SSブログ

日本国宝展 [展覧会(日本の絵)]

ちらし.jpg

「日本国宝展」、展示されているものが全部、国宝という素晴らしい展覧会。

前々記事「東山御物の美」展で、展示期間が過ぎていたため、見れなかった
「紅白芙蓉図」をぜひ見たいと思い、並ぶのを覚悟で出かけた。
国宝展は、社会科の教科書にのっていたようなものがずらっと展示されるので、
人気が高く、混雑必至。

会場に入っても行列をして順番待ちで見るのが、法隆寺の「玉虫厨子」。
高さ2m30㎝。宮殿のような上部は黒の漆喰の木造で、飛鳥時代の建築様式
そのもの。扉には仏教画が描かれている。かなり細かいので、そばに寄らないと
よく見えない。装飾に使われているという玉虫の羽は現在ではなくなっている。

厨子.jpg

もう一か所の行列は、福岡の志賀島から出土した「金印」の展示ケース。
チラシの下の方に、金印の写真があるが、大きさは指輪ほど。
かなり小さい。ここに「漢委奴国王」の字を彫ってあるのだから、すごい。


土偶は、東京国立博物館の常設で見て、ユーモラスな形に和まされているが、
それは重要文化財。国宝の土偶は5体しかない。
「縄文のヴィーナス」というニックネームの土偶。紀元前2000年から3000年のもの。
お腹が大きいので安産を願ったものらしい。
「合掌土偶」紀元前1000年から2000年のもの。両膝を立てて座り、胸の前で合掌。
祈りのポーズ。

土偶2.jpg土偶.jpg

社会科の教科書に写真がのっていたものが、すぐ近くで見れる!
興福寺の多聞天、法隆寺の広目天、などの仏像、「阿弥陀聖衆来迎図」などの
仏画もあった。
「普賢菩薩騎象像」 12世紀のもので大倉財団所蔵。
象の足が犬のようなのは、象を見た人がいなかった時代だからだろう。
菩薩の衣装の袖の部分は、戴金細工。

普賢菩薩騎象.jpg

チラシにある木彫の童子は、快慶作「善財童子立像」
合掌して歩きながら振り返る様子。ここで見えていない足元の動きがリアルですばらしい。

ユネスコの世界記憶遺産に「慶長遣欧使節関係資料」が登録されたことを記念して
だろうか、ブースがあったのは、
「支倉常長像」 仙台市博物館。支倉の慶長使節派遣は1613年。
キリスト教が禁教になったため、長い間、折りたたんで保存されていた絵。
ボロボロになった支倉の所持品の十字架も展示されていた。
伊達正宗.jpg



さらに、「信貴山縁起絵巻」や「土佐日記」、「今昔物語」のホンモノが展示されていた。

雪舟の「秋冬山水図」も、中国に学んだ画風。
画面中央に伸びる垂直な線が景色を分ける輪郭線になっている。凍てつく寒さが伝わる。

雪舟.jpg

そして見たかった「紅白芙蓉図」 李迪筆
右隻の白から左隻の薄紅、深紅へと変化していくようすが見てとれる。
朝から昼へと変化して行く様子なのだ、とのこと。
これは紅の方。写真ではこちらの方が綺麗だが、実際に見ると、白の方が品よく美しい。
丁寧に描かれた花びら一枚、一枚に陰影があり、下の葉の緑がうっすら透けて見える
ものもあった。ぴたっと画布におさめられた緊張感。
花びらの織りなす美しさと葉の濃い緑との対比に、しばらく見入っていた。
fuyou.jpg


「飛青磁花生」 中国元時代14世紀
鉄絵の具で斑文を描いた上に青磁の釉をかけたもの。斑文は蝶が舞うように
見える。どこから見ても蝶が舞うように斑文がはいっている。青磁が美しい。

飛青磁.jpg

志野茶碗 16~7世紀。三井記念美術館蔵
志野焼は日本で初めて下絵をつけた。#は垣根をイメージした模様。

志野.jpg

どれも素晴らしいものばかり。ゆっくり見ていたかったけれど、閉館時間が迫って
いたので、自分の興味のあるものに絞って見た。見損ねているものは、きっと、
たくさんあると思う。

 


nice!(49)  コメント(16)  トラックバック(0) 
共通テーマ:アート

nice! 49

コメント 16

チョコローズ

>法隆寺の「玉虫厨子」。歴史の教科書を思い出します。
行きたいと思いつつ、なかなか時間が出来ずにもう会期末ですね。
正倉院は修学旅行以来ご縁がないです。
Taekoさんのブログで行った気分に浸ります。
by チョコローズ (2014-12-02 23:59) 

匁

先週24日『国宝展』を見ようと行きました。しかし、休日の午後とあって90分待ち。と聞いて諦めました。トーハク常設展と
都美術館の団体展のうち全陶展、太陽展、新美術展 
を見てその後、改装なった金箔眩しい上野東照宮
を見学して帰りました。

by (2014-12-03 15:16) 

pistacci

先週は1時間待ちだったので、予定変更でゆっくりとホドラー展がみられました。
ほんとはゆっくりみられる展覧会が好きなのですが、そうもいきませんね。
今日から閉館時間20時までと聞き、駆け込みで見に行ってきました。金印は福岡に帰っちゃってました。
「普賢菩薩騎象像」がとてもよかったです。所蔵先の大倉集古館にもあらためていきたいと思ったら、4年間も閉館なのだそうです。
by pistacci (2014-12-04 00:00) 

moz

12月7日までなんですね。今度の日曜まで。
チケット持っているんですが、行けてません・・・^^;
土曜日まで出張だし、日曜行けるかな? でも、ブログを見せて頂いたら、「紅白芙蓉図」がとても見たくなりました。
一日花の芙蓉、諸行無常の感じです。これは酔芙蓉かもしれませんね。
そうですか、とっても混んでいるんですね。^^;
by moz (2014-12-04 05:23) 

coco030705

こんばんは。
今日、実は国宝展に行ってきました。友達にチケットをもらったのでこれは行かなきゃってことで。昨日Taekoさんのブログをチェックして、ここにあるものは全部観ようと思って。朝6時過ぎの新幹線で行って開館前に着き、少し並んだだけですぐ入れました。↑の展示物はだいたいみられたのですが、雪舟の「秋冬山水図」と金印(1階でレプリカをみました)は11月中の展示だったため残念ながらみられませんでした。「紅白芙蓉図」はすばらしかったです。あとでマグネットと絵葉書を買いました。土偶や志野茶碗もよかったです。奈良からは元興寺極楽坊五重小塔が初お目見えでした。私はお寺で何度も観ていますが、外に出るのは初めてだそうです。完璧な美しい建造物だと改めて思いました。
この後、ウフィツィ美術館展と三菱一号館のミレー展を観て帰阪しました。どちらもとてもいい展覧会でした。今日は日帰りだったので、もっといろいろ見たかったのが観れなくて残念でした。また来年東京へ行きます。
by coco030705 (2014-12-05 00:06) 

TaekoLovesParis

え~っ、cocoさん、すごすぎー。5時起きでしょ。日帰りで国宝展にウフィツィ美術館展、場所を移動して三菱一号館のミレー展。足が疲れたでしょう?でも、見る甲斐があるものばかりですね。
あまり並ばずに入れたのが何よりです。これとこれを見る!と目標を決めてると、だらだらしないで見れますね。cocoさんが参考にしてくださるなら、もう少し、気合を入れて書けばよかったわ(笑)。
「金印」、12日間だけの展示だったんですね。レプリカを置いてくださってる配慮が、せめてもの、、でしたね。雪舟のそばにあった狩野秀頼の「観楓図」屏風は、
ちょうど今の季節。紅葉が目に染みるほど鮮やかでしたね。木の幹のたらしこみがかなり大げさでくすっと笑ってしまいました。
「紅白芙蓉図」、芙蓉ってこんな綺麗だった?と思えるほど。時間の変化で描いていくとはモネの先駆者ね。
土偶は私が行ったときは2体だけ、cocoさんは5体全部ご覧になれましたね。

五重小塔は精巧なミニチュアで、すばらしいですね。私は玉虫厨子より、こちらに興味がありました。今まで門外不出だったんですね。
次は、ウフィッツィ展の記事を書くつもりです。

by TaekoLovesParis (2014-12-05 01:36) 

TaekoLovesParis

pistaさんは、「国宝展」、リベンジで、ようやくご覧になったのね。1時間待ち、って
ひいちゃいますね。私の時は小雨なのに40分待ちと言われました。
金印はお帰りになってましたか(笑)、でも、pistaさんは、博多でご覧になったから、いいじゃないですか。
大倉集古館は、こじんまりしていて、見やすく私も好きです。空いてて、4年も閉館とは長いですね。オークラの本館もオリンピックに向けて改修中ですものね。

ホドラーは、大きな壁画以外は爽やかでよかったでしょ。アルプスの空気の澄みかたは別格って思いました。雲のモクモクがいいですよね。アルプスに行きたいけど、かなりトレーニングを積まないとムリかしら。
by TaekoLovesParis (2014-12-05 01:51) 

TaekoLovesParis

mozさん、6日(土)も7日も20時まで開館ですから、いらっしゃれるといいですね。多分、夕方のほうがすいてると思います。国宝展のサイトに混雑状況が時々刻々掲載されてますから参考になさってくださいね。

紅白芙蓉図、気に入ってくださってうれしいです。朝の真っ白から陽が当たるにるれ、薄ピンク、ピンクと変化していくのが面白いですね。ピンクの部分が酔ってるように見えるから「酔芙蓉」という名前とは、なるほど、でした。

by TaekoLovesParis (2014-12-05 02:01) 

TaekoLovesParis

匁さん、90分は1時間半。1時間以上待つのは辛いから私もやめます。見た絵より寒い中並んだことのほうが印象に残ったりするときがありますもの(苦笑)。
トーハクの常設は、質の高いものが多く、楽しいですよね。
私は、友達が「弟が日展の金工に出展してるから見てください」とチケットを送って来たので、日展に行き、匁さんの絵を見たことを思い出していました。
by TaekoLovesParis (2014-12-05 02:22) 

TaekoLovesParis

チョコロさん、「玉虫厨子」は、私も教科書の黒っぽい写真を思い出します。実際見ても、黒の漆なので、暗い感じはありますが、年月を経てきた素晴らしさがありました。学生時代に正倉院で見たのですが、今は、常時、見られないんだそうです。
by TaekoLovesParis (2014-12-05 02:26) 

Inatimy

玉虫厨子って、こんな形だったんですね〜。 教科書に写真なかった覚えが。 
分けも分からず、試験で答え書いてました^^;。玉虫の羽を貼付けるってところが、
スゴい発想です。 大人になってからは虫が苦手な方なので絶対に触れないな・・・って、
国宝に触っちゃダメなんですが。
これらの展示の中で今、一番気になるのは「飛青磁花生」かな。 
つい先日、オランダ北部のレーワルデンの陶磁器博物館プリンセスホフで
飾ってあった青磁の器が約2000万ユーロの価値があるらしいってニュース見たところ^^。
by Inatimy (2014-12-05 21:49) 

hatsu

「紅白芙蓉図」、美しいですね~。
国宝の土偶のお話、テレビで見て行きたいと思っていました。
といいつつ、もう日曜日までですね^^
来年は、落ち着いていろんなものを観に行きたいと思います。
by hatsu (2014-12-05 23:50) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、Inatimyさんの学校の教科書には、玉虫厨子の写真がなかったのね。教科書に写真がたくさんある方がイメージが膨らむけど、今の教科書はどうなのかしら。
青磁の器2000万ユーロって30億円!これは大阪市立東洋陶磁美術館の所蔵品。元は倒産した安宅産業の安宅コレクション。安宅コレクションには、他にも素晴らしい青磁があるそうだから、いつか行ってみたいなと思ってます。
by TaekoLovesParis (2014-12-09 00:53) 

TaekoLovesParis

hatsuさん、<国宝の土偶のお話、テレビで見て行きたいと思っていました。>
→ TVで紹介してたんですか。実際に見ると、あまり大きくないので、よく壊さずに発掘できたな、と思います。hatsuさんが見る名品や名画は、きっとお仕事に生かされるでしょうね。
by TaekoLovesParis (2014-12-09 00:57) 

りゅう

「金印」観たかったなぁ。。。(>_<)
ドタバタしているうちに展示期間が終わってしまい、
結局、展覧会そのものを逃してしまいました。
「紅白芙蓉図」綺麗ですよね♪
「紅白芙蓉図」は東洋館の特集展示で鑑賞したことがあります。
いくつか撮影禁止の作品がありましたがほとんどが撮影可でしたので、
この作品も撮影可だったなら撮ったはず。
写真は外付けのHDD代わりとなっているPC(XP)に保存しているので、
あとでチェックしてみようと思います♪
by りゅう (2014-12-23 01:13) 

TaekoLovesParis

りゅうさん、こちらにも(まじめな)コメントありがとう。
「金印」のことは、pistaさんがご覧になったという記事を読んで、身近に感じ、見たいなって思ってたんですよ。「紅白芙蓉図」は、トーハクの持ち物だから、気をつけていれば、これからも見る機会がありそうですね。これも撮影可でした。白の方が、葉の緑が花に透けるのが美しいんだけど、写真に撮ると、白は平面的になって、透け感がわかりにくくなってました。白い花の写真は難しいです。りゅうさん、PCに白い花の方の写真があったら、今度、見せてくださいね。
今年もあとわずか。来年が良い年でありますように。
by TaekoLovesParis (2014-12-30 10:05) 

コメントを書く

お名前:
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0