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ルートヴィヒ美術館展 [展覧会(西洋画)]

国立新美術館へ「ルートヴィヒ美術館」を見に行った。
「ルートヴィヒ美術館」は、ドイツ・ケルン市にある美術館で、20世紀初めから
現代までの作品を
多く所有している。
tirashi.jpg
私は、20世紀美術が好きなので、パリでは、ルーヴルに行くよりポンピドゥ美術館
に行くほうが多い。
20世紀美術は、「へぇ~、こんなのもあるのね」と感心したり、「これ!」と笑い
ながら見たり、気楽に楽しめる。

最初の絵は「ヨーゼフ・ハウプリヒ博士の肖像」1951年 オットー・ディクス
(写真なし)
オットー・ディクスは、ポンピドー・センターで見た絵「ジャーナリストの肖像」
が忘れられない。これ女の人よね、、だけど、こんなに風刺? という衝撃の絵だった。
ヨーゼフ・ハウプリヒ博士は、ドイツ現代美術のコレクターで作品をケルン市に寄贈。
この美術館の中核になっている。
この肖像画は依頼されて描いたものなので、ディクスといえど風刺はなし。知性と品に
あふれた肖像画だった。

並んで展示されていたのは、
「ペーター・ルートヴィヒの肖像」1980年 アンディ・ウォーホル
シルクスクリーンで転写した顔写真に手描きで加えた赤い輪郭線。さらに透過性の
ある青を重ね、次に赤を、緑をという肖像に色彩を加えるウォーホル流。
ウォーホル.jpg


(1)ドイツ・モダニズム
さきほどのオットー・ディクスと並んで風刺の名人といえば、ジョージ・グロス
(ポンピドゥーで見た絵はこちら。横浜美術館の絵はこちらこれもいい。

「エドゥアルト・プリーチュ博士の肖像」1951年 ジョージ・グロス
Gross_DrBriche.jpg

ちょっとクセのある表情。本人は気にいってたかしら?
エドゥアルト・プリーチュ博士は美

術史家で、ナチスの芸術政策に加担。
ナチ嫌いのグロスが描いてるのだから、ダンディな服装の紳士だが、一物ありかな。
座っている椅子は肘掛けが木製だから、当時流行りのリートフェルトかしらと
思ったり、、いろいろ想像して見るのが楽しい。


カンジンスキー「白いストローク」1920年
絵の具を置いたパレットに白いストローク、一筆。
抽象画のカンジンスキーなのに具体的にものが見える作品。
Kandinski.png

ヤウレンスキー「扇を持つおとぎの王女」の派手な色づかいを見た途端、bunkamuraで
見た「カンディンスキーと青騎士展」が良かったことを思い出した。
フランツ・マルクの「牛」1913年は牛と馬が描かれている。私はbunkamuraでの「牛」
3頭の色違い牛のほうが好きだった。
マックス・ベックマン「月夜のヴァルヒェン湖」1933年「恋人たち」1940‐43年
私はどうもベックマンは好きになれない。

レームブルックふりかえる女のトルソー」1913年 精神性の高い彫刻と言われてる

バルラハ「うずくまる老女」1933年 小さな木彫だが三角形構図で精神性が高い。


(2)ロシア・アヴァンギャルド

マレーヴィチ「スプレムス38番」一番上のチラシ写真の左側の絵。
ウクライナ出身。旧ソ連で最初に抽象画を描いた人物。
私は、マレーヴィチの働くおじさんの絵シリーズが、人形のようで
かわいくて好きだ。同じく人形のような服が派手なおばさん。
ゴンチャローヴァ「オレンジ売り」1916年
ゴンチャローヴァ.jpg


(3)ピカソとその周辺
モディリアーニはピカソの周辺に分類されていた。
「アルジェリアの女」1917年
Modiliani.jpg

マティス「静物」1941年
Matisse.png


この美術館は、ピカソ作品を多く持っているので有名。
ピカソ「アーティチョークを持つ女」1941年
第二次世界大戦中の絵。アーティチョークは棒のような武器。左手の爪は尖っている。
まさに今、戦おうとする女。
Picasso.jpg

ピカソ「頭部の描かれた長方形皿」1948年
戦後には、色彩共々こんなに穏やかになり、ユーモアを感じさせる。
自分の部屋に買ったこの絵葉書を飾った。
Picasso頭部の描かれた長方形皿1948.jpg

(5)1960年代から現代まで。ポップアートなど
リキテンスタイン「タッカ、タッカ」1962年
兵士は疲労困憊。毎日少ない睡眠で空腹、細菌や感染症に悩まされながらも戦い
続ける。タッカ、タッカは大砲の音。ベトナム戦争の戦場だろうか。
ぱっと見は、悲惨さを感じさせないコミック調。
リキテンシュタイン.jpg

ウォーホルの「二人のエルヴィス」1963年は、等身大で西部劇姿の拳銃を構えた
エルヴィス写真が2つ並んだもの。思わず「あら、エルヴィスが、、2人も」と
友だちと笑う。
さらに笑ったのは、カーチャ・ノヴィツコバ「ハシビロコウ」2014年
アルミニウムで出来ている。撮影可マークあり。
hasibirokou250.jpg

チラシの写真、右側の作品は、
モーリス・ルイス「夜明けの柱」1961年
カラーフィールド・ペインティングというジャンル。

 友達と一緒に、あ~だ、こうだと(小声で)言いながら見て、楽しいひととき
でした。かなりすいてたので、「暑いし、よくわからないしと敬遠されるのよ。
来たら面白いのにね」と、誘った時は、渋った友達が帰りには上機嫌だった。

コメントでわかったのですが、ルートヴィヒ美術館展は、2010年に横浜の
「そごう美術館」で開催されています。yk2さんが記事を書いています。


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yk2

ルートヴィヒ美術館展、その昔横浜のそごう美術館で観たなぁ~と思い出して、調べてみたら2010年。もう干支一回りも前か。時間が過ぎるのが、最近とみに早く感じます(苦笑)。その時は「ピカソと20世紀の巨匠たち」と云うタイトルので展覧会で、そこから想像するにエコールドパリが中心の展覧会だと思っていたら、やっぱり今回taekoねーさんがご覧になられた様に現代美術の作品の方が多くって戸惑いました。「よく解らない」って、自分のブログで短くこぼしてた(^^;。

ハシビロコウは確かに面白い(^^。
ほとんど動かない事で有名な鳥ですから、1日に何回か、ほんの僅か数回だけ頭が動く様な仕掛けがしてあったら、リアリティが増して更に愉快に思えるかも(笑)。このハシビロコウがいるだけで、美術館に人が呼べそうですね。ルートヴィヒがこの”逸材”を上手く活用出来れば、メトのウイリアムに対抗出来得る美術館人気キャラと成れるかもしれません(^^。
by yk2 (2022-08-30 07:18) 

Inatimy

ケルンのルートヴィヒ美術館は20年ほど前に行きました・・・中へは入らずエントランス前にあった像の横で写真撮っただけなんですけどね^^;。
この展覧会の中で欲しいなと思うのは、ピカソ「頭部の描かれた長方形皿」。かわいい。ぱっと見で、枝豆とかスライスしたサラミとかおつまみ皿に・・・なんて頭をよぎりました。
力の抜けたマティス「静物」もいいな。クリアファイルにあったら手にとってしまう^^。
by Inatimy (2022-08-30 23:38) 

TaekoLovesParis

nice&コメントありがとうございます。
▲yk2さん、yk2さんのところで「ピカソと20世紀の巨匠たち」を検索してみたら、読んだ覚えのある記事でした。ルートヴィヒ美術館所蔵 とタイトルについてたのですね。いきなり今回出展のモディリアーニ の『アルジェリアの女』の絵が出て来て、びっくり。カンディンスキーもわかりやすさという点では共通ですね。クレイの『陶酔状態の道化』もありました!リンクをつけさせてくださいね。20世紀美術も知ってる画家がふえてくると、あの人ね、と見るのが楽しくなります。横浜美術館は20世紀美術の所蔵が多いので、私には楽しい場所です。
ハシビロコウのグッズ、キーホルダーとか売ってるかなと思ったのですが、何もありませんでした。かなり大きい作品なので、インパクト大です。上野動物園に3羽根いるそうなので、見に行きたいと思っているのですが~。

▲Inatimyさん、ルートヴィヒ美術館の前で記念撮影だったのですね。
ピカソの『頭部の描かれた長方形皿』、実物は横が59×34㎝とかなり大きいんです。大人数のパーティのおつまみ皿ですね。このお皿に、おくものをいろいろ考えてくださったのが楽しいです。
マックス・ベックマンの絵を見たとたん、以前、Inatimyさんが、松本人志に似てるとおっしゃってたのを思い出しました。
by TaekoLovesParis (2022-08-31 23:56) 

おと

ピカソの「頭部の描かれた長方形皿」いいですね~。絵はがき、いいな。
欲しい絵のポストカードがあるときとないときがありますね。今回の旅行でパリを経由したので、ピカソ美術館とオルセー美術館に行ってきました!ピカソのマヤのシリーズ、ゴッホ、マティス、ロートレックなど見られて、とっても満足でした。
by おと (2022-09-05 21:55) 

TaekoLovesParis

おとさん、ピカソのこのお皿、私は色合いが好きです。これ、2人が向かい合ってるんですよね。ぱっと見てわかるより、じっと見てわかる方が面白いです。
パリのピカソ美術館は建物がすてきですよね。私が行ったときは、「ピカソ1932年」という展覧会をやってました。1932年にピカソはたくさんの絵を描いてるので、その年の作品だけに焦点を当てた展覧会でした。記事もあるので、ピカソ美術館で検索してみてください。オルセーは充実してますよね。お茶休憩をはさんでも一日では見きれない感じ。いい美術館のことは後からもお思い出しますね。
by TaekoLovesParis (2022-09-07 01:43) 

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