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メトロポリタン美術館のフランス絵画1874~1923 [外国の美術館、博物館]

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ヨーロッパ絵画の所では、「レンブラントとドガの若い頃の自画像」という特別展示が
開催されていた。美術館内は撮影OKだが、ここの部分だけは禁止だった。

レンブラントは生涯に85枚もの肖像画を描いた。ドガ(1834~1917)は40枚。
その大半は、20代の初めに描かれたが、秘密にしていたため、亡くなるまで、
わからなかった。20代初めにイタリアに留学したドガは、レンブラントを筆頭に
過去の巨匠の絵を学んだ。「紫色の帽子をかぶった若い男~レンブラントに倣う」という
タイトルのデッサンは、帽子や髪型、服が220年前の巨匠レンブラントにそっくりである。

deg.jpg

レンブラントとドガ、それぞれの肖像画が展示され、両者を比較した解説があった。
光の効果や技法が似ていても、二人は全く顔立ちが違うので、似ていると書いて
あっても、私には、すぐ納得できなかった。


19世紀後半、印象派がおこった頃からのフランス絵画を、絵が描かれた年代順に
載せてみた。

①マネ(1832~1883)
1874年 「舟遊び」 
マネは印象派の先駆者である。印象派が得意とした
主題は、この絵のように余暇を楽しむ人々のようすである。
水平線が無い平面的な構図は日本の版画の影響と言われている。
女性モデルは、モネの妻カミーユ。光を浴びて服の縞模様がゆらめいている。

manetBoat2.jpg

②シニャック(1863~1935)
1887年 「コリウール(南フランスの地名)からの眺め」
スーラの影響で、点描画家として知られているシニャックだが、これは初期の作品
なので、まだ彼の特徴の大きな点描になっていない。

MetSignac.jpg

③セザンヌ(1839~1906)
1887年 「Jas de Bouffan 付近の木々と家々」
Jas de Bouffanは、プロヴァンスのセザンヌの家のそば。中央部分は緑と黄色を絵筆で
置いただけ、塗らずに、色のパッチワークのように描かれているため、落葉し、やせ細った
木々が装飾帯のように見える。 (訂正・加筆しました)

MetCezanne2.jpg



④ゴッホ(1853~1890)
1887年 「ひまわり」
咲き終わって落ちた花の頭だけのひまわり。
GoghSunflowers.jpg

1888年 「ルーラン夫人と赤ちゃん」
ゴッホはアルルで、一緒に暮らす予定のゴギャンを待ちながら、近所の郵便配達
ルーラン一家をモデルに何枚も絵を描いた。

MetGoghMmeRoulan.jpg

⑤ルノワール(1841~1919)
1892年 「ピアノに向かう2人の娘」
フランス政府から「リュクサンブール美術館」に所蔵するための絵を依頼された
ルノワールが考えた主題は、ピアノに向かう娘たち。ブルジョワの日常生活を描いた
温かみのある絵。フランス政府お買い上げの絵は、現在オルセー美術館にある。
これは、カイユボットの所蔵だった絵。同じ主題のものは、オランジェリー美術館にもある。

MetRenoirPiano2.jpg


⑥ピカソ(1881~1973)
1903年 「盲人の食事」
寒色系ブルーの濃淡で表された絵。盲人の指にふれるものだけが、暖色系オレンジ
色で表されている。光の当たり方もすばらしい。

PicassoDinnerBlind.jpg

⑦アルベール・マルケ(1875~1947)
1906年 「植民地連隊の軍曹」
マルケはフォーヴィスムの画家として知られているが、激しい色調でなく、グレーや
薄い青を基調とした穏やかなものが多い。
海辺の景色が多く肖像画が少ないマルケだが、この絵では、人物よりも軍服のみごとさが
目立っている。

MetMarque.jpg



⑧シャガール(1887~1985)
1911年 「パッシー橋とエッフェル塔」
シャガールはロシア出身のユダヤ人だが、パリが好きでパリで暮らした。
1911年、文明化が進む時代のパリを描いている。奥に橋があり、鉄橋の上を鉄道が
走っている。手前には荷馬車。中央にシャガールの好きなエッフェル塔が配置されている。

MetMarcChagall.jpg

⑨アンリ・マティス(1869~1954)
1923年 「スペイン女性、青のハーモニー」
モデルは真正面を向き、あたかも肖像画のようだ。同じモデルで背景が別の絵や、
服が別のもあるそうだ。

MetHenriMattSpanish.jpg

やはり、メトは、それぞれの画家の代表作に近い良い絵が多い。 


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コメント 8

よしあき・ギャラリー

やはり名画には名画たる普遍的な美があるものですね。
あらためて思いました。
by よしあき・ギャラリー (2015-02-12 06:19) 

gillman

あー、此処行ってみたいなぁ。
by gillman (2015-02-12 10:15) 

Inatimy

ルノワールの「ピアノに向かう2人の娘」は2枚かと思ったら3枚あるんですね。
私が見たのはパリ市庁舎での展覧会(無料)に出てたオルセー美術館所蔵のものでした。
面白かったのは、子供向けに配られたパンフにあった鑑賞ガイド。
手元のオランジュリー美術館所蔵の絵と比べてどこが違うかチェックするみたいで。
まるで間違い探しみたいでした^^。
3枚ともで異なるポイントの一つは、そばに立つ女性の左の手の仕草かしら。
この中で一枚もらえるとしたら、ゴッホの絵、種がいっぱい取れそうな「ひまわり」^^。
by Inatimy (2015-02-13 22:46) 

moz

ドガって謎が多そうな画家ですね。
自画像も・・・、そうなんですね。確かに顔は似てないかもしれません ^^;
こうやって名画を見せて頂くと、また展覧会に行きたくなります 笑
ピカソとゴッホのオーラってやっぱりすごい!!
ブリヂストンに行ってきましたが、いつもよりたくさんのお客さんでした。また書きたいとは思っていますが、5月17日でいったんお休み、その後数年間は休館だそうです。ちょっと寂しいですね ^^;
by moz (2015-02-14 06:15) 

匁

「Jas de Bouffan 付近の木々と家々」は
近所の今冬の公園の景色にそっくりです。
ところで
《中央部分が水彩でさっと描かれているため》
この中央部分とは青い川?の部分を指すのかな?
とすると紙に水彩で描いてその上に部分的に
油彩で仕上げたものなのか?と推測しています。

by (2015-02-14 09:29) 

yk2

ま、現地に行ったことのない僕にとって、メトと云えばウィリアムしかないんですが(^^ゞ、それはさておき。

マルケの軍曹の肖像、10年ちょっとくらい前にBunkamuraであったメト展に来てましたね。その頃はまだブログも書いてないし(笑)、マルケの名も、ましてやフォーヴだ何だと彼の絵に関連しそうな美術の知識なんてまるっきり無く(^^;、ただ見た感覚だけで好きだとか嫌いだとかしか考えなかった当時の僕にとって、それでもかなり魅力的に思えた作品です。何をどう思ったから・・・って今以て上手く説明出来ないんだけど、「あ、この絵好きだな~」ってね。
by yk2 (2015-02-14 10:48) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲よしあきさん、約100年前の絵、毎年毎年、たくさんの絵が出て来ても、忘れ去られずずっと残って行く、やはり巨匠の力は別格ですね。

▲gillmanさん、ドイツびいきのgilmanさんだけど、美術館はアメリカ、特にメトはすごいです。コレクターとしての資金がありますものね。

▲Inatimyさん、「ピアノに向かう2人の娘」、Inatimyさん、既に見比べて見たのね。たしかにオルセーのと、メトの違いは、立ってる少女の手の位置ね。あと花瓶と花。オランジェリーのは、室内が殺風景ね。花瓶もないし、背景はカーテンだけ。多分、オランジェリーが描かれてから、オルセーを描いたのでしょう。室内をブルジョワの家らしく飾って完成させたんだと思うわ。オルセーとメトのは、見た途端、「おや、ここにも」と思ってしまうほど、似てるわね。
種がいっぱい採れそうなひまわり、という表現に笑いました。その通りね。
by TaekoLovesParis (2015-02-15 00:05) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます
▲mozさん、「ジヴェルニーの食卓」で、ドガが身近になりましたね(笑)。
ドガは気難しくて皮肉屋だったから、友達が少なかったんですって。カサットとは感性が似てて、異性で年も離れているから、友達になれたんでしょうね。
ピカソとゴッホは、たいていの場合、ピカソ!とか、「ゴッホね」って、すぐわかりますよね。それだけ特徴があるってすごいです。しかも絵に人を引き込ませる魅力がありますね。
ブリヂストン、長い休館ですね。外観はそんなに古く見えないけど、耐震とかあるんでしょうね。しばらくの間、寂しいですね。

▲匁さん、近くにこういう景色の公園があるんですか。匁さんが題材になさりそうな木ですね。ところで、本文の訂正です。水彩って、書いた部分がまちがっていたので、なおしました。読んでください。これで意味わかるかしら?メトの英語の説明文を訳したものです。

▲yk2さん、yk2さんといえば、ウィリアム=青カバですものね(笑)
10年前のBunkamuaのメト展、私は見逃してるけど、アンリ・ルソーの「ライオンの食事」やバルテュスの「山」、ピカソの「白い服の女」と見応えがあったんですね。
マルケの軍曹はいかめしくない人って、まず、思いました。真正面でなく斜め向き、金色のモールが優しい黄色、下から見上げるように描いていて、と従来の軍人肖像画と大いに違い、モダンな感じがしたので、気になり、写真を撮りました。
by TaekoLovesParis (2015-02-15 02:28) 

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