by TaekoLovesParis (2014-05-31 10:08) 

TaekoLovesParis

mozさん、彫刻も絵と同じく時代によって変わってきますね。ロココの頃の彫刻は宮廷調で優雅さに満ちてるし。
ブリヂストンでの彫刻素通り、わかりますよー。見たい展覧会の絵に気持ちが向いてるから、入口から本来の目的でない彫刻をじっくり眺めないのが普通だと思います。ヘンリー・ムーアの彫刻展のときは、見終わったあと、廊下の彫刻が気になってじっくり見ました。ムーアとどう違うのかな、っていう視点ですね。
mozさんも、絵だけでなく、だんだん、彫刻にも目が向いてくると思いますよ。
by TaekoLovesParis (2014-05-31 10:17) 

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