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ラ・ロッシュ邸(パリ・コルビュジエ設計) [旅行(ヨーロッパ)]

12月のパリ旅の時、ル・コルビユジエ設計の「ラ・ロッシュ邸」へ行った。
私も興味はあったが、同行の友は建築好きで詳しい。

パリの高級住宅地16区にあるので、タクシーでいきなりその前に乗りつけるより、
近所を散歩して家々を眺めたほうがいいだろうと思いメトロに乗った。
外に出たところに赤い建物の酒屋チェーン「ニコラ」があったので、道をきいた。
地図で下調べはしてあったけど、反対方向に歩いてもいけないから確認。
折悪しく雨だったので傘をさしていると、アイフォンの地図は見にくい。


しーんと静まり返った雨の日の住宅街。
6~7分歩いて、入口の看板を見つけ、矢印通りに突き当りへ進む。
まさしく、これ。

LaRoche1.jpg


ここは、スイスの銀行家ロシュ氏からの依頼でコルビュジエが設計した。
邸宅内は8ユーロ(1000円)で見学ができる。「靴を脱いで、このスリッパに履き替えて。
家が汚れないように」。「さ、案内するわ」と先に立って、部屋へ通してくれる。
私たちの他にはだれもいない。
「ロシュ氏は、美術収集が趣味だったので、作品を飾れるような設計になっているのよ。
この部屋はサロンで、お客様はここで絵を眺めたの。今、かかってる絵はロシュ氏の
コレクションではなくて、コルビュジエの描いたものだけど。左にある茶色のソファーも
コルビュジエのデザインなの。他の部屋の椅子、テーブルもコルビュジエのデザインよ」
と、丁寧に説明してくれた。吹き抜けなので天井が高く広い空間。


LaRoche2.jpg


これは2階の食堂。シンプルで居心地よさそうな雰囲気。


LaRoche3.jpg


この建物の特長とも言える曲線のスロープ。窓も曲線になっていて美しい。
スロープで一階へ降りる。降りる途中で、仕切られた2階の部屋が見え、間取りも工夫されていると
わかる。



LaRoche4.jpg


屋上へあがると、周囲の建物を眺めわたせる。
コルビュジエはこの周囲の建物群のどこかに住んでいたそうだ。


LaRoche5.jpg


1924年の建築が今も古びていない。コルビュジエの先見性が伺えた。




[牡羊座][牡羊座][牡羊座][牡羊座][牡羊座]

パリへ行く3週間前に、 映画「ル・コルビュジエとアイリーン」をBunkamura の
「ルシネマ」で見た。これを見た後で、ラ・ロッシュ邸に行ったから、壁にかかっている
大きな絵が、コルビュジエの描いた絵とすぐわかった。そして、コルビュジエがアイリーン
の留守に無断で「別荘E1027」に入り壁に大胆に絵を描く映画の場面を思い出した。
アイリーンは新進気鋭の人気家具デザイナーで建築家。この落書き事件が原因で二人は
会わなくなる。この後、世界大戦があったりで、「別荘E1027]は傷み、競売にかけられた。
競り落としたのは、な、なんと、コルビュジエだった。
コルビュジエのものとなった「別荘E1027」は、長らく彼の設計と思われてきたが、
実はアイリーンの設計だったのである。

corbusier-eileen.jpg


アイリーンは、1920年代の気鋭の家具デザイナー。有名建築家と結婚して、共同で
建築設計もしていた。コルビュジエと恋人どうしではない。コルビュジエは、
アイリーンの才能に嫉妬し、奇行に走ったのだろう。
このチラシにもあるように、コルビュジエがデザインした椅子、アイリーンがデザインした椅子が
出てくる。コルビュジエは、作品はすばらしいが、家ではいつもパンツ一丁だったり(実際は
それ以下とのこと)と、かなり変な人である。

コルビュジエ役は、ヴァンサン・ペレーズ、
アイリーン役は、オーラ・ブラディ
監督:メアリー・マクガギアン


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Inatimy

映画の予告編など探して見ましたが、それらから受ける印象では、コルビュジエって
ワルですね^^;。 映画がベルギーとアイリーンの生まれたアイルランドの合作だからなのかしら。 もしフランスが作った映画だったら、コルビュジエ寄りになってたかな。
それとも関係なく、コルビュジエはコルビュジエ・・・?
コルビュジエって、わざわざその別荘の裏に休暇小屋を建ててるんですものね。
映画の冒頭で、アイリーンの椅子が200万ユーロで始まり、最終1950万ユーロで落札されたのには、あまりの価格に仰天でした・・・。
by Inatimy (2018-03-14 07:19) 

coco030705

こんばんは。
すばらしくスッキリとした家ですね。コルビジェのデザインは好きです。
でも、色々奇行癖のある人なんですね。才能があっても人間的にはこども、
いわゆる成長しない大人なんだと想像します。挫折がないからかな?
こういう人と付き合うのって大変だと思います。アイリーンがお気の毒です。
才能と人間性は切り離して考えなくてはいけないのかしら。美術家でも変わった人は多いですものね。

by coco030705 (2018-03-14 21:57) 

yk2

建物を設計する線は至ってシンプルに引かれるのに、どうしてそれが油彩になると、ピカソやブラックやミロをごちゃ混ぜにしたみたいなワケが解んない作品になっちゃうのか。それがせめてキャンバスに描かれた絵を飾るくらいなら兎も角、同業者の作品の壁に直に描いちゃうんだから、嫌がらせするにも程がありますよね、コルビュジエ大先生ったら(^^;。グレイの『E1027』の出来が素晴らしかったから、余計に嫉妬心燃やしちゃったんでしょうね。「新しい女」なんて存在は絶対に認めてやるもんか!って理不尽で勝手極まるコルビュジエに対して、僕がそれまで勝手に抱いてた人物像は随分と変えられちゃいました(^^;。

ついでに、彼のアトリエにいた新進デザイナーのシャルロット・ペリアンがグレイの恋人ジャンの浮気相手だったと知って、こちらも「え~っ!(吃驚)」。で、グレイはグレイで”彼女"がいたりして・・・。まぁ、フランスってやっぱり自由恋愛のお国柄なのね、って感じです(苦笑)。
by yk2 (2018-03-14 23:58) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲Inatimyさん、ロシュ邸の記事だから、映画のことはさらっと済ませちゃったけど、予告編、みてくださったのね。<わざわざその別荘の裏に休暇小屋を建ててるんですものね。>→ だから、アイリーンの別荘も僕の作だと思われた、って、したり顔で言ってるのが、腹立つ。かなりのパワーを打倒アイリーンに向けている感じすらしたわ。アイリーンの才能への嫉妬ね。
映画はオークション場面から始まりました。アイリーンの「ドラゴンチェアー」、ユニークですてき。コルビジェの長椅子シェーズロングは実用的で今でも売ってて私も好きだけど、ドラゴンチェアの風格ある優雅さは別格ね。

▲cocoさん、コルビジェの設計、デザインは、近代建築のはしりですものね。「建築5原則」を提唱して、家はそれに基づいてないといけない、って映画でも何回も言ってました。自分の提案した5原則にアイリーン設計の家が合ってないって怒るせりふがあったけど、それは変だと思うわ。コルビジェ憲法?アイリーンはアイリーンでしょ。
映画のタイトルからすると、アイリーンとコルビジェが恋人どうし、みたいだけど、違う。アイリーンは知的な美人。当時人気の建築家と結婚してる。
コルビジェのことは仕事仲間みたいなものね。<成長しない大人>その通りよ。それでいてパワフルだから、アイリーンも苦労するわね。
by TaekoLovesParis (2018-03-15 21:35) 

TaekoLovesParis

yk2さん、いやはや、私も映画を見て驚きました。タイトルからアイリーンとは恋人どうしなのかと思って見に行ったので、あっけにとられてしまいました。<ピカソやブラックやミロをごちゃ混ぜにしたみたいなワケが解んない作品>→まさにその通り!無機質な壁を明るくしてくれますが、これは好き嫌いがありますよね。
私も、シャルロット・ぺリアンが出てきて、、しかも朝帰り、固い私生活のイメージだったから、驚きました。ぺリアンはコルビジェの弟子なので、出てきて不思議はないのですが、、、恋愛に寛容なフランスですね。アイリーンも後半の人生には彼女がいたり、、、ま、そういう要素も映画を面白くしてくれますね。それでも、どろどろにならないのは映像が、南仏で、白
い家、白い家具、服も白、砂の色のベージュ、海の水色と、淡く美しい色おで、まとめられていたからでしょうね。アイリーンの服もすてきでした。
by TaekoLovesParis (2018-03-16 00:24) 

初夏(はつか)

映画を観た後に実際の場所に行くって、素敵ですねー。
以前インテリア関係の仕事を「少し」していたときに、
「コルビジェ、コルビジェ」って、周囲が言ってたのを覚えています。
付け焼刃の知識だけで、なんとか切り抜けていましたが、
ゆっくり作品を見てみたいなぁ~。
って、思いました(*^_^*)
by 初夏(はつか) (2018-03-16 06:27) 

moz

貸し切り状態でゆっくりと見学できたんですね。
歩きにくかったでしょうが、雨のおかげ? 笑
屋上からの周囲の眺め、建物たちがとっても素敵なところですね。
この景色自体も素敵だなと、絵画のようだなと思いました。そうなんですか? コルビジェって、少し変な? 人だったんですね。パンツ一丁? それ以下? ^^;
でも、アーティストってそんなものかもしれませんね。
by moz (2018-03-18 09:06) 

コザック

こんばんは
実際にコルビジェの建築を日本以外で観ることができてうらやましいです☆
しかも実際なかに入れてすばらしさを実感できるのが素敵。
「ル・コルビジェとアイリーン」ではコルビジェすごく酷く描かれていましたが、建築は現代でもちっとも色褪せないすばらしいものですね☆
by コザック (2018-03-18 19:38) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲初夏(はつか)さん、コルビジェは20世紀を代表する建築家&デザイナーだから、インテリア関係の仕事の人の話題にあがりますよね。時々行く友達の家が、ダイニングの椅子と長椅子がコルビジェなので、なじみがあります。建築家のライトも椅子をデザインしてますね。私も少しの間デザイン事務所でアルバイトをしていたときは、初夏さん同様、付け焼刃の知識で(笑)

▲mozさん、貸し切りでガイド付きでした。同行の友達は英語が堪能で建築にも詳しく、的を得た質問をするから、説明係の人が話しながらずっと案内してくれました。そうね、雨で訪れる人がいなかったから、だわね。
私も屋上からの眺めは、一昔前の映画に出てくるパリの屋根裏!って思いました。コルビジェはノーパンだったのだそうです。どんな格好で仕事をしようと、作品がよければ、いいんですよね。結果オーライで。

▲コザックさん、Bunkamuraでの映画でした。いかにもBunkamuraらしいでしょ。ここは上映期間が短いので、コルビジェより見たかった「セザンヌと過ごした時間」を見逃したのが残念です。コザックさんは、「ロダン、カミーユと永遠のアトリエ」をご覧になったけど、私はそれも見逃してます。
作品が後世に残るほどすばらしく、変な人のほうが映画にしたら面白いですよね。いくらすばらしい人でも作品がダメだと、「誰、それ?」になっちゃう。

by TaekoLovesParis (2018-03-19 01:24) 

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