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自然と人のダイアローグ展 [展覧会(西洋画)]

国立西洋美術館では、リニューアルオープン記念として、ドイツ・エッセンの
フォルクヴァング美術館の協力のもと、自然と人の対話(ダイアローグ)から
生まれた近代芸術をたどる美術展を開催中。3か月余の会期も11日で終了なので、
記憶をたどって記事にしておきます。

構成としては、西洋美術館所蔵の作品7割とフォルクヴァング美術館の作品3割
の感じだったので、いつでも見れる西洋美術館の作品(常設の記事あり)を除き、
フォルクヴァング美術館の作品を写真でピンアップ。

チラシに使われているのは、ゴッホの「刈り入れ(刈り入れをする人のいる
サン=ポール病院裏の麦畑)1889年

20220604_3340650.jpg

別のヴァージョンは、カスパー・フリードリヒ「夕日の前に立つ女性」1818年
実物は予想より小さな絵だった。

tirashi2.jpg


ゴーギャン「扇を持つ娘」1902年

gogun _ougi.jpg

ポール・シニャック「ポン・デ・ザール橋」1912年

シニャック_ポンデザール.jpg
西洋美術館所蔵のポール・シニャック「サン=トロペの港」1901年~1902年
も展示されているので、比較して見れるのが興味深い。
シニャックのサントロペ.jpg


あまりの美しさに、この絵の前にしばし、佇んだ。
テオ・ファン・レイセルベルヘ「ブローニュ=シュル=メールの月光」1900年
ほの暗い青の画面。月明かりに照らされる水面のさざ波が点描で描かれる。
男3人のシルエットがストーリーをうむ。月明かりを描いたシダネルの
「月明かりの入江」より、だんぜん、こっちの方がいいな。

レイセルベルヘ.jpg


パウル・クレー「月の出(サンジェルマン界隈)」1915年。水彩の小品。
色の美しさが際立つ。

クレー月の出.jpg

モンドリアン「コンポジション X」1912年~13年
赤-黄・青の3色の水平、垂直の線からなる有名なコンポジションより前に描かれた。

モンドリアン_コンポジション.jpg

エミール・ノルデ「木材の積み込みⅠ」1911年
荒々しいタッチで強い色彩のエミール・ノルデは生命力あふれる作品。
以前、パリのグランパレで「ノルデ展」を見て以来、気になる画家。

エミールノルデ.jpg


アクセリ・ガッレン=カッレラ「ケイテレ湖」1906年
西洋美術館に新収蔵の絵。
ガッレン゠カッレラは、近年、国際的に高くj評価されているフィンランド の画家。
「ケイテレ湖」は彼の代表作。

カッレラ_ケイテレ湖1906.jpg

写真に加工をした作品で注目されているゲルハルト・リヒター「雲」1970年。
昨年、ポーラ美術館が作品を30億円で落札し、話題になった。
rihita-.jpg


さきほどのシニャックの作品のように、同じ作家の西洋美術館とフォルクヴァング美術館
作品を比較して見れる展示方法のところは他にもあった。
ギュスターヴ・クールベ《波》 1870年 左がフォルクヴァング美術館、右が西洋美術館。           

クールベ2.jpg

ホドラー「モンタナ湖から眺めたヴァイスホルン」1915年
デザインのような風景画。ホドラーのもくもく雲、好きです。

ホドラー.jpg


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コメント 11

おと

初めて観る絵画がたくさん。
テオ・ファン・レイセルベルヘ「ブローニュ=シュル=メールの月光」美しいですね~。ブローニュ=シュル=メールってどこだろうと検索しました。フランス側のドーバー海峡に面した所なんですね。フィンランドの画家、ケイテレ湖も素敵だなぁ。。ピカソの記事のこと、ありがとうございます♪読みました!

by おと (2022-09-11 05:57) 

ふにゃいの

月の光を描いた絵ってすてきですね。
ケイテレ湖の水の表現がリアルです~。
by ふにゃいの (2022-09-11 15:01) 

yk2

カスパー・フリードリヒの『夕日の前に立つ女性』が、その色使いと後ろ姿の黒い服の女性を描いていると云う共通点から、シャヴァンヌの『気球』を思い出していました。後者は縦に長くて結構大きな絵でしたから、実際展覧会で目にするとフリードリヒの作品が小さくて、ちょっとイメージ違ったな(^^;。

でも、フリードリヒってネットで調べてみたら1774年生まれ。アングルより6歳年長。そう思うと、例えばハンブルク美術館所蔵の『氷の海』の様に結構モダンなタッチで描かれている作品もあって、これまでその名も知らなかったけど、なかなか興味深い画家だなと思いました。(ちなみに、僕が見たサイトはこちら→ https://ims-create.co.jp/art/2976/
by yk2 (2022-09-12 00:51) 

TaekoLovesParis

おとさん、「ブローニュ=シュル=メール」英国と向かい合ってる場所。英国の夕刻のほの暗さに似てるのかしら。フランスの地名に、良く出てくる「シュル=メール」は海に面してるという意味です。地中海に面してる所はどこも太陽でキラキラ明るく、ここのシニャックの「サントロペ」がその例です。
「ポン・デ・ザール」はパリ・セーヌ川の橋なので、地中海の明るさはないのです。点描だと、光を巧みに表現できるから、明るさの違いがわかりやすいです。
ケイテレ湖、空と水面と山、湖に浮かぶ島、水面を横切る大胆な線が斬新なのに、静かな感じがするのって、面白いなと思いました。
by TaekoLovesParis (2022-09-12 00:57) 

TaekoLovesParis

ふにゃいのさん、「スイス プチ・パレ美術館」展のチラシに出ていたアンリ=エドモン・クロスの「糸杉のノクチューン」も月の光かしら?幻想的ですてきだなと思いましたが。ケイテレ湖、いいですよね! 新収蔵だから、これからも見れるのだけど、見てもらいたくて、載せました。
by TaekoLovesParis (2022-09-12 01:14) 

TaekoLovesParis

yk2 さん、フリードリヒは、ドイツ・ロマン派の代表格。音楽でドイツ・ロマン派はシューマン、シューベルト。ロマン派つながりだからか、私が持っていたポリーニのピアノの「シューベルトのさすらい人幻想曲」のレコード・ジャケはフリードリヒの「雲海の上の旅人」でした。フロックコート姿の男の人が一人、杖を持ち、寒々しい凍った山々に囲まれた雲海の中の岩の上に立つ後ろ姿。その他、私が知ってるフリードリヒの絵は、どれも風景の中に後ろ姿の人が佇むものばかり。だから、yk2さんが教えてくださった「氷の海」は、全く違うタイプ。斬新な構図だけど、時が止まったように静かな雰囲気は共通ですね。廃墟、枯れ枝、孤独、そういうものが、ドイツ・ロマン派の「さすらい」を表してるのかしら。何かを含んでいる、暗示しているようで、その謎に惹かれます。

「夕日の前に立つ女性」は、私もyk2さんが、シャヴァンヌの『気球』と書いてらしたので、「そう!色合いが同じ」と思いました。でも、考えてみると、気球は、プロイセン軍に包囲された外部と遮断されたパリで、気球を飛ばすことによって、開放を願う希望でしょ。夕日に向かって立つのは、希望というより、一日の振り返り、これから来るのは夜。外に向かって明かるいフランスと、心の中で考え、内面に向かう暗いドイツとも思ったけど、リンクをつけてくださったサイトの解説、「朝日」のほうがすっきりですね。「気球」と同じく未来への希望ですものね。
by TaekoLovesParis (2022-09-13 01:35) 

ナツパパ

風景画って多様で多彩なんですね。
写実一辺倒でしか見てこなかったので新鮮に感じます。
わたしはフィンランドの湖水風景がいいなあ。
by ナツパパ (2022-09-14 08:26) 

TaekoLovesParis

ナツパパさん、風景は、ある瞬間の雲の動き、光の水への反射で、美しい模様を描くときがありますよね。フィンランドの湖水風景はそんな一瞬なのかなと思いました。これ、西洋美術館の新収蔵だから、これからも見れますね。
by TaekoLovesParis (2022-09-14 11:05) 

Inatimy

カスパー・フリードリヒは、2008年にエルミタージュ美術館アムステルダム別館で、その画家とドイツロマン派風景画の展覧会を見たことがあります。風景をながめている人を描くから後ろ姿が多いけど、一緒になって見てる感覚になるのが面白く。
この中で印象的だったのがアクセリ・ガッレン=カッレラ「ケイテレ湖」。水面の感じがとっても素敵。ふと思い出したのがスウェーデンのGustaf Fjaestad グスタフ・フィエスタッド(1868-1948)。ちょうど同じ時期に生きた画家。このかたは、雪景色が多いんですけどね。
by Inatimy (2022-09-14 20:03) 

coco030705

チラシのゴッホの絵、素敵ですね。実際に観たいなぁ。
シニャック「ポン・デ・ザール橋」もいい色ですね。
クレーの絵は、色がほんとにきれいですね。みていて楽しくなったり、癒されたりします。
アクセリ・ガッレン=カッレラ「ケイテレ湖」は、湖の部分が写真かなと思いました。すごい!
by coco030705 (2022-09-16 00:54) 

TaekoLovesParis

Inatimyさん、グスタフ・フィエスタットの絵、ネットで探してみてみました。
こういう絵も好きです。「寒い冬の夜」は、全体に霧がかかり、近景の凍てついた木、遠景の針葉樹の木々、それを照らすオレンジ色の空、きりりとした美しさ。スウェーデンの景色はこう?ロマン派だから現実離れしてる景色なんでしょうね。エルミタージュ美術館の別館がアムスにあるんですね。日本では、ドイツロマン派風景画の展覧会、開催されることはなさそう。
by TaekoLovesParis (2022-09-16 01:00) 

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